特集 激動する世界の階級闘争 国際連帯で戦争なくせ 資本主義は終わりだ!

週刊『前進』08頁(3097号02面01)(2020/01/01)


特集
 激動する世界の階級闘争
 国際連帯で戦争なくせ
 資本主義は終わりだ!



(写真 11月9日、韓国・ソウルで開かれた民主労総の10万人の労働者大会に動労千葉訪韓団120人が参加し、国会デモも共にやり抜いた)

(写真 香港 11月25日、区議会議員選挙での民主派の大勝後、理工大学周辺に集まり占拠中の学生に声援を送る労働者・学生)

(写真 韓国 12月15日の移住労働者文化祭。移住労働者も民主労総に加盟し、作業場を移動する自由などを求めて闘っている)

(写真 日本 11月3日に東京で全国労働者総決起集会が開催され、集会後は呼びかけ3労組を先頭にして銀座をデモ行進した)

(写真 アメリカ 19年1月のロサンゼルス統一教組のストにチャータースクール【公設民営校】の教師たちも合流)

(写真 イタリア ローマで10月14日、9月に誕生したばかりの反極右を掲げる「イワシ運動」のデモに数万人が参加)

(写真 チリ 大統領の辞任を求める10月のデモ。25日には120万人が立ち上がり、APEC首脳会議は中止に追い込まれた)

(写真 イラク 高い失業率、汚職の横行に怒る若者が中心となって反政府デモがバグダッドで始まり、全国各地に拡大している)

 労働者民衆に戦争・貧困を強いて延命しようとする資本主義。それをのりこえ新しい時代を切り開く労働者民衆の決起が全世界で始まっています。激動する世界の階級闘争のリポートと、火を噴く改憲阻止決戦の最前線から動労千葉委員長の関道利さん、杉並区議会議員の洞口朋子さん、動労総連合青年部長の山田和広さんのアピールを掲載します。国境を越えた団結で世界革命へ前進しよう!

(写真 【左】洞口 朋子さん【上】関 道利さん【下】山田 和広さん)

労組なき社会にさせない
 動労千葉委員長 関 道利さん

 あけましておめでとうございます。昨年9月の第49回定期大会で、動労千葉4代目の委員長になりました。全国の仲間の皆さんのご支援に心より感謝いたします。
 JRの職場は前代未聞の攻撃との闘いの渦中にあります。JR東日本は今年度末で運転士・車掌の職名を廃止し、「同一担務は最大10年」「配転については任用の基準で行う」という攻撃をかけています。
 乗務員は鉄道業務の中心をなす職種です。その乗務員をあえて職名まで廃止して徹底的に攻撃する。JRの全労働者に「これまでの常識は通用しない」と突きつけ、「ショック・ドクトリン」のような形で現場労働者の誇りと団結を解体する狙いです。検査・修繕部門でも「現場に直結した業務はグループ会社」と位置づけ、「JR本体には鉄道業務は一つも残さない」「全部外注化し、労働者ごと子会社に突き落とす」という攻撃が開始されています。
 それは安倍政権の「働き方改革」攻撃そのものです。JRは「正社員解体」を通して「非正規職だけの社会」「解雇自由社会」をつくる先兵になろうとしています。
 さらに国鉄分割・民営化攻撃の手先となった御用組合=JR東労組まで解体し、社友会を組織しています。会社主導の「社員代表組織」で職場を支配する。経団連の労働法規委員会で「労働者代表法理の明確化」が議論されていますが、その委員長はJR東日本会長の冨田哲郎です。首相官邸や経団連と一体となって「労組なき社会」のモデルをつくり、社会全体に広げようという重大な攻撃です。
 私たちはこの攻撃に対して各職場で職場代表選挙の闘いに立ち上がっています。私も強制出向された職場で職場代表をかちとりました。民営化・外注化攻撃、「労組なき社会」攻撃は必ず粉砕できると確信し、組織拡大で過半数労組として労働者代表をかちとるべく闘っています。
 私たちは昨年の11月労働者集会を「非常事態下の集会」だと訴えました。それは国鉄闘争や闘う労働組合の全国ネットワーク形成をめざす闘いを20年以上共に闘ってきた連帯労組関西地区生コン支部の仲間たちに、未曽有の大弾圧が加えられているからです。ストライキや団体交渉、抗議行動がことごとく「威力業務妨害」「強要」「恐喝」にデッチあげられ、まるで労働組合が禁止されていた戦前のような、労働組合の存在自体を許さない大弾圧です。それはJRの攻撃と一体です。
 労働組合がつぶされたとき改憲・戦争が現実のものとなります。労働基本権と全労働者の未来を守るために、関生支部への大弾圧とJRにおける「労組なき社会」攻撃を絶対に許すわけにはいきません。私たちは現代の産業報国会化攻撃を打ち破り、改憲発議を絶対に阻止する闘いに立ち上がります。
 3月ダイ改―ワンマン運転拡大に対して、地域の怒りと一体となり、「闘いなくして安全なし」「反合理化・運転保安確立」に向けて闘います。春闘では、JR貨物における差別人事評価制度と低賃金の打破、CTS(千葉鉄道サービス)における大幅賃上げ獲得が重大な闘争課題です。ついに国家的不当労働行為の真実を暴き出した国鉄1047名解雇撤回闘争では、この真実を武器に解雇撤回に向けて高裁・中労委闘争に立ち上がります。
 農地取り上げとの決戦の渦中にある三里塚との労農連帯をさらに強化し、今後も全国の仲間とともに闘います。

