大阪都構想 粉砕へ 維新こそ医療破壊の元凶 吉村知事・松井市長を倒そう

週刊『前進』04頁(3134号02面02)(2020/05/25)


大阪都構想 粉砕へ
 維新こそ医療破壊の元凶
 吉村知事・松井市長を倒そう

(写真 5月1日のメーデー闘争で改憲・戦争阻止!大行進・関西が呼びかけて大阪市役所横から梅田へ向けて150人のデモ)

 「吉村絶賛」のキャンペーンが連日マスコミによって行われているが、多くの大阪市民は冷ややかに見ている。安倍に対する怒りと不信は「検察庁法改悪」を延期に追い込むほどの力となって表された。デモで「改憲のための緊急事態宣言粉砕」と訴えればものすごい注目が集まり、飛び入りも続出する。安倍の支配が成り立たないほどの決起がいよいよ始まっている。大阪都構想粉砕へ闘おう。

コロナに乗じ自治体民営化

 安倍政権の改憲の最大の推進勢力こそ「大阪維新の会」であり、その代表代行・吉村洋文大阪府知事は安倍の先を行く存在だ。検察庁法改悪案にも日本維新の会は賛成した。竹中平蔵は3月に「とにかく今まで抵抗勢力に邪魔されていたことをやればいい」とあおった。吉村の「大阪モデル」とは都構想と改憲に向けた新自由主義攻撃を「ショック・ドクトリン」的手法でどんどん導入する攻撃だ。
 一番許せないのは、この事態の中で大阪維新の会代表・松井一郎大阪市長が大阪都構想の住民投票を11月1日にやると言い出したことだ。安倍が「今こそ改憲を」と連呼するように、維新もコロナ情勢を改憲と都構想に利用するために動き回っている。これに対して「都構想などやっている場合か!」という怒りの声が噴出している。
 都構想とは、労働組合を解体することで民営化・非正規職化を強行しようという、国鉄分割・民営化の自治体版だ。JR四国・九州・北海道が完全に行き詰まっているように、自治体の民営化も深刻な矛盾と被害を生み出すことがコロナウイルスの蔓延(まんえん)で明らかになった。2015年に橋下徹市長(当時)が住民投票で失敗したにもかかわらず、都構想で行うはずだった政策を先行して実施し、その矛盾がコロナ情勢下で露呈している。

保健所は24分の1、市立病院は四つに

 保健所では、いつ過労死が起きてもおかしくない過酷な労働が強いられている。報道によれば、今年3月の大阪市の感染症対策課の時間外労働は平均約60時間で、昨年3月の倍だ。2000年には大阪市の全24区にそれぞれあった保健所を1カ所に統合し、この15年で保健所の要員を3割以上減らした結果だ。
 医療崩壊は新自由主義によってつくり出された人災だ。1993年に九つあった市立病院を四つに統合し、2009年に北市民病院を民間に売り飛ばし、14年に病院局を丸ごと地方独立行政法人化し、18年に住吉市民病院を廃止した。
 その矛盾の結果である十三(じゅうそう)市民病院の「コロナ専門化」は、現場の管理職にさえ知らされずに決定された。その十三市民病院でさえ、マスクや防護服も満足に用意されず、労働者が発熱してもPCR検査も受けられないと告発されている。松井市長は抗議に立った十三市民病院の労働者に「(カッパが)あるだけマシ」と言い捨てた。この居直りは絶対に許せない。
 また、PCR検査の拠点である府立公衆衛生研究所・市立環境科学研究所は、17年の統合・法人化に向けて断続的に検査体制が縮小されてきた。
 これらの事実が暴かれると、吉村以下維新の面々が必死になって、「それは維新ではなく前の市長や知事がやったこと」などと責任回避に躍起となっているが、橋下は「徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させている」と自らの失政を認めているのだ。

労組が声上げ決着つけよう

 さらに4月上旬、「コロナ失業者を雇用する」とぶち上げて募集されたのは年収200万円足らずの会計年度任用職員だ。しかし、4月に開始されたこの制度は、年収を上げないために月例給が大幅に切り下げられた結果、募集しても人が集まらず、現場が深刻な要員不足に陥っている。
 一方で、保健所の要員不足を解消するためとして、4月18日から十数人の労働者に異動ではなく「兼務辞令」が発令された。しかし、橋下以来の市長たちの「シーリング(毎年1〜2%の減員)」のせいで、兼務させる余裕のある職場はどこにもなく、緊急事態を口実に過労死ラインの労働を強いられている。
 吉村、松井はあらゆる方針を突如トップダウンで下ろす。労働者に互いの職場状況を知らせず、議論する時間を与えない。現場の意見を聞こうものなら、マスコミを使って張り巡らしたうそのベールがあっという間に剝がれてしまうことが分かっているからだ。
 労働組合がこの議論封殺を打ち破り、現場から真実を発信した瞬間に、全てに決着がつく。橋下を政治家引退に追い込んだように、今度は圧勝できる。彼ら自身が「労組つぶし」という原点から逃げている。学力テスト結果を教員の評価に反映すると息巻いた時も、現場からの闘いが始まるや否や引っ込めた。
 今こそ労働組合がこの社会に責任をとれる唯一の存在として前面に出る時だ。緊急事態宣言による団結破壊を打ち破り、職場と社会を変える闘いを始めよう。
 5・31都構想反対集会(5月31日午後2時/大阪市役所南・女神像前)は、現場労働者の怒りを解き放つ闘いの第1波だ。みなさん、ぜひ結集してください!
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