香港 感染拡大理由に解雇するな 航空機乗務員が抗議闘争

週刊『前進』04頁(3112号01面03)(2020/03/02)


香港
 感染拡大理由に解雇するな
 航空機乗務員が抗議闘争

(写真 香港航空本部前でプラカードを掲げる労働者。「会社は後ろで座して金を稼ぎ、前線の労働者を搾取抑圧している」「社会にモラルがなく、解雇に規則がない」などと書かれている【2月19日】)

 2月19日、香港航空は乗務員167人以上の首切りを発表した。これに対し、香港機上勤務労働者総労働組合はただちに反撃の闘いに立った。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、中国と隣接し、国際金融都市でもある香港の経済を破局的危機に追い込んでいる。海外から香港に出入りする人の数は激減しており、航空産業はこの影響を直接に受けている。感染拡大は、中国政府と香港政府による新型ウイルス発生の隠蔽や医療切り捨て政策が原因だ。一切の責任は、「香港と中国の入境封鎖」という労働者の要求にも一切応えなかった中国政府と香港政府にある。ところが香港航空は、コロナウイルスの感染拡大に伴う経営危機を労働者の大規模な首切りで乗り切ろうとしているのだ。
 2月19日早朝、香港航空は解雇の対象となる労働者に、なんと電子メールで解雇通知を送りつけてきた。その数は少なくとも167人である。労働者たちは、「即日解雇で詳しい説明もなく、理由も示さず、解雇に伴う手当も賠償もなく、ただ、ただちに制服を返せと言われ、会社に用済みにされた」と怒りを爆発させた。その日の内に機上勤務労働者総労働組合と解雇された労働者は香港航空本部前に集まり、抗議行動に立ち上がった。そして現在、解雇撤回闘争を全力で闘っている。「私たちは疫病の拡大の中でもずっと仕事をやりぬいてきた。しかし今日、会社は情け容赦ない手段で、私たちを解雇してきた」と訴えている。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済を激しい危機にたたきこんでいる。香港では特に顕著だが、アメリカや日本でも政治的・経済的危機が激化しつつある。とりわけ日本帝国主義・安倍政権は、東京オリンピックに延命のすべてをかけているがゆえに、今回の感染拡大を意識的に「隠蔽」し、「大したことがない」かのように装い、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗員・乗客を下船させず集団感染させるという大惨事をもたらした。ダイヤモンド・プリンセス号は「第2の武漢」となり、日本でも感染が日々拡大している。福島原発事故を「なかったこと」にするのと同じやり方だ。自分たちが生き残るためには労働者民衆の命などどうでもいいというのだ。このように平然と人命を無視した安倍政権のやり方に、世界中から激しい非難の声が上がっている。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制の崩壊的危機の中でとられた新自由主義的政策の展開とその破産の中で生じており、特に医療の崩壊がそれを生み出している。もはや帝国主義もスターリン主義も、統治能力そのものを失いつつある。
 この腐りきった世界をひっくり返すのは、労働者の団結した闘いである。今、香港の労働者は青年を先頭にして、新型コロナウイルスの感染拡大という困難な状況の中で団結し、新たな闘いに必死で立ち上がっている。香港の闘う労働者と連帯し、日本からも安倍打倒の闘いに立とう!
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