住民の先頭で再開発を止める
 杉並区議会議員 洞口 朋子さん

 あけましておめでとうございます。昨年の杉並区議会議員選挙では、全国から支援に駆けつけていただき、3275票・18位での当選をかちとることができました。この場を借りてお礼を申し上げます。
 「若者の声を杉並から!」をスローガンに掲げ、「改憲・戦争を許さない」「阿佐ケ谷再開発絶対反対」を訴えて闘った昨年の選挙戦では、都政を革新する会の古くからの支持者の方々だけでなく、これまで接点のなかった多くの人々、とりわけ私と同世代の青年や女性と新たに出会うことができました。今でも駅前で演説やビラまきをしていると、「あなたに投票しました」「がんばってください」と声をかけられ、毎日のように励まされています。
 杉並区では、田中良区長が進める阿佐ケ谷再開発をめぐって、住民の反対の声が大きく広がっています。2019年10月には、田中区長が再開発の前提となる「仮換地」を議会にもはからずに強行しました。区民の共有財産である杉並第一小学校の土地を区が勝手に処理したことに、多くの住民が抗議しています。あきらめている人はいません。陳情やアンケート、情宣活動、座り込み行動など、できることは何でもやろうという機運がどんどん広がっています。今まで田中区政は児童館の廃止などやりたい放題をやってきたけれど、今度ばかりは絶対に許さない、絶対に止めたいと多くの住民が決意を新たにしています。私もその先頭で断固闘う決意です。
 区議会では、日本共産党などの野党は田中区長にいろいろ注文を付けながら、最後には賛成するということを繰り返しています。こうした中で、たった一人でも住民の立場に立って絶対反対で闘うことが、議員としてどれほど大切なことかを実感しました。まだまだ勉強中の身ではありますが、今年も住民や労働者の立場で闘う議員として、議会内外で大いに奮闘したいと思います。
 何よりも今年は、「改憲絶対阻止!」「安倍政権を倒そう!」の大きなうねりを杉並からつくっていくために、昨年の選挙の時以上に街頭に出て区民に訴えたいと思います。今の社会では多くの若者が未来を描けず、労働者は人間らしく働いて生きる条件を奪われています。私は「議員として」というより革命家として、青年や女性に「一緒に闘おう、世の中を変えよう」と呼びかけていく決意です。今年もよろしくお願いします!

