防護具を現場に寄こせ 米で医療労働者が一斉行動

週刊『前進』02頁(3127号02面04)(2020/04/23)


防護具を現場に寄こせ
 米で医療労働者が一斉行動

(写真 ミシガン大学病院前での抗議行動【4月15日】)

(写真 「利潤よりもPPEを」。一斉行動を呼びかけるポスター)


 新型コロナウイルス関連のストライキが激発するアメリカ(前号既報)全土で4月15日、命と地域を守る闘いの先頭に立つ医療・福祉・介護労働者が一斉行動を行った。ニューヨーク看護師労組、全米看護師連合などが、「全世界に伝えよう:(アメリカの医療)制度は崩壊している」「利潤よりもPPE(個人用防護具)を」という危機感に満ちたハッシュタグをつけて呼びかけた。
 日本と同様に医療現場におけるマスクやガウン、手袋、フェイスシールドなどのPPEの不足は深刻であり、各地で院内感染が発生している。CDC(疾病対策センター)は14日、これまでに9200人以上の医療労働者が新型コロナに感染し、27人が死亡したと発表したが、これは氷山の一角に過ぎない。
 トランプ政権が責任を放棄する中、医療現場は労働者たちの命がけの闘いによって回っている。来る日も来る日も患者の死と向き合うことを余儀なくされ、全員を救いたいという自らの思いに反して患者を選別しなければならない医療労働者たちは、肉体的・精神的な極限状態で働いている。同居する子どもや高齢の家族を感染のリスクから守るため、自宅に帰ることができない労働者も多い。
 立ち上がった医療労働者たちは「私たちはヒーローではないし、政府の無策や資本の強欲さのせいで職場で殺されるために働いているのでもない」と訴える。そして、「薬品や医療機器の製造から病院や診療所の運営に至るまでのすべてが、億万長者や企業の利益のためにではなく地域のために、公的に行われなければならない」「利潤ではなく患者を優先し、すべての人々にきちんとした医療を」と、医療制度の抜本的見直しを求めている。
 この日、5人の医療労働者が感染により命を落としたニューヨークの病院では、労働者が医療用ガウンの代わりにごみ袋を着用せざるをえない現実に抗議。人員拡充や帰宅できない労働者への臨時住居の確保も求めた。ミシガン州では大学病院前などに医療労働者が集まり、支援者らは車でデモ。シカゴでは医療刑務所などの労働者100人以上が結集し、前線の医療労働者に対するウイルス検査の実施や子どもをもつ労働者への保育の保障、医療予算の拡充、有給病気休暇の導入などを訴えた。
 医療労働者の命が守られずに患者の命が守られることはありえない。日本でも医療制度の再建を掲げ、自身と家族、患者を守るために闘う医療労働者と連帯し、ともに声を上げよう。

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