日機本社工場で春闘スト 「赤字は現場の責任」に怒り爆発

週刊『前進』04頁(3126号02面03)(2020/04/20)


日機本社工場で春闘スト
 「赤字は現場の責任」に怒り爆発

(写真 ストライキ突入にあたり食堂前で昼休み集会を開催し、書記長が経過報告を行った【3月18日 東京・八王子市】)


 「赤字の責任を押し付けるな!」と80人余りの労働者のシュプレヒコールが工場中に響きわたった。JAM日本機械工業労組(東京・八王子市)の20春闘は3月18日、ストライキに発展した。新型コロナウイルスの感染が全世界に広がり、世界経済が激震し、多くの労組が春闘を延期したり、ベアゼロをのんだ。コロナ情勢下で春闘の解体が進む中、これをうち破るストライキとなった。

全国で残業拒否

 経済危機と春闘の解体が進む情勢下で、消防車を製造する日本機械工業資本は3期連続の赤字となり経営基盤が弱体化していた。回答が低額となることが予想され、組合員全体のムードも「どれだけ下げ幅を抑えられるか」と抑制的になっていた。大手労組の集中回答日の3月11日に出された回答は、予想通り、前年を大幅に下回るものだった。
 低額回答に加えて、労働者に責任を転嫁する資本の発言は組合員の怒りの火に油を注いだ。低額回答は「しょうがない」と思っていた組合員も、「赤字の責任は現場にもある」「50代は賃金の割に生産性が低い」という発言に、「労働者の誇りを傷つけるもの」と受け止め、即日の争議行為通告となったのである。
 しかし、資本の「赤字だから」という強圧的な態度は変わらなかった。これに対して同労組は、17日から八王子の本社工場をはじめとして東京、大阪、名古屋、仙台、札幌、福岡の各営業所の事務職も残業拒否闘争に突入した。営業での残業拒否は同労組でも初めてのことだった。
 労資が対立するまま、18日午前中までとする交渉期限が設けられた。しかし、資本の対応は変わらず、ついに労組は賃金カットも辞さず、4年ぶりとなるストライキを決断した。

他労組から支援

 同日の昼休み集会には金属産別労組や地域の労組が支援に駆け付ける中で、「スト決行」の立て看板が食堂前に掲げられた。そこに集まった組合員に対して書記長が経過報告を行い、執行委員長がストライキの意義を訴えた。
 昼休みの終了を告げるベルが鳴ると、ただちにストライキ突入の宣言を行った。全員が会社役員室前に移動し、ストライキ突入集会に移行した。駆け付けた他労組が連帯のあいさつを行った後、執行部が次々に決意を表明し、資本への怒りをたたきつけた。最後に怒りのシュプレヒコールを組合書記の音頭で行い、30分間の時限ストライキが貫徹された。
 これが資本を揺るがした。初回回答から500円アップの回答を引き出し、一時金の最低保証を約束させた。100人に満たないストライキだったが、労働組合の連帯を実現した。

命と健康守るぞ

 春闘の過程は、コロナの感染症が八王子市内でも発生して組合員の不安が増大し、緊急事態宣言がいつ発せられるのかわからない状況にあった。全組合員が参加する春闘妥結大会をめぐって議論となり、「開催か延期か」で揺れ動いた。執行部は密室での開催をやめ、消防車が並ぶ工場建屋内での開催を決めた。消毒液を準備し短時間にすることにして、31日に開催した。組合員もその努力を評価し、大会は成立した。
 妥結大会の最後に、執行委員長が「これからはコロナ対策に移行し、組合員の命と健康を守る闘いを行う」と宣言し、20春闘を締めくくった。直ちに、特別休暇の適用や感染防止策を資本に要求。4月14日には、組合員の切実な要求を受けて、雇用形態を問わず100%賃金を補償する休業を要請し、闘いを継続している。
(東京労組交流センター・山口弘宣)

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