全国の職場で労働運動やろう
 動労総連合青年部長 山田 和広さん

 全国の青年労働者のみなさんへ、この社会を自分たちの手で変えるために、私たちと共に闘いに立ち上がろうと訴えます。職場と地域で怒りの声を組織して反撃に打って出よう。
 いま青年に降りかかっている現実は、資本主義がひとつの社会として破綻(はたん)していることを示しています。
 JRの職場では、鉄道業務をJR本体から一掃する全面外注化と無人化が進められています。線路の点検と補修、電気設備、駅業務、列車の検査・修繕までもがどんどん外注化されています。外注先のJR関連会社では、労働者が月15〜17万円程度の低賃金でこき使われ、労働条件も劣悪なために退職があいついで要員不足が発生しています。その矛盾を、JR本体の労働者をさらに出向させることで穴埋めし、乗り切ろうとしています。仕事で事故が起きても、親会社であるJRは責任をとりません。
 これは全国で青年労働者がおかれている現実だと思います。低賃金や長時間労働、同僚とのいがみ合い、管理職からの理不尽な仕打ちに対して何ができるのか。退職するか、メンタルを壊されるまで耐えなければならないのか。私たちはこの現実を変えるために、全国の職場で階級的労働運動をよみがえらせることを訴えます。職場で怒り、悔しさをかみしめている労働者を信頼し、悩みをうち明け、仲間と支えあい、職場の労働者の組織化にこだわろう。職場闘争に責任をとる立場で労働者の団結に徹底的に依拠しよう。
 私の加入している動労西日本では、JR西日本の外注会社である広島メンテックで働いていた組合員が試用期間中に雇い止め解雇されました。広島メンテックは「企業には採用の自由があるから、雇い止めは自由にできる」「JRを批判する内容の労働組合のビラ配りは許さない」と露骨に言いました。しかし、動労西日本は解雇撤回闘争をやりぬき、広島県労働委員会が不当労働行為を認定し、解雇撤回の勝利命令を出しました。この闘争を通じて、JR関連会社の青年とつながりが広がりはじめています。闘えば勝てるし、仲間ができます。
 資本主義が行きづまり、侵略戦争をする以外に帝国主義が生き残る道はなくなっています。安倍政権は何度も危機に立たされながら、改憲と戦争へ突き進んでいます。戦場に行かされるのは、私たち青年であり、私たちの子どもたちです。戦争は絶対に許すわけにはいきません。
 労働組合破壊と対決する全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の闘いと、動労総連合の闘いに続こう。改憲・戦争阻止!大行進運動を各地で発展させよう。青年はともに先頭に立って闘おう。

東アジアから革命の炎を

(写真 香港の社会福祉労働者は、スト最終日の12月19日、「自由がなければ、死んだ方が良い」などのスローガンを掲げてデモ)

韓国
 民主労総のゼネストを先頭に韓国の労働者民衆がパククネ政権を打倒し監獄にたたきこんだ2016〜17年の「ろうそく革命」以来の闘いのなかで、民主労総の組合員がついに100万人を突破した。その鍵は、青年・女性労働者をはじめとする非正規職労働者の組織化だ。「労働尊重社会」や「非正規職ゼロ」を掲げながら財閥の利害を代弁するムンジェイン政権に対し、旭非正規職支会を先頭に、トルゲート(高速道路の料金徴収所)をはじめ多様な現場から非正規職労働者が続々と闘いに立ち上がっている。
 11月に民主労総が開催した全国労働者大会には10万人が参加し、労働法制改悪阻止の総力闘争を宣言。11月下旬には、鉄道労組が民営化絶対反対のゼネストに決起した。
 韓国の労働者階級は同時に、改憲・戦争を狙う日帝・安倍による侵略と植民地支配の居直りと真っ向から対決し米日韓軍事同盟粉砕へ闘っている。動労千葉が民主労総ソウル地域本部との間に築いてきた連帯を発展させることが新たな戦争を阻む。

香港
 香港での「逃亡犯条例」改悪に反対する闘いは、理工大学での攻防戦と区議会議員選挙の勝利のなかで、不屈に続いている。労働者が昼に一斉に街頭に繰り出してデモをする「あなたと一緒にランチ」行動は連日闘い取られている。
 社会福祉労働者は、12月17日から19日まで、林鄭(りんてい)政府に抗議する3日間のストライキに立ち上がった。最終日の午後にはデモを行い、終了後にエディンバラ公園で「『闘いを堅持し希望を見る』行動を展望する」集会を開催して、「さらに多くの労働組合を組織し、香港全土ストライキを」と訴えた。
 この場で発言した香港音楽労働者労働組合は、23日から5日間のストに立つと宣言した。スト期間中にはクリスマスがあり、闘いの現場で音楽活動を展開するとし、闘いの理念と「白色テロとの闘い」を訴えていくと決意を述べた。香港の闘いは高揚の中で2020年に向かっている。

全米ゆるがすストライキ

(写真 1月にロサンゼルス統一教組3万人は賃上げと教育環境の改善を求め30年ぶりにストを決行。高校生もピケットラインに合流した)

 アメリカは現在、ダイナミックな労働運動再生過程のただ中にある。
 18年のウェストバージニア教組のストを引き継ぎ、19年1月、カリフォルニアのロサンゼルス統一教組(UTLA)が、教育予算の削減と民営化に反対して30年ぶりの大ストライキに立ち上がった。 7日間の闘いは保護者や児童、地域の労働者の熱い支持を受け、市庁舎前で開催された集会には6万人が結集した。UTLAは、賃上げやクラス人数の削減、看護師や図書館司書など専門職教師の常駐体制、テストの半減、チャータースクールの規制などをかちとる大きな勝利を実現した。
 教育ストが全米へと拡大するなかで10月に闘われたシカゴ教組のストは、数十年ぶりとなる全米自動車労組(UAW)のゼネラルモーターズ約50工場でのストとも結合し、産別を越えた団結をつくり出した。
 トランプ政権の移民への攻撃に対しても、労働組合が先頭に立って強制送還・収容反対の闘いを展開している。

