3・11反原発福島行動へ 福島圧殺し核戦争ねらう安倍 汚染水の海洋放出を絶対許すな

週刊『前進』04頁(3108号03面01)(2020/02/17)


3・11反原発福島行動へ
 福島圧殺し核戦争ねらう安倍
 汚染水の海洋放出を絶対許すな

(写真 汚染水タンクで埋め尽くされた福島第一原子力発電所の構内の一部。だが、汚染水を保管し続けるのは原発事故を起こした東電と政府の責任だ)


 2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原子力発電所の大事故から9年目を迎えようとしている。福島原発事故は、いったん原発が巨大事故を起こせば周辺住民と全世界に取り返しのつかない被害をもたらすことを明らかにした。核と人類は共存できないのだ。にもかかわらず中東など世界情勢の激動化の中でアメリカ帝国主義は核兵器を実際に使用する攻撃を強めている。日本帝国主義・安倍政権も歩調を合わせている。これは支配階級が生き残るためなら、新たな原発事故・核戦争にすら訴えるという凶暴な攻撃だ。このような中で開かれる今年の3・11反原発福島行動は重要だ。今号から3回にわたり、福島をめぐる攻防と核戦争の危機を明らかにする。1回目は、汚染水の海洋放出の犯罪性について、2回目は核戦争への道を開くICRP勧告の重大性、3回目は福島での小児甲状腺がんの現状を取り上げる。

絶望的な原発の事故処理

 安倍政権は、2011年3・11事故の当日、政府が発令した「原子力緊急事態宣言」をいまだに解除できない。この一事をみても原発事故は収束していない。
 にもかかわらず、安倍政権は避難指示を次々と解除し、年間20㍉シーベルトの高線量地帯への帰還と被曝を強制している。そして、第一原発直近の双葉町と大熊町を貫通するJR常磐線を全線開通させ、動労水戸を始めとした労働者と乗客に被曝を強制し、「復興五輪」開催キャンペーンに利用しようとしている。
 福島第一原発の現場での廃炉作業は高線量に阻まれ、工事スケジュールは見直しの連続である。とりわけ最大の難関である「核燃料デブリ」(核燃料がメルトダウンし、圧力容器の鋼鉄や格納容器のコンクリートなどと溶けて固まったもの)は、いまだに全体像が分からず、取り出しのプランも確定せず絶望的だ。

漁民の怒りを踏みにじる

 現在、福島第一原発の事故の最大の焦点が汚染水の海洋放出をめぐる攻防だ。
 3基の原発がメルトダウン・メルトスルーした福島第一原発事故では、核燃料デブリを冷やし続けるために水を注入し続けており、日々大量の汚染水を発生させている。東京電力は、この汚染水に含まれる放射性物質をトリチウム(三重水素)だけにして、それを汚染水タンクにため続けていると称してきた。
 原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長はトリチウムの放射能は軽微だとして汚染水を希釈して海洋放出することを一貫して主張してきた。それを受けて政府は海洋放出の同意を取り付けようと18年8月下旬に公聴会を開いた。
 しかし、公聴会の場では漁民の怒りが爆発し、「海を目の前にして自分の判断で海に行って魚が捕れない。この苦しさが分かるか」「福島県の海が無くなる」と心の底からの怒りの糾弾が一斉に行われた。
 この結果、政府としてもタンクによる長期保存を検討すると発言せざるをえなくなった。ところが昨年12月23日に開かれた小委員会において経産省は、「海洋放出」「大気放出」「両者の併用」などの3案を提出。今月10日には政府小委員会が、海洋放出が「より確実に処分できる」と提言した。昨年8月の確認を踏みにじり、漁民の怒りをかき立てる内容だ。
 人類史上未曽有の大事故を起こし、広島原爆約168発分のセシウム137などを大量に放出し、福島と全世界の人民に取り返しのつかない多大な被害をもたらしておきながら、何の反省もなしに、さらに際限なく放射性物質を地球環境に放出しようというのは絶対に許されない。
 汚染水の海洋放出を許せば、福島第一原発事故の核災害を一層拡大させることになる。子々孫々への責任において絶対に許してはならない。
 日帝・安倍政権、東電、原子力規制委員会など原子力村の連中は福島原発事故を開き直り、日帝の核武装―核戦争への道を掃き清めようとしている。原発事故への怒りの原点に立ち返り3・11反原発福島行動に総決起しよう。

世界核戦争と原発再稼働

 日帝の改憲・戦争攻撃と米帝の世界核戦争の動きが激しく火を噴いている。
 日帝・安倍政権は2月2日に海上自衛隊護衛艦「たかなみ」の中東派兵を強行し、米国防総省は4日、米海軍が爆発力を抑えた小型核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を実戦配備したと発表、 5日には米空軍が大陸間弾道ミサイルの発射実験を行った。
 中距離核戦力(INF)全廃条約の失効にともない米日帝が沖縄・本土ヘ中距離核ミサイルの配備を狙っている。これらが示すものは、日米安保の核戦争へのエスカレートだ。
 だからこそ安倍政権は、そのためにも福島原発事故をなかったことにし、被曝への労働者階級人民の怒りと危機感を解体しようとしているのだ。
 日帝はまさに核武装のための原発再稼働を狙っている。原子力規制委員会は、東京から100㌔しか離れていない東海第二原発について2018年9月に審査を正式合格させ、地元東海村の山田修村長が再稼働容認発言を行い、4月にも再稼働のための防潮堤建設が始まろうとしている。
 原発再稼働をいっさい許さず、全原発廃炉に向かって立ち上がろう。
(城之崎進)

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