3・29三里塚全国集会へ 市東さんの農地死守が重大局面に

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週刊『前進』04頁(3112号03面01)(2020/03/02)


3・29三里塚全国集会へ
 市東さんの農地死守が重大局面に

(写真 1月12日、新年団結旗開きに先立ち、市東さん、萩原さんを先頭に新年初の敷地内デモに出た【成田市東峰】)

 三里塚芝山連合空港反対同盟は3・29全国集会の招請状を全国に発しました(前々号に掲載)。この呼びかけに応え成田市赤坂公園に集まりましょう。安倍政権は不正・腐敗にまみれながら、自らの政治生命をかけて9条改憲に突き進んでいます。職場・学園・地域、あらゆる現場で国家・資本と不屈・非妥協に闘う団結をつくり、「改憲・戦争阻止!大行進」運動を発展させ、改憲阻止決戦に勝利しましょう。

農民としての死を強制する農地強奪

 国鉄決戦と関西生コン支部への弾圧粉砕の決戦と共に、三里塚闘争もまた54年の闘争史上最大の決戦局面を迎えています。その最大の攻防点は成田市天神峰の市東孝雄さんの農地強奪を阻止する闘いです。
 情勢は緊迫しています。市東さんの農地取り上げの強制執行を阻んできた請求異議裁判控訴審において、東京高裁第4民事部・菅野雅之裁判長は、3月25日の市東さん本人を含む3人の人証調べと27日の顧問弁護団による最終弁論で結審を強行しようとしています。また、市東さん宅前の天神峰農地の強制収用を阻む新やぐら裁判(千葉地裁民事第2部・内田博久裁判長)も3月18日で結審を迎えます。判決次第では、1971年の大木よねさんへの強制収用以来の農地をめぐる実力攻防に突入します。
 現在、成田空港のB滑走路は、市東さんの南台の畑の存在によって誘導路が「へ」の字に曲がっています。成田空港会社(NAA)はこの湾曲した誘導路の危険性を承知しながら、2002年に供用開始を強行しました。そして03年に突如として、「土地の所有権はNAAにある」と登記を発表し、市東さんに明け渡しを求めてきました。対象地は天神峰、南台の2カ所。合わせて1・3㌶もの広大な農地であり、市東さんの全耕作面積の73%。営農に不可欠な育苗ハウスや作業場、離れ、トラクター置き場なども含まれます。市東さんの営農と生活を成り立たなくさせ、農民としての死を強制するものであり、絶対に許すことはできません!

NAAの土地取得は違法とデタラメ

 そもそも成田空港建設は国による公共事業として進められ、土地の強制収用は土地収用法による以外にありません。しかし、88年に千葉県収用委員会が解散し、収用裁決の請求権も89年に時効消滅しました。93年、空港公団(現NAA)は収用裁決申請を正式に取り下げました。さらに94年、公団はB滑走路建設のために「あらゆる意味において強制的手段は用いない」と社会的に宣言し、これまでの暴力的土地取り上げを「謝罪」しました。これらの事実により、任意買収以外に土地の取得はできなくなっているのです。
 しかし結局、なんとしても空港建設を推し進めたいNAAは、農地法を使って民事裁判で農地を取り上げるというデタラメな方策を繰り出してきました。
 市東さんの農地は、いわゆる「残存小作地」です。100年前に祖父である市太郎さんが開墾し、父・東市さんが耕し続けてきました。東市さんが太平洋戦争に動員され復員が遅れたために、戦後の農地改革でも登記手続きが適切に行われず、小作地として残されました。本来であれば市東家の所有地になるはずの農地なのです。
 小作地であることに目をつけた空港公団は、耕している小作人に無断で地主から土地を買収するという暴挙に出ました。そもそも、農地法では、農地の所有は農業に従事する者しかできず、売買の時も小作権者に買い取ってもらうか、同意を得なければならないと、農地の売買を厳しく制限しているのです。公団は市東家に無断で旧地主から底地を買収し、そのことを隠し続けて15年間登記もせず、市東家に小作料を旧地主に払わせ続けてきました。これらすべてが違法行為のオンパレードです。NAAの土地取得は無効であり、明け渡しを求める資格は1ミリもありません。

東京高裁包囲する3・25大デモを!

 13年7月、千葉地裁・多見谷寿郎裁判長はこれらの違法・無法にふたをしたまま農地強奪判決を強行しました。農民の生きる権利、耕す権利を否定し、市東さんに離農を強制する許しがたい判決です。しかも「強制的手段はとらない」との約束について、NAA自身が主張してもいない「話し合いが頓挫した場合は別」との文言を付け加えました。高裁と最高裁もこれを追認し、反動判決が確定しました。
 市東さんはNAAが裁判所に強制執行を請求する権利はないと請求異議の申し立てを行い、判決が確定してもその執行はさせないという前人未到の闘いを開始します。18年12月に千葉地裁・高瀬順久裁判長は農地強奪の強制執行を認める反動判決を下し、闘いの場は東京高裁へと移ります。控訴審勝利に向け、「強制執行を認可するな」と求める要望書を全力で集め、3・25東京高裁包囲デモ・傍聴―3・27最終弁論に駆けつけよう。
 反対同盟は裁判闘争を闘うと同時に、現地闘争を全力で展開してきました。80回を数える空港周辺地域一斉行動、敷地内デモ、天神峰カフェ、樫(かし)の木まつり、団結いも煮会など様々な取り組みを通して空港機能強化に反対する地元住民や闘う仲間との交流を深めたことで、市東さんの農地を守る闘いに熱い支持が寄せられています。
 危険を承知で羽田新ルートの都心上空低空飛行を強行する国への怒りと疑問も拡大し、改めて成田空港の完成を阻んできた三里塚闘争への注目が高まっています。市東さんの農地を守る闘いは、「今だけ、金だけ、自分だけ」の新自由主義との最大の攻防点です。資本主義社会が生み出すあらゆる災厄と生活破壊に怒りが増大しています。
 「軍事空港絶対反対、農地死守・実力闘争」の原則を半世紀以上貫く反対同盟と連帯しましょう。3・29赤坂公園に大結集し、安倍政権を打倒する火柱を上げましょう。
(土屋栄作)
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