オリンピックは直ちに中止せよ 「復興五輪」は福島圧殺 改憲・戦争へ国家総動員を画策

週刊『前進』02頁(3089号01面01)(2019/11/28)


オリンピックは直ちに中止せよ
 「復興五輪」は福島圧殺
 改憲・戦争へ国家総動員を画策


 東京オリンピックはやめろ! 来年7月24日に開会予定の東京五輪は安倍の改憲攻撃と一体で階級闘争を圧殺し、大資本が金をもうけるために労働者人民の命と生活を徹底的に破壊するものだ。アジア太平洋経済協力会議(APEC)をゼネストと120万人のデモで粉砕したチリの闘い、警察の殺人襲撃に立ち向かい社会の根底的変革をめざす香港の闘いに連帯し、日本でも「オリンピックやめろ」の声を上げ闘いに立ち上がろう。今号2面では東京五輪反対特集として、①福島圧殺の「復興五輪」、②学校の国家総動員、③都営交通・JRなどの殺人的労働強化、④入国管理局による外国人の収容、人権侵害の実態を暴く。

札幌移転で大破産を露呈

 安倍は今、全世界の革命情勢と自らの政権崩壊の危機に顔面蒼白(そうはく)になっている。この間、安倍は天皇代替わりを利用した戒厳令的治安態勢で労働者の団結と闘いを徹底的に解体することを狙った。しかし、一連の代替わり儀式に166億円もの税金をつぎ込む一方で、労働者家族に貧困を強制し、水害による被災を放置する政治に怒りが噴出し大破産した。
 安倍はさらにオリンピックを徹底的に利用し、階級闘争を鎮圧して2020年新憲法施行を強行しようとしているが、労働者階級が怒りに燃え団結して立ち上がれば、これを安倍の墓穴に転化することは必ずできる。
 花形競技とされるマラソン・競歩の開催場所の札幌移転が決定された。東京での五輪開催が根本から揺らぎ、破産を突き付けられる事態だ。オリンピック組織委員会(IOC)は10月16日にドーハで行われた陸上の世界選手権で棄権する選手が相次いだことを受け、会場変更を決定した。世界中の競技者を真夏の東京に集めて競技させることは命を奪う危険があるのだ。にもかかわらず安倍は招致演説で「アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる理想の気候」などと大うそをついた。そして大破産したのである。今こそ腐敗と虚偽に満ちた五輪開催の策動のすべてを、労働者人民の実力で粉砕する時だ。

「労組のない社会」を狙う

 安倍が東京五輪にかける最大の狙いは福島圧殺だ。「(原発事故の)状況はコントロールされている」「健康被害はこれまでも、今も、未来もない」という安倍の五輪招致演説が、原発事故に苦しむ福島の人々への抹殺攻撃の起点となっている。福島第一原発事故が収束のめども立たず、東日本の広範囲で放射能汚染と健康被害が拡大している。東京五輪はこのすべてをないことにするために開かれようとしている。
 これと並ぶ今ひとつの柱が、労働組合の絶滅と産業報国会化を狙う攻撃だ。
 〝(18年)2月下旬に首相官邸で政府首脳が冨田JR東日本社長(当時)に「2020年の東京五輪が『人質』に取られることがあってはならない」と語った〟〝五輪開催中のストで支障が出れば国のメンツが潰れる〟〝会社も国家的行事を人質に取られれば、スト回避のために組合の要求をのまざるを得ない〟〝その前に組合を骨抜きにする必要がある〟(「日経ビジネス」18年6月20日付)----この安倍・冨田の会談からわずか1年半で、JR東労組から4万人近い組合員が脱退し、グループ会社の労働組合も一夜にして消滅した。そして会社は「労働組合に加入している者の入会資格はない」と規約に明記した「社友会」の組織化を一斉に開始した。
 来年4月には運転士・車掌の職名廃止を軸とする「新たなジョブローテーション」を打ち出し、東労組が妥結した。JR本体には鉄道業務を一つも残さず数百の会社に外注化し、労働者を子会社に転籍させ非正規職に突き落とす攻撃だ。すでに攻防は始まっている。安倍とJRは「労組のない社会」のモデルをJRでつくり、それを社会全体に広げようとしている。

9億円の贈賄の証拠隠滅

 全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に対し昨年以来、労働組合の正当な活動を行ったことを「犯罪」とみなして延べ89人もの組合員を不当逮捕する弾圧が続いている。全労働者・労働組合の労働基本権を奪う安倍政権の国家意思であり、改憲の先取りだ。
 五輪は徹頭徹尾、大資本の利益のために開かれるイベントだ。招致委員会が「海外コンサルタント費」の名目で支出した9億2100万円の会計書類の所在が不明であることが暴かれた。フランスの捜査当局が贈賄疑惑で日本オリンピック委員会(JOC)前会長の竹田恒和(今年6月に辞任)の訴追に向けた準備を進めている中で、犯罪の証拠を組織的に隠滅したのだ。腐敗と利権まみれの犯罪者連中が、労働者人民を犠牲にして金もうけをするのが五輪だ。五輪を口実に進められる安倍政権、小池都政の労働者人民への攻撃と現場から対決し、労働運動の力で粉砕しよう。

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