労働組合に入って闘おう 豪雨被害は新自由主義の人災だ 7・26国鉄集会で怒りの反撃開始を

週刊『前進』04頁(3148号01面01)(2020/07/13)


労働組合に入って闘おう
 豪雨被害は新自由主義の人災だ
 7・26国鉄集会で怒りの反撃開始を


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 九州を襲った豪雨の影響で熊本県を流れる球磨川が氾濫(はんらん)し、8日までに特別養護施設の高齢者14人をはじめ54人の命が奪われた。氾濫が起こったのは以前から危険性が高いと指摘されてきた箇所だ。地元住民はダムによらない治水策を求めてきたが、10年以上も放置されたままだった。一昨年の西日本豪雨や昨年の台風でも多くの命が奪われている。ミサイルや戦闘機には巨額の税金が投入される一方で、この20年の間に国の治水予算は半減させられた。民営化による人員削減や非正規職化は、地方自治体から災害に対応する力を奪ってきた。民営化・非正規職化と対決する労働運動が今ほど求められている時はない。闘う労働組合の再生を目指す7・26国鉄闘争全国運動集会に集まろう。

労働者の根底的反乱拡大

 新型コロナウイルスの感染者数は全世界で1200万人を超え、死者数は54万8千人を突破した(7月9日時点)。中でもアメリカが感染者数、死者数ともに世界最悪となっている。
 アメリカのある起業家は「富豪が憂える資本主義」と題した朝日新聞のインタビューに答えて、「米国には、コロナとは別の『ウイルス』がはびこっていました。約40年かけて深まった新自由主義です」「格差という病巣が広がり、社会のあらゆる側面がウイルス危機に無防備になっていました」と語る(6月5日付)。12万人超というアメリカのコロナ感染症死者数は、ベトナム戦争の戦死者数の2倍以上だ。
 新自由主義は、労働者が生活を維持していくために不可欠な医療や福祉などの公的事業に対し、「非効率だ」「赤字だ」とレッテルを貼って民営化し、抵抗する労働組合を解体することによって暴力的に推し進められてきた。コスト削減の名のもとで労働者の賃金が切り下げられ、正規職が非正規職に置き換えられ、その結果、病気になってもお金がなくて医療機関にかかれない労働者が膨大に生み出された。アメリカでは、わずか2カ月ほどで4200万人を超える失業者が生み出されるほどまでに新自由主義は格差を広げ、雇用を破壊していった。まさに労働者階級に対する「戦争」として社会を崩壊させてきたのだ。
 だが、コロナウイルスの感染拡大は、新自由主義が生み出した社会崩壊の現実を暴いただけではない。コロナをきっかけに労働者の政治意識が急速に高まり、世界中で労働組合がよみがえり始めている。ミネソタ州ミネアポリスでの黒人男性虐殺に抗議する激しいデモやストライキは、この40年余りの間に吹き荒れた新自由主義に対する労働者の根底的な反乱だ。
 日本でもアメリカの闘いに連帯し、人種差別に抗議するデモが全国各地で取り組まれた。初めてデモに参加する若者も多く、新たな労働組合の結成やユニオンへの加入も増えている。

都立病院独法化を許すな

 日本では、コロナに関連した解雇・雇い止めが3万人を超えたと発表されたが、これは氷山の一角にすぎない。雇用保険も雇用調整助成金も受け取ることができない労働者が膨大に存在している。JR北海道など各社が一時帰休を開始し、日本航空やトヨタ自動車などもメガバンクからの巨額の資金調達でなんとかしのいでいる状況だ。7月3日付日経新聞は「雇用危機 迫る第2波」として「各国の雇用支援制度が今夏から期限切れが相次ぎ、多くの失業者を生み出しかねない」と報じる。
 こうした中で、経団連は「終身雇用、年功序列、一括採用という社会の仕組みそのものの根底が変わってきている」「デジタル技術でテレワークや遠隔教育、遠隔診療、新しいビジネスの創出を後押しする」(中西宏明会長)と主張し、コロナ危機に乗じて大合理化を一気に推し進めようと狙っている。
 今や労働運動、階級闘争の条件がこれまでとは全く変わろうとしている。
 この間、医療・介護、運輸・鉄道、清掃、郵便、保育などで働く労働者を「エッセンシャルワーカー(=必須労働者)」などと呼び、十分な感染防護策もないまま出勤・就業させることが横行している。院内感染による患者の死亡が多発した東京・永寿総合病院の労働者の手記が公表されているが、そこには「仲間を戦地に送り出しているような気持ち」だったと、死を覚悟して働く医師や看護師たちの生々しい声が記されている。同様に全国各地で働く医療・福祉関連の労働者は、マスクや防護服など最低限の資材も十分に届かない中で最前線に立たされてきたのだ。
 だが、そもそも医療労働者をはじめ社会にとって「必須」とまで言われる労働者が、新自由主義のもとでどれほど低賃金・無権利・不安定雇用に追い込まれ、その存在を軽んじられてきたか。今こそそれが根本的に問い直されなくてはならない。
 にもかかわらず、現実に起こっているのは、感染対策のコスト増や利用者の減少を理由とした医療労働者への一時金カットだ。東京女子医大病院は夏の一時金をゼロにすると提案したことで、職員の2割に当たる400人が退職を希望しているという。また安倍政権は全国440の公立・公的病院を再編・統合し、20万床を削減するために644億円の予算を計上した。さらに、先日の東京都知事選挙で再選した小池百合子は、当選直後のインタビューで「喫緊の課題は新型コロナ対策。第2波に備える意味でもしっかり対応していきたい」などと言いながら、コロナ感染症対策で最前線に立った都立・公社14病院の地方独立行政法人化(民営化)という真逆の政策を推し進めようとしている。絶対に許せない。

改憲狙う安倍にとどめを

 安倍政権は、今夏から秋にかけて「敵基地攻撃能力」の保有に向けた議論を進め、臨時国会での改憲論議の推進と年末の国家安全保障戦略(NSS)改定を狙っている。高額兵器の大量購入、優に1兆円を超える辺野古新基地建設のための地盤改良工事など、コロナ禍で命と生活の危機に追い込まれる圧倒的多数の人々を尻目に、戦争準備のために巨額の国家予算を投入しようとしているのだ。
 だが、労働者の反撃の契機はあらゆる職場にある。コロナ危機が明らかにしたことは、医療や介護、鉄道や郵便、学校や保育、清掃などの仕事を民営化して金もうけの手段にすることなど、絶対に許してはならないということだ。多くの労働者が、自らの労働がどれほど社会に重要であり、また自分自身がどれだけ重要な存在であるか、そしてその両方が政府や資本によってどれほど軽んじられてきたかを自覚し始めている。様々な職場でコロナ危機と闘った経験は、必ず新自由主義という「もうひとつのウイルス」への怒りと闘いに発展していく。
 これまで一斉退職という形で怒りを表していた看護師や保育士や非正規職労働者が、もう泣き寝入りしないと職場に労働組合をつくり、ユニオンに加盟し、ストライキに立ち上がり始めている。コロナ感染症との闘いは、医療をはじめすべての労働者が歴史の最前線に登場する可能性をつくり出した。その中から労働組合がよみがえり始めている。
 新自由主義下で奪われてきたすべてを奪い返そう。闘いはこれからだ。7・26国鉄闘争全国運動集会に集まろう。

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