「富岡―浪江」試運転弾劾 JR常磐線全線開通阻止を

週刊『前進』08頁(3097号08面01)(2020/01/01)


「富岡―浪江」試運転弾劾
 JR常磐線全線開通阻止を


 「乗客乗員の健康守れない」。12月18日、JR東日本は常磐線の不通区間、富岡(福島県富岡町)―浪江(浪江町)間の試験運転を始めた(地図)。区間は福島第一原発から最短で2㌔弱。帰還困難区域を通る。3月14日の全線開通で被曝労働を強要し、駅周辺などの避難指示解除によって住民の帰還を迫る暴挙だ。動労水戸の石井真一委員長は激しく弾劾した。19日付東京新聞もそれを報じた。

原発から2㌔弱列車走らせるな

 富岡―浪江間20・8㌔のうち、夜ノ森(富岡町)、大野(大熊町)、双葉(双葉町)の3駅を含む13・6㌔は帰還困難区域内だ。
 動労水戸はビラで「放射線量が高く人が立ち入ることもできない帰還困難区域の中を線路の敷地内だけ除染して列車を走らせようというのです。除染したといっても敷地内で毎時2㍃シーベルトもあるところが2㌔も続きます。線路の周りは山林も多く、いまだに数十㍃シーベルトある」と断罪。東京新聞は「線路や駅の避難指示が解除されてもその周囲は帰還困難区域に指定され続ける可能性が高いだけに、乗務員や乗客の安全には懸念が残る。......動労水戸などは9月、全線再開の中止を求める集会とデモを開いた」と報じた。

「高速なら放射性物質付かない」?

 JRは11月27日の動労水戸との団交で、なんと「必要な除染は終了している。列車は高速で通過するので車両に放射性物質は付着しない」と強弁。車両の放射線量を測定することも、放射性物質から防護することも、放射線の知識に関する教育も「実施する考えはない」と回答した。
 これに対し検査・修繕業務にあたる組合員は「電車のモーターなどを冷やすのに風を吸い込むけれど、そこを気吹き(圧縮空気で清掃)すればマスクしていても鼻の中まで黒くなる。......そのホコリに放射性物質が含まれていたら普通のホコリとはわけが違う」と弾劾。列車が高速で走るほど吸い込むホコリの量は増える。放射性物質が含まれたホコリや粉じんが体内に入ることで起こる内部被曝はごく少量でも危険だ。乗務員、保線作業員、駅員などにとっても重大である。怒りが職場に満ちている。

避難指示解除し帰還の強制狙う

 国と県、富岡町は12月20日、JRの3月ダイヤ改定直前の10日に夜ノ森駅周辺などの避難指示を解除することで合意。双葉、大熊両町についても4日、5日に駅周辺などの避難指示を解除する方向で調整しているという。避難に伴う賠償を打ち切り、後は「個人の責任」にして帰還させようとしているのだ。
 JRの常磐線全線開通は東京五輪を進める安倍政権と一体となって、原発事故を「もう済んだもの」として被曝と帰還を強制しようとする極悪の犯罪行為だ。
 JRの3月ダイ改を許すな。動労水戸と共に闘おう。労働者・住民の健康と未来のかかった闘いとして3・11反原発福島行動に立ち上がろう。

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