欧州、緊縮政策に怒り爆発

(写真 12月5日、フランスでは1995年以来の大規模ゼネストが実現。全国で約150万人が抗議デモに立った【写真はパリ】)

 民営化と緊縮政策への積もりに積もった怒りが爆発しているのがヨーロッパだ。
 フランスでは、マクロン政権の狙う年金制度改悪への怒りが全土を覆っている。150万人がデモに参加した12月5日のゼネラルストライキを皮切りに、国鉄やパリ交通公団の労働者を先頭とするストは2週間以上も継続。過疎化に苦しむ地方の住民が燃料値上げに反対して始め、1年を超えて続いている黄色いベスト運動も合流した。発電所を止めるなど、闘いは非妥協的にエスカレートしている。
 イギリスでは、EU離脱問題で揺れるなかで、大学の教職員12万人が賃上げと年金制度防衛を掲げてスト。鉄道労働者も4週間のストに突入。郵便労働者もスト態勢にある。12月12日の総選挙では与党保守党が大勝したが、労働者の怒りは収まらない。
 イタリアでは10月に、ローマで市職員の削減に反対して公共機関を止めるゼネストが闘われた。極右の前副首相サルビーニらがあおる移民・難民への攻撃に反対する新たな闘い「イワシ運動」が始まった。反差別・反ファシズムの旗を掲げる青年の闘いに移住労働者も合流している。
 スペインのカタルーニャ自治州の独立をめぐる労働者民衆の闘いの背景にも、緊縮財政による生活破壊、失業、社会の崩壊への怒りがある。
 ドイツでも、ドイツ機関士労組(GDL)ベルリン都市鉄道支部の組合員を先頭に、民営化反対闘争が不屈に続いている。

「新自由主義の実験場」
 中南米で反乱

 アメリカ帝国主義によって「新自由主義の実験場」とされ一握りの富裕層に踏みにじられてきたラテンアメリカ諸国で、ついに歴史的な大反乱が始まった。
 チリでは10月、地下鉄運賃値上げを政府が発表したことに対して高校生や大学生を中心とした無賃乗車デモ、暴動、さらに公務員や港湾・医療・教育労働者などを軸にゼネストが闘われた。25日のデモは1990年の民主化以降最多の120万人に。11月12日のゼネストには、首都サンティアゴだけで30万人以上が参加した。40年以上にわたる新自由主義に対する怒りの爆発だ。
 エクアドルやコロンビアでも、腐敗した政府に対する闘いが巻き起こっている。

侵略と腐敗にNO
 火を噴く中東

(写真 政権打倒を掲げる10月のレバノンのデモ)

 19年は、中東諸国の労働者人民が帝国主義の侵略戦争と、腐敗・堕落した自国の支配階級を打倒する闘いに総決起する歴史的な年となった。
 米帝は、01年のアフガニスタン侵略戦争以降、中東を戦乱のなかにたたき込み、トランプ政権下ではシリアへの侵略とイランに対する軍事的挑発を強めてきた。それが中東全域の崩壊的危機を一挙に促進した。
 しかし、労働者人民はイラクを始めイラン、レバノン、エジプトなどで宗派的対立を克服して闘いに決起している。
 イランでは11月、予告なしのガソリン価格値上げに対して、米帝の経済制裁下で生活苦にあえぐ労働者人民が反政府デモに立ち上がった。弾圧で11月中に1千人超が虐殺された可能性も浮上。他の諸国でも同様に治安部隊の弾圧にもかかわらず、青年労働者を先頭に膨大な労働者人民が歴史的決起を開始している。

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立ち上がる若者
全世界一斉気候変動デモ 9月20日

(写真 インドネシア)

(写真 イタリア)

 19年は、急速に進む気候変動に警鐘を鳴らして10代・20代の若い世代が全世界で立ち上がる画期となった。16歳の活動家グレタ・トゥーンベリさんが呼びかける「グローバル気候ストライキ」は瞬く間に全世界を覆い、人々の命や地球の未来よりも企業の金もうけを優先する資本主義体制に根本的なノーを突き付けている。「自分たちの未来は自分たちでつくる」と宣言する若い世代の決起を支え、ともに闘おう。

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