全民衆の怒りで安倍倒せ 労働組合が闘いの先頭に立とう 6・7国鉄集会を総反撃の突破口に、解雇撤回、生きさせろ!の大闘争を 検察庁法の改悪許すな(記事2面)

週刊『前進』04頁(3132号01面01)(2020/05/18)


全民衆の怒りで安倍倒せ
 労働組合が闘いの先頭に立とう
 6・7国鉄集会を総反撃の突破口に、解雇撤回、生きさせろ!の大闘争を
 検察庁法の改悪許すな(記事2面


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 安倍政権が検察官の定年を延長する検察庁法改悪案の国会審議を開始したことに抗議するツイートが、5月9〜13日で1千万件を突破した(2面に記事)。「安倍政権の守護神」などと呼ばれ、森友・加計疑獄をはじめ数々の国家犯罪を闇に葬ってきた東京高検検事長・黒川弘務を次期検事総長の座に押し上げるための法案を、卑劣にもコロナ危機に乗じて押し通そうとする暴挙。これに対し、今まで積もりに積もった安倍への怒りが一気に爆発している。韓国でパククネ前政権を打倒したろうそく革命の始まりにも似た状況だ。だからこそ、民主労総のように民衆総決起の中軸を担う労働組合の登場が求められている。職場・街頭で闘いを組織し、6月7日の国鉄闘争全国集会に怒りの声を大結集させよう!

コロナ解雇に反撃広がる

 オリンピックと改憲を一切に優先したため2月以来のコロナ対応で失策を重ねた安倍は、「国難突破」を叫び、挙国一致のイデオロギーをふりまいて改憲へと突き進もうとしている。感染症の拡大と世界経済の崩壊、そのもとでの労働者民衆の生活の危機と怒りの高まりがあまりにも深刻だからこそ、今や安倍も財界も極右勢力も、改憲=国家統治形態の全面転換に賭けるしかなくなっているのだ。これに対し、「コロナに乗じた改憲許すな」の声が4〜5月過程でどんどん広がっている。検察庁法改悪への抗議の爆発は安倍政権打倒の壮大な民衆決起の端緒となりつつある。
 他方で、コロナ大量解雇の嵐が世界中の労働者を襲っている。アメリカでは4月の1カ月間で2023万人以上が失業したと報じられたが、統計に含まれない隠れ失業者が750万人もいると言われ、実際の失業率は1929年大恐慌に匹敵する。日本でも宿泊業や飲食業でコロナ関連の倒産が目立ち始めた。トヨタなど自動車会社は工場の操業を停止し、期間雇用社員の新規募集を停止している。JR北海道に続いてJR西日本も1万6900人の労働者を対象に一時帰休を開始するとした。公式発表よりもはるかに多くの失業が発生し、今後は製造業などでも倒産の動きが加速することは間違いない。
 こうした中で、医療現場の労働組合は労働者の安全なしに患者の命は守れないと訴え、物資・人員の拡充を求めて闘っている。動労千葉は、電車清掃の労働者の感染を防止するために、日常の清掃以外の特別清掃を中止させ、作業担当の労働者を自宅待機とすることを団体交渉で確認させた。600人の一斉解雇が報じられたロイヤルリムジンタクシーでは、会社との交渉に立ち上がった労働組合員が解雇撤回をかちとっている。カフェやそば屋などでも労働組合が結成され、感染防止対策や休業補償をめぐる交渉が始まった。

