大嘗祭強行を弾劾する 巨額の税金をつぎこみ、国家が天皇「神格化」のカルト的儀式

週刊『前進』02頁(3089号01面04)(2019/11/28)


大嘗祭強行を弾劾する
 巨額の税金をつぎこみ、国家が天皇「神格化」のカルト的儀式


 税金を使って首相が主催する「桜を見る会」とその「前夜祭」で大規模な違法接待が行われていたことが暴露され、安倍政権は今や崩壊寸前の窮地に追い込まれている。この疑獄の真っただ中で、安倍は日本中で沸き起こる民衆の怒りの声から身を隠すように、11月14日夕方から15日未明までおよそ9時間にわたり皇居に入り浸っていた。一連の天皇代替わり儀式のピークと位置づけられる大嘗祭(だいじょうさい)に参列するためである。16日も「大饗の儀(だいきょうのぎ)」と称する関連行事に参加するため皇居に向かった。要するに天皇制の儀式などというものは、安倍のような汚濁にまみれた権力者や支配階級にとっての隠れみのであり、沸き起こる労働者民衆の怒りを抑えつけて国家の前に平伏させるための手段でしかないのである。

憲法20条、89条違反は明らかだ

 本紙3077号の「天皇制問題Q&A」でも明らかにした通り、「大嘗祭」とは、「新天皇が神殿の中で天照大神(アマテラスオオミカミ)と一晩寝食を共にすることで神性を獲得する」という神道の儀式である。天皇制イデオロギーにおいては新天皇即位儀式の中で最も重要なものとされ、これを行わないうちは正真正銘の天皇とは認められない(半人前にすぎない)とされる。マスコミなどはこれを「天皇が国民の安寧と五穀豊穣を祈るための儀式」などと説明しているが、実際には天皇に「神格性」を付与することを目的としたものであり、それ自体が実に荒唐無稽(こうとうむけい)なカルト宗教的儀式にほかならないのである。
 このように、「大嘗祭」はあまりにも国家神道的色彩が濃厚なため、戦後の歴代政府の公式見解でも、現行憲法7条で列挙される「天皇の国事行為」の中に含むことはできないとされてきた代物だ。にもかかわらず、こうしたあからさまな宗教行為に27億円、一連の代替わり行事全体で166億円もの税金が使われたことは、特定の宗教への「公金その他の公の財産」の支出を禁じた憲法89条違反である。また首相や閣僚などが参列すること自体も「国及びその機関は……いかなる宗教的活動もしてはならない」とする憲法20条に違反する。巨額の税金を使っておきながら、「大嘗祭」の中身を「宮中の秘儀」などとして非公開にしていることも、本来なら憲法上許されないことだ。
 だが、こうした何重もの憲法破壊行為を重ねながら、荒唐無稽な儀式を国家の力でとにかく強行しない限り、天皇制は成り立たないのである。

戦前型国家への転換を狙う安倍

 11月3日の全国労働者集会に先立ち、韓国・民主労総ソウル地域本部と動労千葉国際連帯委員会が戦犯企業・三菱への抗議闘争(本紙3083号で既報)を行った東京駅丸の内中央口で、14日には大嘗祭に抗議する集会が開催された。戦前のように天皇制が全社会を制圧し、人民をまるごと戦争に動員するほどの力をもつためには、国家暴力によって階級闘争を鎮圧し、これに反対する者をことごとく弾圧・一掃することが不可欠となる。だが、安倍の狙いは大破産し、今や11・3労働者集会をはじめ労働者民衆の団結した闘いが生き生きと歴史の前面に登場している。その先頭には、社会の根底的変革をめざす10代、20代の青年・学生が立っている。
 これに対し、改憲を狙う安倍政権は、関西生コン支部への大弾圧やJRにおける労働組合つぶしを通じて、日本社会を「労働組合のない社会」に変え、その上に天皇を君臨させた戦前型の戦争国家をつくろうと必死になっている。この攻撃を打ち破って関生支部を絶対に守りぬき、今こそ改憲・戦争阻止の闘いを全国で巻き起こそう。
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