コロナ対策で朝鮮学校差別 さいたま市 マスク配布の対象外に

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週刊『前進』02頁(3119号02面03)(2020/03/26)


コロナ対策で朝鮮学校差別
 さいたま市 マスク配布の対象外に


 新型コロナウイルス対策として、さいたま市は3月9日から市内の幼稚園、保育園などの職員向けに市の備蓄マスクの配布を始めた。しかし、配布対象から埼玉朝鮮初中級学校の幼稚部を除外したことが明らかになった。「不適切に使用された場合、指導監督ができない」「転売されるおそれがある」という理由だ。
 直ちに朝鮮学校関係者、支援する会などが「人権上、そして人道上、到底看過できない。許し難い行動だ」と強く抗議を申し入れた。幼稚部の朴洋子園長は「1箱が欲しいのではない。子どもの命を平等に扱ってほしい」と訴えた。
 抗議を受け、さいたま市は埼玉朝鮮学校幼稚部にもマスクを配布すると発表したが、「不適切な使用」などと除外したことに対する謝罪は一言もなかった。
 SNSやネット上では「マスクを支給すると本国へ送り軍事転用されるから支給反対」などというヘイトスピーチやデマが拡散され、埼玉朝鮮学校には匿名のいやがらせ電話がかかっている。
■排外主義あおる安倍
 朝鮮学校は、1945年の日帝の敗戦後、植民地支配によって奪われた自らの言葉を取り戻そうと、貧困の中から「知恵のあるものは知恵を、お金のあるものはお金を、力のあるものは力を」をスローガンにつくられた「国語講習所」としてスタートした。その後、朝鮮半島の南北分断の厳しい状況の中を在日朝鮮人は必死に生きかつ地域で生活してきた。
 しかし安倍政権は朝鮮学校を高校無償化から排除し、朝鮮幼稚園や外国人学校の付属幼稚園も「各種学校」であるとの理由で幼保無償化から排除している。
 今年1月には在日の集住地域である川崎区桜本にある川崎市「ふれあい館」に「在日朝鮮人は抹殺しろ」との脅迫年賀状が届き、さらに「ふれあい館」を爆破するとの脅迫はがきも送りつけられてきた。2月29日には極右団体が東京・銀座で中国人を排斥する差別扇動デモを行った。3月には横浜中華街の中華料理店に「中国人はゴミだ! 細菌だ! 悪魔だ! 早く日本から出ていけ‼」などという手紙が送りつけられた。
 しかし、ふれあい館には日本各地や韓国から激励のメッセージが届き、中華街の店舗には激励の食事をする人が列をつくった。
■自治体の現場から反撃を
 新自由主義攻撃の破産と崩壊が明らかになり、労働者民衆の危機感と怒りが安倍に向かっている。
 外国人を含めた地域住民の命と生活を守るために働く自治体労働者が現場で声を上げて闘えば、攻撃を打ち破ることができる。
 1980年指紋押捺(おうなつ)拒否闘争では多くの在日朝鮮人が告発・逮捕を恐れず全国で決起した。習志野市では指紋押捺を拒否した在日朝鮮人青年が外国人登録済証明書の発行を求めたが、市当局は拒否。労組執行部も実質的に支援を拒否する中、指紋押捺拒否者と支援者、自治体労働者による対行政闘争が職場闘争として展開された。
 1985年、国鉄分割・民営化攻撃と闘う動労千葉と一体の職場攻防は、市役所内への警察権力導入、弾圧要員として動員された市職員との激突、闘う自治体労働者への処分にもひるまず闘われ、指紋押捺拒否者の不告発、登録済証明書発行をかちとった。この習志野の闘いは全国の自治体に波及した。
 現場を動かしているのは労働者だ。「コロナ情勢」の中、医療福祉労働者は、自らの命と全ての労働者の命と生活を守るために職場・地域で必死で取り組んでいる。
 今の職場の現状、腐り切った新自由主義社会を根底から変革するためには労働者自身が職場の権力を取る以外にない。自治体労働者、教育労働者を先頭に職場・地域で差別・排外主義攻撃と闘い、改憲・戦争阻止!大行進運動を発展させよう。4月東西入管集会に結集しよう。

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