結成10年迎えた全国運動

 コロナ感染症の拡大は、医療現場の労働者に極限的な状況を強いるとともに、膨大な数の非正規労働者を命と生活の危機に追い込んでいる。雇用や医療、社会保障制度を破壊し、2千万人を超える労働者を非正規職に突き落としたのは、1987年の国鉄分割・民営化を出発点とする一連の新自由主義政策だ。これに対し、新自由主義と闘う労働運動の復権をめざして発足した国鉄闘争全国運動が今年で10年の節目を迎える。
 分割・民営化に伴う国鉄労働者1047名の不当解雇に対し、2010年4月、金銭と引き換えに解雇撤回闘争を終結させる「政治和解」が画策された。これに反対し、労働運動の再生を願うさまざまな立場の人々が1047名解雇撤回闘争を支援し、「国鉄闘争の火を消してはならない」と訴えて国鉄闘争全国運動をスタートさせた。大弾圧と不屈に闘う全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部も、この運動を発足当初から担ってきた。
 国鉄分割・民営化は、当時の中曽根康弘首相が後に「国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやった」と語ったように、日本の労働運動全体をつぶすための国家的不当労働行為だった。かつて国鉄労働組合(国労)は24万人を組織し、日本で最も強い労働組合と言われたが、分割・民営化に至る5、6年の間に激しい労組破壊攻撃を受け、組合員20万人が脱退するところまで追い込まれた。
 国鉄分割・民営化では、職員全員をいったん解雇して新会社であるJRが選別再雇用するという偽装倒産の手法がとられ、民営化に反対する労働組合の組合員が不採用にされた。そもそも労働組合法は、使用者に対し、組合員であることを理由として解雇することを不当労働行為として禁止している。にもかかわらず国鉄分割・民営化では、不当労働行為があってもその責任は国鉄にあり、JRに責任はないとされたのだ。
 だが国鉄闘争全国運動の闘いは、この国家的不当労働行為をめぐって重大な真実を暴き出した。動労千葉の組合員を含めJRに不採用となった117人が、当初は採用候補者名簿に記載されていたにもかかわらず、労働組合員を排除する目的で「停職6カ月、または停職2回以上の処分を受けている」という不採用基準が新たに追加された結果、名簿から外されたのだ。動労千葉は2015年、この不採用基準そのものが不当労働行為であったと最高裁で認めさせ、その基準の策定を当時のJR設立委員長が指示し、設立委員会として正式に決定していたことも突き止めた。
 国鉄改革法23条5項は、「設立委員会が行った行為はJRの行為」と規定しており、「JRに責任なし」とした最高裁判決でも「設立委員自身が不当労働行為を行った場合は別」とされている。不当解雇の責任があらゆる意味でJRにあることが明白になったのだ。

労働者の未来かかる闘い

 30年に及ぶ国鉄1047名解雇撤回闘争は新たな段階を迎えている。動労千葉は暴き出した真実をもってJRに解雇撤回と団体交渉の開催を要求して闘いを開始した。JRがこれに応じないことに対し、労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てて闘っている。
 ところが千葉県労働委員会は、審査開始直後から「最高裁命令に逆らう命令は書けない」と宣言し、事実上審理を一切拒否して、事実調べも行わずに結審を強行した。さらに驚くべきことに、中央労働委員会は1回の調査さえ行わず、却下・棄却の命令を下したのだ。千葉県労委も中労委も、国家的不当労働行為の真実に触れた途端に解雇撤回を認めざるを得なくなるので、事実調べを拒否してまで再び真実を闇に葬ろうとしているのだ。
 国鉄闘争がこの壁を突破することに労働者全体の未来がかかっている。動労千葉は「今の情勢だからこそ国鉄分割・民営化とは何だったのかを徹底的に問い続ける意味がある」と訴えている。新型コロナウイルス感染症の拡大が明らかにしたのは、労働者民衆が生きるための基盤全体が、民営化や競争原理で破壊された現実だった。医療が金もうけの対象とされて、感染症対策など利益にならないような部分は徹底してそぎ落とされてきた。今回、これがどれほど労働者の命を奪ったのか。膨大な数の非正規職労働者が補償もないまま仕事を失い、明日をも知れぬ生活に苦しんでいる。その一切の出発点が国鉄分割・民営化だということを徹底的に問い続けなければならない。郵便局の1万人削減や都立病院の独法化などを絶対に許すわけにはいかない。
 動労千葉をはじめ全国のJR職場で闘う動労総連合は、コロナ感染拡大を口実とした解雇や合理化に対してストライキで闘う方針を確立した。関西生コン支部はこの間、弾圧をはね返して労働委員会の勝利命令を次々とかちとり、「全国各地でストライキに立ち上がろう」と呼びかけて反転攻勢を開始している。国鉄分割・民営化によって後退を強いられてきた現実を乗り越えて、労働運動がよみがえり始めている。
 渦巻く怒りの声と職場の闘い、そして国鉄闘争を一つにつなげ6・7国鉄闘争全国集会を成功させよう。

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