JR北海道 民営化の破産をコロナが促進 輸送量も収入も大幅減

週刊『前進』04頁(3132号02面01)(2020/05/18)


JR北海道
 民営化の破産をコロナが促進
 輸送量も収入も大幅減

JRで初の一時帰休を実施

 コロナ危機はJR資本を直撃している。国鉄分割・民営化による社会の崩壊は、激烈な形で突き出された。JR各社ともかつてない危機にあるが、JR北海道の現実はその典型だ。
 JR北海道は5月1日から一時帰休を実施した。これは、契約社員を含めて約8千人の社員の2割に当たる約1450人が、交代で月に数日休むという形で行われる。実施期間は7月23日までとされている。
 対象となるのは、訪日外国人客の激減で業務量が減った新千歳空港、札幌、函館、旭川、新函館北斗の各駅員など400人と、運転士、車掌の約300人、本社など管理部門の約750人だ。設備の保守・点検などを行う部署は対象外。
 一時帰休が開始された新千歳空港駅では、外国人や国内ツアー向けの窓口計11カ所が5カ所に縮小され、同駅の出勤者数は通常より6人少ない12人になったという。
 JR北海道は、賃金は減額せず、国の雇用調整助成金を活用するとして、4月18日に労働組合と合意した。
 北海道に続き、JR四国、JR九州、JR西日本も一時帰休を決定し、JR東日本もその検討を開始した。国鉄分割・民営化以来なかった異例の事態に、全JRが入っている。

新幹線の乗客は前年の3%

 JR各社で新幹線や特急列車の減便が行われている。JR北海道は、他のJRに先駆けて、3月から特急列車を一部運休させた。当初の計画では、3月23日から4月23日まで特急列車計656本を減便し、特急の車両編成も1、2両ずつ減らすというものだった。だが、その後、この措置は重ねて延長され、同社は5月末まで減便・減車を続けるとしている。
 これによる動力費や清掃費などの削減額は、1カ月で約440万円にとどまるという。これでは到底、大幅な減収を補えない。
 JR北海道が4月28日に発表した2019年度決算は、本業のもうけを示す営業損益が426億4100万円の赤字になった。赤字は6期連続で、19年度の赤字額は過去最大を更新した。事業活動のもうけを示す経常損益も135億5700万円の赤字で、赤字は4期連続、ここでも赤字額は過去最大となった。
 他方、19年度は国から新たに約200億円の財政支援があったため、純損益は19億1900万円の黒字を確保した。黒字は15年度以来4期ぶりだが、これは国の財政支援を組み入れたことによる、形だけのものに過ぎない。
 JR北海道の輸送実績は急減している。北海道新幹線の2月の輸送実績は前年同月比84・4%、3月には同25・4%に減少した。在来線の特急も、2月の輸送実績は前年同期比73・2%、3月は同30・2%になった。4月24日から5月6日までのゴールデン期間中では、新幹線は前年比3%、在来線全体で同9%という激しい落ち込みだ。鉄道運輸収入は1月以降、47億円も減少した。
 大幅減収は関連事業も襲っている。JR北海道の子会社の札幌駅総合開発が運営する札幌ステラプレイス、パセオ、エスタ、アピアの4店舗の3月の売上高は、前年同月比53・2%の51億8100万円だった。緊急事態宣言により一部を除き店舗は休業中で、4月はさらに落ち込む見通しだ。北海道キヨスクが運営する駅構内売店などの3月の売上高も同58・2%の8億3300万円にとどまった。JR北海道ホテルズが運営する道内7ホテルの3月の売上高は、前年同月比27%の1億5900万円に落ち込んでいる。
 JRが2019年4月に発表した長期経営ビジョン(2019〜31年度)は、31年度の関連事業の売上高を約1200億円、営業利益を約150億円にすると打ち出していた。18年度と比べて関連事業を1・5倍に拡大する計画だ。これが成り立たないことはもはや明らかだ。

コロナ前から公共交通崩壊

 コロナ危機の中で、JR北海道は札沼線の北海道医療大学―新十津川間を4月17日に廃止した。当初は5月6日廃止予定だったが、非常事態宣言が延長され、運行は突如打ち切られた。
 日高線については、バス転換に向けての地元自治体との協議が、2月末以降は中止されている。JRが廃線を狙う留萌線の深川―留萌間、根室線の富良野―新得間については、協議入りのめども立たない状態だ。
 とはいえ、絶望的危機にあるJR北海道が、廃線を強行してくることは明らかだ。コロナ危機以前から、JR北海道は鉄道を維持できなくなっていた。社会にとって必要な公共交通は、すでに崩壊していたのだ。
 政府が緊急経済対策の策定に向けて3月下旬に行った集中ヒアリングに、鉄道各社を代表してJR北海道の島田修社長が呼ばれた。島田社長は固定資産税の減免、通学定期券払い戻しによる減収の穴埋め策、感染終息後の観光需要喚起策を求めたが、政府の対策に盛り込まれたのは、観光需要の喚起策だけだった。
 政府の緊急経済対策は、全日空などの大企業を延命させるために策定された。だが、国鉄分割・民営化によって生み出されたJRに対し、政府は明示な形では支援策をとれない。
 安全の崩壊も止まらない。この間、JR北海道は特急をはじめ膨大な列車を運休させているのに、車両故障や設備の支障がほぼ2日に1件の割合で起きている。車両故障は特に多い。
 国鉄分割・民営化は地域と社会を徹底的に破壊した。コロナ危機の中で、それは行きつくところまで行きつこうとしている。
 労働者人民が生きていくためには、民営化自体を打破しなければならない。JR北海道の現実は、それを改めて突き出したのだ。
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