米軍ヘリ部品の落下事故2年 沖縄現地から怒りの上京

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週刊『前進』02頁(3093号02面02)(2019/12/12)


米軍ヘリ部品の落下事故2年
 沖縄現地から怒りの上京

(写真 上京した「チーム緑ケ丘1207」の母親3人が涙ながらに政府要請行動の経過を報告し、「力を貸してください」と訴えた【12月7日 東京・文京区】)

 12月7日、沖縄県宜野湾市の緑ケ丘保育園に米軍ヘリの部品が落下した事故から2年を迎えた。米軍は大型ヘリコプターCH53Eからの落下物であることを認めず、沖縄県警の調査も進んでいない。
 6日、保育園の保護者・職員らでつくる「チーム緑ケ丘1207」と神谷武宏園長ら5人が上京し、3度目となる政府要請行動に臨んだ。保育園側の要求は、①事故の原因究明、②原因が究明されるまでの米軍機の飛行停止、そして③緑ケ丘保育園上空の飛行禁止というきわめて当然のシンプルなものだ。
 交渉の冒頭、神谷園長は「状況はますますひどくなっている。米軍普天間飛行場の飛行ルートから緑ケ丘保育園は外れているはずですが、毎日のように園上空を飛び交っている」「昨年『調査中』だと言った警察庁の方からどんな調査が展開しているかお聞きしたい。外務省、防衛省にも現状をどう思っているのか、米側にきちんと伝えたのか、その回答をいただきたい」と詰め寄った。
 しかし、警察庁の回答は「米軍機からの落下物かについての確認は現在も取れていない」「(事故の再現実験については)どういう再現がふさわしいか検討中」。防衛省も、6〜8月に沖縄防衛局職員が実施した調査結果を12月に米側に示したとしながら、その詳細も明らかにせず「取り組みを継続する」と答えるのみ。米軍は事故直後、落下物を米軍のものと認めたものの、上空を飛んでいたCH53Eからの落下物ではないと主張しているが、防衛省はこの回答の真偽を確かめようともしなかった。
 園の保育士は、「事故がないように保育を行っていますが、空から落下するものまで誰が予測できますか。命は平等に保障されるはずなのに、どうして米軍機によって脅かされるのでしょうか。どうか保育園上空を飛ばないという約束を守ってほしい、守らせてほしいです」と訴えた。
 「なぜ、ヘリはここを飛んでいるの? 子どもたちの安全よりも大事なの? 私たちに納得のいく説明、心ある対応をお願いします」と訴えたチーム緑ケ丘1207のお母さんたち。この訴えを踏みにじることなど許されない。

都内で報告会

 翌7日には、東京都内でチーム緑ケ丘1207の政府要請行動の報告会が行われた。
 神谷園長は、事故後も変わらず上空を飛び交う米軍機の映像などを用いて現状を訴え、これまでのチーム緑ケ丘1207の取り組みなどを報告。米軍統治下の1959年に石川市(現うるま市)の宮森小学校に米軍ジェット機が墜落し、小学生11人を含む18人が死亡した事故にも触れ、「米軍の傲慢(ごうまん)さは60年前と同じ。しかし子どもの命を思う母親の思いも60年前と変わらない」と、本土の人々に問題の共有を強く求めた。
 3人のお母さんは、子どもを残して東京まで陳情に行く大変さや、日本政府の対応のあまりの不誠実さへの怒りを涙ながらに語り、「今日の話を周囲の人に伝えてください。国を動かせるよう、力を貸してください」と語った。
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