〈投 稿〉 中央タクシーが営業所を閉鎖 コロナ解雇を撤回しろ 群馬合同労組執行委員長 清水彰二

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週刊『前進』02頁(3127号02面03)(2020/04/23)


〈投 稿〉
 中央タクシーが営業所を閉鎖
 コロナ解雇を撤回しろ
 群馬合同労組執行委員長 清水彰二

(写真 中央タクシー群馬営業所で抗議行動に立つ群馬合同労組【4月16日 群馬県藤岡市】)

 大変な時代が突然やってきました。労働組合と労働者の団結が生きる希望であることを具体的に私たちの実践で示さなければなりません。

全員解雇に反撃

 4月13日、成田・羽田空港への送迎乗合タクシーを運行する中央タクシー(本社・長野市)は、組合員を含むほとんどの群馬営業所従業員に解雇を通告しました。それを前後して群馬・新潟・栃木・山梨の営業所を閉鎖して、基本的に全従業員を解雇しました。
 群馬合同労組はそれに先立って団体交渉を申し入れていましたが、中央タクシーは「緊急事態宣言」の「多数での集まりの自粛」を口実に団体交渉の開催を拒否しました。そうしておいて、解雇通告の説明会をいきなり開催したのです。
 この説明会に抗議と宣伝・オルグの目的で登場した組合に対し、会社は「敷地に入るな」と妨害し、110番通報で警察車両5台がかけつける騒ぎの中で、従業員と組合の接触を阻み、弾圧を狙いました。
 群馬合同労組は、この解雇通告は解雇回避努力義務を果たしておらず、解雇権の濫用(らんよう)で無効であると、即座に解雇撤回を柱とした要求書を提出しました。
 また群馬バスでは、3月半ばから貸切バス部門が雇用調整助成金を使った休業体制に入ることを群馬合同労組に通知してきました。群馬バス分会は、それに先立って賃上げと組合員の長年の要求項目である貸切部門から乗合部門への異動(原職復帰)を柱とした春闘要求書を提出していました。群馬バスは同時に、新型コロナの影響の大きさを理由に団交の延期を組合に申し入れ、組合員の原職復帰の要求受け入れをあわせて通知してきました。粘り強く闘ってきた成果です。
 タクシーやバスの労働者は、感染リスクにさらされながら、解雇や休業と闘わなければなりません。

外国人を派遣切り

 一方、群馬合同労組には、この数年で外国人労働者の組合加入が増えていました。ほとんどが派遣労働者です。不当な言いがかりで見せしめに首を切られる、労災の多さ、妊娠して首を切られる、そもそも雇用契約がでたらめ……外国人派遣労働者がこんなにも簡単に使い捨てにされるのか、ということを見てきました。しかも、すでに解雇回避を条件に助成金を受け取っている派遣会社は、うそをでっち上げて自己都合退職にする悪辣(あくらつ)さが目立ちます。不当解雇で闘っても、1~2カ月の短期契約の反復なので、地位確認しようにも1~2カ月の賃金分しか取れなかったりします。裁判をしても損をするだけ。まさに奴隷状態です。そしてこの新型コロナ恐慌の中で、やはり最初に切られるのは彼ら彼女らなのです。

大失業と闘う展望

 労働組合が大失業と大恐慌の時代と対決して、どのように闘いの展望をつくり出せるのか——労働組合に根本的なこの問いが突きつけられていると思います。
 三つの点を言いたいと思っています。
 一つは、動労千葉の闘いに今こそ学ぼうということです。日本の新自由主義の入り口を開くために国鉄の分割・民営化が、労働組合絶滅攻撃として襲いかかりました。それは全員解雇攻撃でもありました。しかし日本の労働者も「正しい」指導があれば、どんな困難な闘いも勝利することができるということです。「義理と人情」を強調しながら、なぜ動労千葉がこんなに闘えるのか、肌身で学ぼうと強調したいです。
 二つは、時代の転換にあわせて運動の転換が必要だと思います。合同・一般労働運動も、個別の救済、少数の運動という狭い視点では個別の救済もできない時代が始まったと思います。この点で合同・一般労組全国協議会は解雇・休業の問題を、全労働者を組織する労働組合建設の契機ととらえて、労働者に食らいついていく必要があります。
 三つに、すべてのカギは私たち自身の変革にあるということです。全国協は昨年来、組織拡大に命をかけると確認してきました。経験交流集会の画期的な成功をふまえて、一つひとつの運動の前進や教訓を全国に生かしていく、インターネットやSNSでもしっかり発信をして労働者の信頼を勝ち取り、つながっていくことです。実践は始まっています。ともに勝利しましょう。
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