労組の団結で地域守る ウォール街ではなく子どもを救え 米UTLAが休校要求

週刊『前進』02頁(3119号02面01)(2020/03/26)


労組の団結で地域守る
 ウォール街ではなく子どもを救え
 米UTLAが休校要求

(写真 子どもをもつ家庭のために設けられたドライブスルー式の無償食料提供所【ロサンゼルス・パノラマ高校前】)


 新型コロナウイルス(COVID―19)感染者数が欧米でも増加する中、3月12日にアメリカ・カリフォルニア州のUTLA(ロサンゼルス統一教組)がロサンゼルス統一学区(LAUSD)に対し、子どもや家族、労働者を守るために休校を要求した(全文別掲)。LAUSDは翌日、2週間の休校を決定した。
 UTLAは連日、組合員や保護者向けの情報をフェイスブックなどで発信し、市内60カ所でのドライブスルー式無償食料提供所の運営も積極的に担っている。
 アメリカでは皆保険制度がないことに加え、強力な労働組合がある職場以外では病休制度さえ整備されていない。このような状況下での感染拡大は、労働者民衆から雇用や住居、命までも奪うものだ。労働組合の闘いに、文字通り人々の命と生活がかかっている。
 カリフォルニア州オークランドでも、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)が闘いに立ち上がっている。乗客の感染が確認されたクルーズ船グランド・プリンセス号からの汚染物の荷下ろしを拒否する闘いだ。
 看護師の労組も、必要な装備や人員の不足を具体的に明らかにして当局に補充を要求。GMをはじめとする3大自動車メーカーも、現場労働者の闘いで全工場の操業を停止した。日本でも、この闘いに続こう。

学校の先制的閉鎖を求めるUTLA執行部の声明

 新型コロナウイルス、COVID―19はパンデミックである。かつてない健康上の危機だ。LAUSDではまだCOVID―19の症例は確認されていないが、ウイルスが幾何級数的に拡散する性質があることからして、また他の州や世界の諸外国の例からして、現在われわれは生半可な措置をとるわけにはいかない。
 従って、LAUSDのオースティン・ビュートナー教育長に、学区内の全ての公立学校とチャータースクールの先制的な休校を要求する。
 迫り来る健康危機に対処し、われわれの生徒、家族、地域を守る唯一の道は、全ての学校を速やかに休校することだと確信している。ロサンゼルスに、アメリカに広がっている不安を、われわれは理解し共有している。組合員たちに、LAUSDの助言を順守し、構内での緊急時対応計画に従うよう勧める。生徒やその家族の健康と安全を保証するために、やるべきことがたくさんある。
 数十万人のホテル労働者や他の低賃金労働者が失業の危機にある現在、ドナルド・トランプは、ウォール街と巨大企業救済を約束している。許せないことだ。われわれは、州政府と連邦政府に対して、この事態の影響をもっとも受ける生徒やその家族への支援資金を直ちに出すよう要求する。
 カリフォルニア州の経済規模は世界第5位で、準備金は200億㌦以上ある。こうした支援は可能だ。
 市、郡、州に対して、われわれは、われわれの生徒や労働者家族・地域社会に社会・経済的なセーフティーネットを求める。
 家庭における衛生措置のガイドラインを明確にすること。
 ロサンゼルス郡の全ての労働者に対して、COVID―19の隔離期間に相当する15日間の病気休暇を追加すること。使用者から病休を与えられていない全ての労働者には賃金が保障された病気休暇を与えること。
 子どもとともに家にいなければならない保護者が賃金を失うことがないように、週ごとの災害支援金を支給すること。
 COVID―19の検査と治療に関して、あらゆる経済的な障壁をなくすこと。医療保険の患者負担金(病院に行った際に支払う一定額の金)を廃止すること。
 食料・生活必需品の配布センターを設置すること。
 在宅中の生徒のために、無料で信頼性があるブロードバンドのインターネットアクセスを確保すること。
 負債の免除。家賃・ローン支払の猶予。住宅退去の停止。(電気代の不払いによる)停電措置の解除。
 生徒の出席率や評価基準未達成を理由とした学校への処罰をしないこと。
 ホームレス状態を余儀なくされている生徒を含む全ての生徒に、安全なシェルター、医療措置、支援を提供すること。
 障害のある生徒、特に医療的な配慮を必要とする生徒への追加支援措置、追加保護措置を供給すること。
 COVID―19の検査能力を、症状がなくても感染が疑われる場合を含めて高める必要がある。検査を必要としている個人・家族の経済的負担なしに行うべきだ。3月11日現在、3億2700万人以上の人口に対して、総計で1千件の検査しか行われていない。
 生徒たちを守りたいと主張する慈善家や億万長者らは、アマゾンとビル・ゲイツ財団がシアトルで始めたように、直ちにウイルス検査能力を大幅に高めるための支援を開始すべきだ。
 われわれは、学区、市、郡と州の当局とともに、子どもと家族が破滅的になりうるこの健康上の危機を乗り切れるように支援していく。(3月12日)

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