池田自衛隊国賠控訴審 暴行・パワハラは事実 元同僚が陳述書で暴露

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週刊『前進』02頁(3147号02面02)(2020/07/09)


池田自衛隊国賠控訴審
 暴行・パワハラは事実
 元同僚が陳述書で暴露

(写真 裁判後の報告会【7月2日 名古屋市】)

 7月2日、名古屋高裁民事第2部(萩本修裁判長)において、元3等空曹の池田頼将さんが訴えている国家賠償裁判の控訴審が開かれ、自衛隊の安全配慮義務違反を認めなかった名古屋地裁判決を弾劾する控訴人意見、代理人弁護団からの意見が表明されました。
 「イラク復興支援隊員」として中東・クウェートに派遣され、米軍関係車両に追突され大けがをした池田さんが、治療が長期化したこと、治療がうち切られたこと、パワハラを受け退職に追い込まれたことは違法だとして国に損害賠償を請求してきた裁判において、「池田さんの怪我はたいしたことはなかった」「パワハラに当たるような仕打ちはしていない」と自衛隊側はことごとく真実を隠蔽(いんぺい)して責任を認めようとしませんでした。
 しかしついに控訴審で、池田さんの新潟救難隊時代の同僚であり宿舎が一緒だった元自衛隊員からの陳述書が証拠として提出され、証人申請もされました。
 「池田さんは、暴行を受けた証拠として上半身を私に見せました。胸のあたりに、手のひらと指の跡が赤く残っていました。池田さんに頼まれて、胸のあたりを写真に撮りました。私は、池田さんが怒ることは当然だと思いました」「私は、池田さんが一人で草むしりをしている姿を目撃したことがあります。通常、草むしりのような雑務は複数人で行うべき業務であり、どうして一人で草むしりをさせられているのか私にはわかりませんでした」(陳述書より)
 池田さんは、萩本裁判長に対し「元自衛隊員として大変な決断をしていただいた。証言をきいて正しい判決を出していただきたい」と証人採用を迫りました。
 高山俊吉弁護団長からも「イラク特措法9条の解釈において原審には誤りがある」とした上で、「控訴人が本件事故で顎(あご)に大きなダメージを受けたことにより開口や摂食に大きく支障を来していた経過や、その後救難隊の中で激しいパワハラ行為が展開された経緯等について、同じ新潟救難隊に配属されていた元同僚が、法廷の場でその真相を初めてつぶさに明らかにすることを決意したのである。貴裁判所が真実発見の責任を果たされることを強く求める」と鋭い意見が表明されました。
 萩本裁判長は証拠採用は認めたものの、「証人採用は認めず結審する」と言い出したために、大法廷は怒りに包まれました。弁護団からの異議によって次回口頭弁論を入れざるをえなくなりましたが、法務官僚から名古屋高裁に直接送り込まれた萩本裁判長が、国の側に立って池田さんの訴えを圧殺しようとしていることは明らかです。
 裁判後の報告会で池田さんは「自衛隊の中から本当のことを言ってくれる人が出ました。このことで自分は自信をもって前に進むことができます」と胸をはりました。次回裁判は12月9日です。
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