安倍の歴史偽造を許すな 「軍艦島」強制労働を否定 「産業遺産」は日帝の侵略の証

週刊『前進』02頁(3147号02面01)(2020/07/09)


安倍の歴史偽造を許すな
 「軍艦島」強制労働を否定
 「産業遺産」は日帝の侵略の証

(写真 軍艦島【端島、長崎市】

(写真 「産業遺産情報センター」の展示【東京・新宿区】)


 安倍政権は、6月15日に一般公開した「産業遺産情報センター」(東京都新宿区・総務省第2庁舎別館内)で、軍艦島と呼ばれる端島炭鉱(長崎県)で「朝鮮人差別はなかった」という「証言パネル」「証言映像」を展示している。これは、日本帝国主義が、戦時経済を支える労働力として朝鮮人・中国人を強制連行し、労働を強制した歴史を真っ向から否定する暴挙だ。コロナ情勢をも利用し、安倍政権は改憲・戦争へと突き進もうとしている。安倍政権を倒す時だ!

「軍艦島は監獄島だった」

 「この海の下が炭鉱です。エレベーターで立坑を地中深く降り、下は石炭がどんどん運ばれて広いものですが、掘さく場となると、うつぶせで掘るしかない狭さで、暑くて、苦しくて、疲労のあまり眠くなり、ガスもたまりますし、それに一方では落盤の危険もあるしで、このままでは生きて帰れないと思いました。......こんな重労働に、食事は豆カス80%、玄米20%のめしと、鰯(いわし)を丸だきにして潰したものがおかずで、私は毎日のように下痢して、激しく衰弱しました。それでも仕事を休もうものなら、監督が来て、リンチを受けました。どんなにきつくても『はい、働きに行きます』と言うまで殴られました。......軍艦島なんていっていますが、私に言わせれば、絶対に逃げられない監獄島です」(『原爆と朝鮮人』長崎在日朝鮮人の人権を守る会編集・発行)
 これは、14歳で端島に強制連行され、その後、三菱造船所に配置換えとなり原爆に被爆した徐正雨(ソジョンウ)さん(1928年10月2日生まれ)の証言だ。
 長崎県に限っても、三菱長崎造船所には約6千人の朝鮮人が朝鮮本土から強制連行され、さらに1942年に始まった在日朝鮮人の徴用は800人と推定される。端島炭鉱には朝鮮人800人(推定)と中国人204人、高島炭鉱には朝鮮人3500人(推定)と中国人205人が強制連行された。強制連行が開始された39年以降の朝鮮人の死亡者は、三菱造船63人(原爆犠牲者を除く)、高島50人(推定)、端島48人という調査結果がある(『原爆と朝鮮人』第4集)。
 加害企業による書類の処分・隠匿、調査放棄などにも関わらず、戦後、多大な調査研究と当事者の証言により、強制労働の実態、拷問・虐待とそれに対する抗議・抵抗の歴史が明らかになってきた。
 そもそも「産業遺産情報センター」開設は、2015年の登録時、朝鮮人を強制連行し強制労働させた軍艦島など7施設が含まれていると韓国政府が異議を申し立てたことに対し、日本政府が「徴用政策を実施していた」ことを認め、「犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を取る」と表明して韓国の同意を得たという経緯によるものだ。

これが安倍の改憲攻撃だ

 開設されたセンターには軍艦島(端島)や長崎造船所、八幡製鉄所などでの強制動員による被害など何の展示もないばかりか、「朝鮮半島出身者が奴隷労働をさせられていたのか」という問いに、父親が端島炭鉱で働いており幼少期を端島で過ごしたという在日朝鮮人が「こんな話は聞いたことがない」と語る映像を流している。
 展示内容を問いただす記者に、加藤康子センター長は「犠牲者には朝鮮人、台湾人、日本人すべてが含まれる」「虐待を受けた人はいなかった」と居直った。
 この加藤康子は、遺産登録の推進母体であり、センター運営を委託された一般財団法人「産業遺産国民会議」の専務理事。安倍の幼なじみであり、安倍の意を体現し、内閣官房参与(15年7月〜19年7月)として遺産登録と戦争責任を居直るセンター開設のために「徴用工差別はなかった」と、韓国敵視政策を主導してきた張本人だ。
 産業遺産国民会議は、名誉会長が今井敬(日本経団連名誉会長)、理事には日本会議福岡の元名誉顧問でNHK経営委員長の石原進・JR九州相談役、フジテレビ取締役相談役の日枝久・前会長などが名を連らね、極めつけは三菱重工の飯島史郎顧問、新日鐵住金(現日本製鉄)の林田博顧問という徴用工問題で韓国大法院判決を受けた企業の代表までが理事だ。
 税金を使い、侵略と戦争の歴史を葬るために設立されたのであり、安倍政権の改憲攻撃そのものだ。
 朝鮮人・中国人に対する強制動員・強制労働を否定し、「徴用工」を朝鮮人労働者に言い換える安倍が狙うのは、「大日本帝国」=現代につながる日本国家の侵略と植民地支配の歴史の正当化であり、戦争責任・企業責任の否定だ。
 安倍政権は、日本軍軍隊慰安婦制度を告発する「平和の少女像」や徴用工問題にあらん限りの憎悪をあらわにしている。戦争責任の追及を恐れているからだ。
 16年には日中韓など8カ国14団体で構成された日本軍「慰安婦」記録物のユネスコ世界記録遺産(MOW)共同搭載のための国際連帯委員会が「日本軍慰安婦の声」という名称で関連記録物2744件をユネスコ世界遺産に登録申請をした。安倍政権はユネスコ分担金の支払いを拒否して圧迫。結局、ユネスコは登録を保留にし、日本は分担金を支払うことを決めた。
 しかし、安倍ごときがジタバタしようと日本帝国主義が犯した戦争犯罪を消し去ることはできない。改憲・戦争を許さず、新たな歴史を切り開こう! それは今だ!

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