セブン株主総会 怒り噴出 井阪・永松社長の退任迫る

週刊『前進』02頁(3137号02面01)(2020/06/04)


セブン株主総会 怒り噴出
 井阪・永松社長の退任迫る



(写真 コンビニ関連ユニオンと全国協の仲間がセブン本社前で、総会に参加する株主に社長退任を訴え情宣活動(5月28日 東京・千代田区】)


 コンビニ最大手セブン―イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスの第15回定時株主総会が5月28日、東京・本社で開かれた。株主からは社長退任の動議が出されるなど、経営陣への怒りが噴出。コンビニ関連ユニオンも本社前で共に声を上げた。

解任動議は初

 従業員残業代未払い問題、無断発注・自爆営業、スマートフォン決済サービス「7pay」の失敗、時短営業の妨害、不当な契約解除の恫喝など、セブン―イレブンの「失態」が報道されない日がなかったこの1年。総会当日にも、本部社員の指示のもと電子マネー「nanaco(ナナコ)」の売り上げが架空計上されていたニュースがネット上を駆け巡った。
 セブン経営陣は、コロナを口実に株主に来場自粛を強く求めた上に、マスコミもシャットアウトして、卑劣にもその責任から逃れようと画策していた。その結果、総会には昨年よりも469人少ない127人の参加であったが、何一つ責任をとらない井阪隆一(ホールディングス社長、セブン―イレブン元社長)と永松文彦(セブン―イレブン社長)に退任を迫る株主や加盟店オーナーらの怒りが噴出、これまでにない「荒れた総会」となった。
 ある株主は「取締役選任議案について、井阪社長・永松取締役の選任(再任)は適任ではない」と発言し始めたところ、進行役が「動議として扱います」と、趣旨説明もさせないうちに発言を遮り、動議の否決を強行。こうした姿勢に怒り演壇に迫ろうとする株主もいたという。また、「本部と加盟店の関係について、対等な関係になっていないのではないか。従属的な関係になっているのではないか。それは、本部が利益を求めすぎており、考え方を改めるべきではないか」という発言など、大半が本部批判の質問であったという。こうした事態は昨年の総会では考えられなかったことであり、ましてや社長の退任を求める修正動議はセブン―イレブン始まって以来の出来事だ。

ユニオンも決起

 コンビニ関連ユニオンも株主総会闘争に立ち上がった。総会に際して井阪・永松の退任を求める要望書を井阪に出し、オーナーを苦しめてきたチャージ(経営指導料)の減額、コロナ補償(不振店への10割の売り上げ補償と従業員への賃金補償)などを要求。当日には、合同・一般労組全国協の仲間と共に、早朝から本社近くのJR四ツ谷駅前で街頭宣伝を行った後、午前10時から始まる総会に合わせて本社前に移動し宣伝活動を行った。
 ある株主は「時短で闘う松本オーナーを支持したい。流れが変わるといい」と声をかけていった。

今こそ24時間義務化廃止へ

 日本経済新聞によると、コンビニ大手3社で時短営業の店舗は1916店、半年前から15倍に増えたという。全店舗5万2千店の約4%である。そのうちコロナで時短に切り替えた店舗は1367店に及ぶ。
 東大阪市のセブンの加盟店オーナー・松本実敏さんが「命より大切な契約書はない」と訴え、昨年2月に時短営業に踏み切ってから1年あまり。モノ言うオーナーやコンビニ関連ユニオンをはじめとする闘いが、コンビニの「闇」を暴き、社会を動かし、24時間365日営業義務化の岩盤を打ち砕くまでに大手コンビニ経営陣を追い詰めた結果である。セブン株主総会はそれを象徴する新たな闘いの幕開けとなった。
 セブンはコロナ対応で加盟店への10万円支援などを打ち出している。だがこれも付け焼き刃だ。24時間365日営業義務化の完全廃止、オーナーや従業員へのコロナ補償をかちとり、命と生活を守ろう。今こそ声を上げる時だ。

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