労働者の力で安倍を監獄へ! 雇い止め大量解雇を絶対許さない 労働組合に団結し命と生活守ろう 検察庁法改悪案をただちに廃案に

週刊『前進』04頁(3134号01面01)(2020/05/25)


労働者の力で安倍を監獄へ!
 雇い止め大量解雇を絶対許さない
 労働組合に団結し命と生活守ろう
 検察庁法改悪案をただちに廃案に


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(写真 安倍が今国会成立を断念した検察庁法改悪案の廃案を要求し600人が国会前に結集した【5月19日】)


 「#検察庁法改正案に抗議します」。都内で働く30代の女性労働者がSNS上で発した一言が、数日のうちに1千万件を超える抗議ツイートの渦を巻き起こし、検察庁法改悪案の今国会成立を阻止、さらには安倍が閣議決定で定年を延長した東京高検検事長・黒川弘務の辞職まで一気に情勢を動かした。しかも安倍に対する全民衆の弾劾の声は全く収まっていない。その根底には、コロナ危機下で命と生活を踏みにじられてきた労働者民衆の怒りと政治意識の高まり、そして社会の根底的変革への熱望が渦巻いている。歴史を動かす巨万の民衆行動はすでに始まっている。この時代の最前線に、今こそ闘う労働組合を登場させよう。

抗議の渦、法案強行を阻止

 9日に始まった抗議ツイートが著名人を巻き込んで数百万件に達しても、安倍・官邸や与党は当初、検察庁法改悪案の委員会採決を15日にも強行するつもりでいた。安倍は11日の衆院予算委員会でも「今国会で成立させる必要がある」と強弁。15日には改憲運動の旗振り役の極右・桜井よしこが主宰するインターネット番組に出演して「(法案について)一時的にイメージが広がるが、時間がたてば『事実と違ったな』とご理解いただける」などと語った。法案を強行採決しても国民はどうせ忘れるだろう、とタカをくくっていたのだ。
 だが、このように労働者民衆をなめきった態度をとり続けたことが、すでに燃え広がっていた怒りの炎に油を注いだ。13日時点で1千万件を突破していたSNS上での抗議はさらに拡大し、与党議員のアカウントには抗議が殺到、国会前では緊急事態宣言下の重圧をはね返して抗議行動が連日闘われた。
 そして法務官僚や検察官の中にも動揺と反発が広がり、15日には元検事総長・松尾邦弘ら検察OB14人が反対意見書を発表した。意見書では、今年1月に東京高検検事長・黒川の定年延長を閣議決定で強行した安倍を、フランス絶対王政期の国王ルイ14世に例えて批判。人民の抵抗権・革命権を主張してアメリカ独立革命やフランス革命に影響を与えたイギリスの思想家ジョン・ロックの「法が終わるところ、暴政が始まる」という言葉を引いて政府を戒めた。
 国家権力中枢にいた検察OBがここまで言わざるを得なくなったのは、労働者民衆の激しい抗議の高まりの前に、このままでは検察に対する(ひいては国家そのものに対する)「国民的信頼」が最後的に崩壊しかねないと恐怖したためだ。彼らが真に恐れたのは安倍の「暴政」ではなく、それが民衆の革命的決起を呼び起こすことなのだ。

迫る「5月危機」と対決を

 安倍政権が次期国会で成立を狙う検察庁法改悪案とは、どんな内容か。
 現行の検察庁法で検事総長は65歳、その他の検察官は63歳とされる定年を全員65歳までに変更した上で、検事総長の定年は内閣が必要と認めればさらに最大3年、その他の検察官の定年は法相の判断だけで同じく最大3年延長できるとする。加えて重大なのは、次長検事、検事長といった役職に就くことも通常63歳までのところを内閣の(検事正、上席検察官は法相の)判断で最大3年延長できるとすることだ。
 官邸にとって都合の悪い人物は人事で冷遇され、逆に安倍や閣僚、与党議員らの汚職や国家犯罪をもみ消し、闇に葬るような検事だけが検事総長への道を開いてもらえるというわけだ。まさにそのような「政権の守護神」として、官邸の肝いりで東京高検検事長に抜擢(ばってき)され、次期検事総長の座を約束されたのが黒川である。
 だが、本紙3122号で西村正治弁護士が述べたように、黒川の定年を延長した1月31日の閣議決定は完全に違法だ。現行の検察庁法に定年延長の規定がない以上、63歳になった時点で検事総長以外の検事は定年退職となる以外にない。つまり法的に検事資格のない人物が、違法な閣議決定によって検事長の座に居座り、検察組織を指揮してきたのだ。こんな違法行為を平然とやっている政府や検察組織が、人民に向かって「法律を守れ」などと語る資格は1ミリもない。改憲など言語道断だ。
 そもそも安倍がこのような暴挙に走ったのも、昨年参院選で運動員らに違法に金を配った公職選挙法違反容疑に問われている河井克行・案里夫妻への検察の捜査を差し止めるためだった。だが、河井夫妻の在宅起訴か逮捕は今や秒読みと言われ、頼みの綱の黒川も違法な賭博マージャンをやっていたことが週刊誌で報道され、21日には辞職表明を余儀なくされた。
 他方で重大なことは、コロナ危機を背景に、6月末で契約が満了となる派遣社員の大量雇い止め通告が5月末にも強行されようとしていることだ。この「5月危機」を前に、労働者の命や生活などかえりみようともせず、自らの延命にのみ必死になっているのが安倍政権なのである。

改憲阻止へ闘いの継続を

 安倍政権は検察庁法改悪の見送りに続き、20日には種苗法改悪(記事3面)の成立も断念した。だが、改憲のための国民投票法や国家戦略特区法(記事2面)の改定はあくまでも今国会での強行を狙い、沖縄・辺野古の基地建設への手続きも推し進めている。
 危機に駆られた安倍は改憲への衝動も今まで以上に強めている。先述の桜井よしこの番組で、安倍は自分の後継の自民党総裁のもとでも「(改憲に)しっかりチャレンジしていただく」と発言。桜井から「次の総裁が誰になるかわからないが、あまり信頼できない」と安倍政権下での改憲を促されると、「何とか(自分の手で)憲法改正を成し遂げたい」と応じた。14日には、今国会で初となる衆院憲法審査会の幹事懇談会が開かれ、与党は21日に憲法審を開いて国民投票法改定の議論を進めるよう要求した。安倍政権の危機の深まりや「改憲プラン」の破綻は、改憲攻撃そのものの後退を意味するわけでは断じてない。すでにそれを多くの人々が見抜き、SNSなどでは次の行動方針を求める声が広がっている。
 他方で、コロナ危機に伴う今年の企業倒産は1万件以上、自主的な休廃業などは2万5千件に達するとの見通しも出されている(帝国データバンク社)が、すでに実態はこの数字をはるかに超える勢いで進んでいる。労働者の命と生活を守り、賃金・雇用を保障させるために、あらゆる職場で労働組合をつくって闘うことが急務だ。
 今、私たち労働者階級に求められていることは、ついに切り開かれた安倍打倒情勢のヘゲモニー(主導権)をしっかりと握ること、安倍とその取り巻きの犯罪者集団を一人残らず監獄にぶち込むまで徹底的に闘うこと、そして階級的力関係を全社会的に転換し、労働者民衆が生きるために必要なすべてを実力で闘いとることだ。
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧を許さず、国鉄闘争勝利へ闘おう。6〜7月国鉄・関生決戦を先頭に、大量解雇攻撃を打ち破る階級的反撃を全国で組織しよう。

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