六ケ所 安全審査「適合」許すな 独自の核武装が日帝の目的だ

週刊『前進』04頁(3136号03面02)(2020/06/01)


六ケ所 安全審査「適合」許すな
 独自の核武装が日帝の目的だ


 新型コロナ危機による緊急事態宣言発令中の5月13日、原子力規制委員会は日本原燃株式会社の再処理工場(青森県六ケ所村)を、安全審査の新規制基準に「適合する」と認定した。絶対に許せない。これは、コロナ危機が大恐慌情勢を加速させ、米中対決の激化と大規模な核軍拡化―世界的な核戦争の切迫の中で、日帝支配階級が延命をかけ、改憲と独自の核武装に突き進むためだ。

再処理工場事故は壊滅的核惨事招く

 2011年3・11福島核大惨事の教訓は全原発の即時廃絶だ。だが安倍は原発再稼働・原発政策を執拗(しつよう)に推進し続けている。そのうえに今回、核兵器材料のプルトニウムを大量抽出するための核軍事施設であり、いったん事故が発生すれば3・11をはるかに超える壊滅的な核惨事となる、最も危険な核施設である再処理工場の稼働を再決定したのだ。絶対に認めるわけにはいかない。
 「高速増殖炉等の面で、すぐ核武装できるポジションを持ちながら平和利用を進めていく」(1968年外務省極秘文書)。これがヒロシマ・ナガサキ・ビキニを経験した日本の労働者人民の「核と核戦争絶対反対」の思い・闘いを欺くための日帝独自の核武装化戦略だった。そのために「無限のエネルギー」などと偽り、プルトニウムの大量生産・保有を目的として《原発・再処理工場・高速炉》を軸とした核燃サイクル計画を推進してきた。
 プルトニウムは原発でウランを燃やして造られるが、他の放射性物質と共に使用済み核燃料に含まれている。この使用済み核燃料を再処理工場で再処理してプルトニウムを取り出す。これは不純物が多いため、核兵器の材料には適さない。だがそれを高速炉で燃やすと、ブランケットと呼ばれる周辺部に置かれた劣化ウランが核兵器に適した超高純度の軍用プルトニウムに変わる。
 ここに日帝は着目し、「原子力の平和利用」の偽装のもとで、六ケ所再処理工場などを建設して核燃サイクル計画を推進し、「いつでも核武装できる」体制を追求してきた。

プルトニウム保有は原爆製造が目的

 だが、原発は福島第一原発事故で大破産し、高速炉も原型炉「もんじゅ」の破綻で、今や実験炉「常陽」を残すのみだ。プルトニウムを燃やすプルサーマル計画も、現在実施している原発が4基で焼石に水の現状だ。他方で日帝は、すでに国内外で46㌧ものプルトニウムを保有している。
 「生産したプルトニウムは高速炉と原発で消費するから問題ない」という日帝の口実は完全に暗礁に乗り上げた。そうした中で、年間7㌧のプルトニウムを取り出すことが可能な六ケ所再処理工場を稼働することは、さらに大量のプルトニウム蓄積をもたらすものであり、日帝の理屈も成り立たない。
 日帝にとってプルトニウム製造の目的は《核兵器用の材料確保》以外のなにものでもない。今回の六ケ所再処理工場稼働の再決定は、福島原発事故のような大規模な核惨事が起きようが、「余剰プルトニウムを持たない」というウソの化けの皮が剥がれようが、あくまでも核燃サイクルにしがみつき、核武装へ暴力的に突進するという新たな反革命宣言にほかならない。

福島・青森の怒りと共に核燃解体へ

 六ケ所村の再処理工場は全国の原発から運び込まれた膨大な使用済み核燃料を切断して硝酸で溶かし、プルトニウムを取り出す巨大な放射能化学工場だ。ここは化学反応による火災・爆発事故、ウランの核分裂反応による臨界・爆発事故、さらに電源喪失による高レベル放射性廃液の沸騰・爆発事故など、壊滅的な核被害の危険に満ちている。
 実際、2011年の3月11日と4月7日に起きた地震では試運転中の同工場の外部電源が2度失われた。非常用電源が作動して、使用済み核燃料のプールおよび高レベル放射性廃液の沸騰↓爆発↓膨大な放射能放出という重大事態を危機一髪で免れたに過ぎない。
 原発だけでなく再処理工場も労働者の被曝労働を前提とし、すでにプルトニウムによる内部被曝が発生している。日本原燃は労働者の被曝による健康被害を否認し、隠蔽(いんぺい)にやっきとなっている。
 再処理工場が稼働すれば1日で原発1年分の大量の放射性物質が環境中に放出され、周辺住民に甚大な核被害をもたらす。これを見ぬき、六ケ所村―青森県を中心にした漁民・住民・労働者は再処理工場・核燃サイクル白紙撤回を求め、数十年にわたり粘り強い反対運動を展開してきている。
 ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、チェルノブイリ、フクシマを繰り返すな! 福島・青森の労働者住民と団結し、全原発廃炉、再処理工場・核燃解体へ。日帝の核武装を阻止しよう。
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