乗客を実験台に試験飛行 羽田都心低空ルートは世界一危険

発行日:

週刊『前進』04頁(3108号03面02)(2020/02/17)


乗客を実験台に試験飛行
 羽田都心低空ルートは世界一危険


 国土交通省は羽田増便=都心低空飛行の新ルートを3月29日から運用開始すると決定した。その前に試験飛行をして安全確認をする必要があり、1月30日から3月11日までに行うと決めた。
 通常は何カ月もかけて行う試験飛行を3月29日に間に合わすために、たった1カ月余りでやらざるをえなくなった。しかもチャーター機ではなく、実際に客の乗った通常運行の旅客機、「実機」でやったのだ。
 都心の住宅密集地、コンビナート上空、着陸時降下角の3・0度から3・5度への引き上げという世界一危険な新ルートの試験飛行である。世界のパイロットの誰もが3・5度のジェットコースター並みの急降下を経験したことも訓練したこともない。それを南風、北風の日に「実機」を試験飛行に投入したのだ。
 「試験飛行」をこっそり「実機飛行確認」と言い換え、しかも実機でやるのは住民の希望だとうそ八百を並べ立てている。乗客やパイロットを実験台にして危険がないかどうか調べるとは、乗客の命を奪ってもいいという殺人行為だ。これが安倍政権だ。
 アメリカのデルタ航空はこの実機試験飛行の無謀さにノーを突きつけ拒否した。カナダのエアカナダ機も羽田新ルートへの着陸を危険と判断し成田に行き先を変更した。
 こういうことをやってでも3月29日に運用開始するという国交省・安倍政権を弾劾し、実機試験飛行の責任をとらせよう。新ルート運用開始阻止、都心低空飛行を白紙撤回させよう。世界中の労働者と団結し、白紙撤回をかちとろう。
 2月2日(日)午後5時すぎ、品川区大井町駅西南側で私は巨大な飛行機を見た! ゴォーという爆音がどんどん大きくなる。周りの人たちも立ち止まって空を見上げている。すごい爆音と同時に機体が見えた! 大きい! ともかく大きい! 「低すぎる! 危ない!」と思わず声が出た。
 巨大飛行機は大井町駅から阪急の29階建てホテルの横っ腹に突っ込むように見えた! さらにその先にはそれより少し小さい機影が見えた。これはC滑走路へ入る、さっきのはA滑走路に入るのだ。両方の爆音はひっきりなしに連続して襲い掛かってくる。4分に3本の着陸の騒音というのはこういうことか!
 同日、品川区役所から見たという男性は「飛行機の音に気づいて空を見上げると巨大な飛行機の腹が真上に見えた。着陸のために出した車輪もはっきり見えた」と怒りを表明。
 これが1時間44機、1日3時間、1日計150機近く飛んでくるのだ。200万人に被害が及ぶ。特に大きな問題は南風着陸ルートの都心低空飛行と南風離陸ルートの川崎コンビナート上空の飛行だ。落下物や飛行機事故があれば大惨事になる。住民の安全と健康、生活と命の犠牲を前提にして顧みない暴挙は断じて許せない。主権は、国交省ではなく住民にあるのだ。決めるのは住民だ! 白紙撤回あるのみだ。
 羽田空港は日米安保条約―日米地位協定によって軍事空港として準備されている。東京の空は横田基地のいわゆる横田空域で制限されている。そのために非常に危険な新ルートを形成しているのだ。解決の方法はただ一つ。都心低空飛行ルートをとらないことだ。そのためにも、戦争反対・横田基地撤去、羽田の軍事空港化反対の闘いが大きな力になる。
 都心低空飛行反対の声に追い詰められ、実機を使った試験飛行で本性をあらわにした安倍・小池を弾劾し、責任をとらせよう。オリンピックを口実にした羽田増便=都心低空飛行に絶対反対し、白紙撤回をかちとろう。
(品川区在住労働者・柳田直子)
このエントリーをはてなブックマークに追加