イラン・中東への侵略戦争許すな 自衛隊派兵は参戦だ 全世界の反戦デモに続こう

週刊『前進』04頁(3098号01面01)(2020/01/13)


イラン・中東への侵略戦争許すな
 自衛隊派兵は参戦だ
 全世界の反戦デモに続こう


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 アメリカ軍によるイラン革命防衛隊司令官殺害を機に中東の戦争危機が一気に加速している。このまま世界戦争へ突き進んでいくかのような攻撃の応酬が続いている。これに対して、アメリカをはじめ各国で反戦デモが行われている。全世界の労働者人民の闘いとともに、そして新たに決起を開始した中東の青年たちとともに、日本から戦争絶対反対―自衛隊派兵阻止の闘いに立ち上がろう。

米軍がイラン司令官殺害

 年末年始にかけて、米トランプ政権は「イランの攻撃からアメリカ人を守る」などと称して、一方的にイランへの軍事行動を起こした。12月27日と29日にイラクとシリア国内の親イラン組織を空爆。さらに1月3日には無人機(ドローン)による空爆で、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した。これは議会も通さず、トランプの指示で行われた。さらに、イラク駐留米軍約5千人に加えて、3500人を増派することも発表した。
 イランは報復を宣言し、8日にイラク国内にある米軍の駐留する基地2カ所に対して十数発のミサイルを撃ち込んだ。さらに、米軍が攻撃を続けるならアメリカの同盟国であるイスラエルやアラブ首長国連邦のドバイなどに攻撃を加えると発表している。
 12月27日に自衛隊の中東派兵を閣議決定した安倍政権は、戦闘が激化するイラン周辺に予定通り派遣すると発表。護衛艦「たかなみ」とソマリア沖で活動中のP3C哨戒機2機、隊員計260人を「調査・研究」と称して派遣するとしている。他方で、安倍自身は今月11日から予定していた中東訪問の中止を検討し始めた。
 自衛隊の派兵は、米トランプ政権の一片の正義もない中東侵略戦争に加担し、戦火のど真ん中に自衛隊を投入する暴挙だ。断じて許すことはできない。安倍政権はこの派兵をも利用して、改憲への世論をあおり立てようとしている。日本帝国主義として中東に軍事介入し、石油などの中東利権を確保しようと必死になっているのだ。

P3Cは1月出発、護衛艦は2月出航

 安倍政権は、P3C哨戒機を1月11日に海自那覇基地(沖縄県)を出発させ1月中に活動開始、護衛艦「たかなみ」を2月上旬に出航させて2月中に活動を開始させるとしている。自衛隊の海外派兵で国会審議が行われなかったのは、戦後初めてのことだ。
 特筆すべきは、昨年10〜11月にペルシャ湾での米主催の合同軍事演習に自衛隊が参加していたことだ。
 閣議決定では、自衛隊の活動範囲をホルムズ海峡より東側としているが、すでに活動を開始しているアメリカ主導の有志連合による「センチネル(監視員)」作戦との情報共有のために、ペルシャ湾内のバーレーンの有志連合本部へ自衛隊幹部を派遣するとしている。実際には共同で作戦を行うということであり、ペルシャ湾での共同訓練に参加していたことを踏まえれば、米帝のイラン侵略戦争への参戦さえ視野に入れていることは明らかだ。

米の中東支配は崖っぷち

 アメリカ帝国主義がここまで激しく戦争に向かっているのは、中東の人民を宗派ごとに分断し対立させることで維持してきた支配構造が人民の決起で転覆され、中東支配が総崩壊する危機にあるからだ。今回の米帝によるイラン攻撃は中東人民の決起を押しつぶすためのものだ。
 昨年10月以降、中東では「第2のアラブの春」とも言われる人民の新たな決起がイラク、イラン、レバノンなどで巻き起こっている(本紙3095号参照)。宗派の違いを超えて青年たちが生活インフラの回復や仕事を要求して支配階級に反乱を起こしている。
 各国の支配階級は必死になって暴力的な鎮圧を行っている。1千人の死者が出ているとも言われており、それによって青年たちの決起はいったん抑え込まれたように見えるが、原因は何一つ解決しておらず、広範な怒りが蓄積されている。
 また、1月5日にイラクで緊急に開かれた国民議会では、イラクに駐留する米軍の撤退を要求する決議が採択された。暫定首相が辞意を表明している中で、これから先どうなるかは不明だが、米帝の中東支配は今や崖っぷちだ。
 アメリカではすでに数万人規模の反戦デモが闘われている。自衛隊の中東侵略派兵を許すな。決起を開始したアラブ、イラン、イラク人民と連帯しよう。国会開会日闘争に立とう。横須賀からの「たかなみ」出航を絶対阻止し、戦争をとめるために総決起しよう。

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