誘導路裁判 国とNAAを徹底追及 騒音と基本計画を焦点に

発行日:

週刊『前進』04頁(3092号03面02)(2019/12/09)


誘導路裁判
 国とNAAを徹底追及
 騒音と基本計画を焦点に


 12月3日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は農地強奪・住民生活破壊の成田空港拡張計画への怒りも新たに闘った。
 この裁判では、被告の国と成田空港会社(NAA)に対し、B滑走路の2500㍍への延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という、基本計画を無視した二つの変更許可処分の違憲・違法性を追及し、B滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めている。
 弁護団はまず騒音問題でNAAを追及した。空港周辺の騒音被害の基準として弁護団が「欧州夜間騒音ガイドライン」をもとに健康への深刻な影響を指摘してきたことに対し、これまでNAAは同ガイドラインにけちをつけ適用を否定してきた。ところが14年にNAA自身が行わせた「騒音健康影響調査」では、同ガイドラインに依拠しており、実質上採用している。
 深夜の航空機騒音が、周辺住民の睡眠を奪い、血管や心臓などの深刻な病気につながるという現実を無視することはできない。「それは欧州の問題で日本では関係ない」というNAAの姿勢は認められない。第4次厚木爆音訴訟などでも判決文の中に科学的知見として同ガイドラインが認められている。成田の騒音は総量で厚木の10倍以上と計測されている。
 成田空港が深夜早朝の飛行時間を延長し、住民の生活と健康を一層破壊しようとしていることは許されない。
 またNAAは、自らが実施させた「騒音健康影響調査」の報告書を証拠として提出しながら、調査委員会の議事録の提出を拒み、研究者の名前・肩書きなどもすべて隠している。冗談ではない! 公開するのは社会的常識だ。すべて開示せよ。
 さらに弁護団は、これまで基本計画を無視して違法な施設建設を続けてきた上に、11月に基本計画を「改定」し途方もない拡張を行おうとしていることについて追及した。
 ①A滑走路に並行する「B'暫定滑走路」がいつのまにか「B滑走路」になり、基本計画改定によって今度は1000㍍延伸し3500㍍にされようとしている。
 ②着陸帯の幅を300㍍としていたものが、改定で280㍍に減らされた。現在のB滑走路はそれすら満たしていない。
 ③これから建設されようとする第3滑走路(C滑走路、3500㍍)とB滑走路とは、中心線同士が300〜500㍍しか離れていない。互いに独立して運用することのできない、極めて危険な滑走路である。
 ④当初の基本計画では空港敷地が1065㌶としながら、誘導路などの施設の継ぎ足し建設で現状は1400㌶。そして基本計画の改定で2600㌶にされ、広大な地域が破壊される。
 これらの諸点を今後徹底的に追及していくことを明らかにした。
 千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。葉山岳夫弁護士(写真)をはじめ弁護団が法廷での応酬を振り返り、動労千葉の滝口誠さん、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行った。決戦本部長の太郎良陽一さんが12・14現地闘争&団結いも煮会、12・24公聴会(芝山町)弾劾、1・16請求異議控訴審第2回(東京高裁)と連続する闘いへの決起を訴えた。

このエントリーをはてなブックマークに追加