労働者の団結が命守る 新型ウイルス問題の本質 新自由主義の医療破壊が元凶

週刊『前進』02頁(3109号01面01)(2020/02/20)


労働者の団結が命守る
 新型ウイルス問題の本質
 新自由主義の医療破壊が元凶


 昨年12月以来、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染者数は全世界で7万人に迫っている。中国国内での死者は1665人と発表された。私たち労働者階級がこの事態とどう向き合い、乗り越えるべきかを共に考えたい。

感染利用し改憲狙う安倍

 安倍・自民党をはじめとした改憲勢力は許せないことに、労働者民衆の命を救うために必死に手を尽くすのではなく、新型コロナウイルスの感染拡大を利用して改憲と戦争国家化を進めようと狙っている。
 自民党や日本維新の会はこの事態が国家にとっての「緊急事態の一例」であるとし、「緊急事態に個人の権限をどう制限するか。憲法改正の大きな実験台」「非常に良いお手本」などとあけすけに述べた。
 緊急事態条項の策定は、安倍・自民党が狙う改憲4項目のうちで憲法9条の破壊と並ぶ重大な攻撃だ。政府が「緊急事態」を宣言すれば、憲法の効力を停止して政府があらゆる権限を行使できる。令状によらない逮捕や家宅捜索、裁判なしでの処罰、言論・表現の統制、団体の解散、集会・デモ・ストライキの禁止なども可能となる。狙いは政府による独裁の確立と全人民の戦争動員だ。絶対に許してはならない。
 国家による強制力の発動は、今回すでに行われている。横浜では大型クルーズ船の乗客の下船が認められず、約3700人の乗員・乗客が停泊中の船内に事実上監禁されている。また、「日本の利益や公安を害する恐れ」を理由に入管法を発動しての入国拒否も実施されている。ハンセン病の患者に対してとられた強制隔離政策が繰り返される事態にもなりかねない。
 また、今回の事態をめぐって欧米を中心に中国―アジア人に対する差別やヘイトがあおられている。排外主義・愛国主義を鼓吹してきた安倍が、これをも改憲の追い風としようとすることを許すことはできない。

政府対応に怒る中国人民

 事態をここまで悪化させた責任は、まずもって習近平政権によるスターリン主義的人民支配と、そのもとでの徹底的な事実の隠蔽(いんぺい)にある。
 中国の警察当局は、新型コロナウイルスへの感染を最初に告発した医師らに対し「デマをまき散らした」として警告処分を行った。医師らは屈することなく命がけで診療を続けたが、2月7日にはついに30代の医師が死亡した。情報は厳しく統制され、1月下旬まで一般の人々には感染拡大の事実が隠されていた。
 しかし、事態を隠しきれなくなった中央政府は1月23日、武漢市に対して封鎖令を発した。国家体制を守るためには、地方の一都市を全滅させることもいとわないという判断だ。一切は、体制の崩壊をなんとしても食い止めるという意識性に貫かれている。
 さらに中国の衛生当局は2月9日、自分が新型コロナウイルスの感染者と接触したかどうかを確認できるスマートフォン向けアプリを公開した。顔認証機能を備えた監視カメラの画像を利用するものだ。この問題をもテコに民衆への弾圧態勢を強化しようという狙いは明らかだ。中国の労働者民衆はこうした政府の対応に怒り、感染の恐怖と物資欠乏の中でも自らと仲間を守って生き抜いている。
 今回の新型コロナウイルス問題は、必ずや中国スターリン主義の支配を覆す闘いを生み出すものとなる。

医療労働者の決起始まる

 感染拡大に拍車をかけているのは何よりも、新自由主義のもとでの医療の崩壊だ。それは香港やアメリカ、そして日本でも同じだ。安倍政権は09年度に61億円だった国立感染研究所の研究費・経費を、18年度は41億円に減額した。各国の政府は、この事態を根本的に解決する意思もその力も持っていない。
 こうした中で最も大きな影響を受けるのは労働者階級だ。中国やアメリカでは高額な診療費のために病院にすらかかれない人も多い。一方で、香港航空は旅客の減少を理由に400人の首切りを打ち出した。こうした流れがますます加速していくことは必至だ。
 香港では、昨年以来の闘いの中で新たに結成された医院管理局労働組合を先頭に命を守るためのストライキが次々と闘われている。医療労働者たちは、行政府に期待するのではなく団結した労働者自身の闘いが人々の命を守るのだと訴え支持の声が続々上がった。
 さらにアメリカではこの冬、インフルエンザ感染者が2200万人にも上り、死者数は1万2千人に達している(2月1日現在)。そうした中で1月末、シアトルの病院労働者8千人が人員補充と賃上げを求め、「患者に安全な医療を」と訴えてストに立った。
 日本でも、都立・公社病院の独立行政法人化や全国424病院の再編・統廃合攻撃を通じて医療切り捨てが急速に進められようとしている。命を守る力は労働組合の闘いにある。医療労働者を先頭に、医療破壊―社会保障解体に立ち向かう労働運動をつくり出そう。

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