香港 全医療労働者が決起 「政府の新型肺炎対策は怠慢」

週刊『前進』04頁(3110号03面03)(2020/02/24)


香港 全医療労働者が決起
 「政府の新型肺炎対策は怠慢」

(写真 火炭地区での検疫センターの設置に反対する住民の集会)


 新型コロナウイルスの感染拡大は、中国に隣接する香港を大きく揺さぶっている。特に医療の領域での危機が深まり、それに対する労働者人民の怒りが爆発している。医師や看護師の不足だけでなく、診療時に必要なマスクや防護服、消毒液などが不足し、あと1カ月で底をつくとされ、10万人の手術や検査が延期されている。医療労働者の労働も限界に達している。
 2月3日から7日までの医院管理局労働組合のストライキは、医師や看護師などの医療労働者がこの現状に怒り、医療現場の改善を求める闘いであった。そして今、この新たな戦闘的労働組合だけでなく、民主派系の香港看護師協会、さらには中国政府寄りの香港医療人員総労働組合などの体制内組合さえも、物資確保や特別手当を求める職場闘争を始めている。香港の医療労働者は今、極限的な状況の中で根底的な決起を開始しようとしている。
 一方で林鄭月娥(りんていげつが)香港政府は、香港の各地に18の特定診療所や隔離所を設けようとしている。だが、その多くが一般の居住区である。南葵涌区ではある診療所を新型コロナウイルスの特定診療所にしようとしているが、その診療所の向かい側は中学校であり、「子どもを守れ!」と、住民が激しい反対運動に立ち上がっている。「林鄭は市民を殺害し続けている。われわれは心を一つにして病気との闘いを絶対にやめない」「政府は解決能力がなく病気を拡大している。私たちは助け合い、病気を食い止める」などのスローガンを掲げてデモをしている。12日の黄大仙区での反対デモでは民衆が道路を封鎖し、28人が逮捕された。反対運動は香港各地で連日闘われ、多くの逮捕者を出しながらも続いている。
 中国スターリン主義・習近平体制は、独裁体制を護持するために初期段階で新型コロナウイルスの発症を隠蔽(いんぺい)し、放置した。そして「1人重病人が出たら、その家は破産する」といわれる中国の劣悪な医療体制の現実の中で、新型コロナウイルスの感染は一挙に拡大した。それが「一国二制度」のもとで中国の一部とされる香港に拡大している。
 だが香港政府は、中国スターリン主義の意を体現して、境界閉鎖はもとより必要医療物資などの供給や住民の安全対策を怠り、逆に感染が拡大し住民の命を脅かすがままの政策をとっている。これは「逃亡犯条例」改悪案でも林鄭がとっている姿勢そのものであり、それに対する香港の労働者人民の怒りが今、激しく爆発しているのである。香港解放、林鄭打倒へ、闘いは昨年来、一貫して続いている。
 中国、香港のみならず、全世界での医療の崩壊、新自由主義の破産の現実が、新型コロナウイルスの感染拡大としてあらわになっている。自分たちの体制を守るためには労働者を平気で死に追いやる帝国主義もスターリン主義も打倒しよう。労働者の国際的な団結で新たな世界をつくりだそう!

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