革共同合同・一般労組委員会アピール大失業攻撃に立ち向かい、総力で労働組合の復権へ

週刊『前進』04頁(3148号03面01)(2020/07/13)


革共同合同・一般労組委員会アピール
大失業攻撃に立ち向かい、総力で労働組合の復権へ

(写真 合同・一般労働組合全国協議会のコロナ対策本部がJR亀戸駅前で街宣【4月17日 東京・江東区】)

はじめに

 クルーズ船集団感染や公立小中高校と特別支援学校の全国一斉休校で一気に顕在化した新型コロナウイルス問題は4カ月を超えた。労働問題は当初の感染対策や休業補償の問題から大失業問題へと焦点が移っている。補償なき休業を強いられる数百万人の労働者が失業予備軍となっている。コロナ解雇者は7月7日時点で3万2348人(厚労省発表)。解雇は正規雇用労働者にも容赦なく襲いかかり、大恐慌―大失業情勢はこれから激化していく。
 この間、革共同合同・一般労組委員会は感染リスクや失業などの攻撃に立ち向かうべく奮闘してきた。自動車工場で働く外国人労働者に対する派遣切り、100%の休業補償を拒否するタクシー会社、感染対策をしない訪問介護、物流倉庫で雇い止め・契約期間の短縮、人材派遣会社の雇い止め、介護職場の賃下げ提案----団体交渉やストライキ、組合結成など様々な闘いを展開してきた。
 激動のコロナ情勢下の4カ月の闘いの経験、コロナが暴き出した新自由主義の本質、労働者階級の意識の変化----様々な面から総括を深め、教訓化し、時代認識を形成し、闘いの方向性をつくることが必要だ。何よりも団結して闘うことこそ労働者の生きる道であることを具体的な闘いをもって示すことだ。

新自由主義打倒
反撃に立つ時
生存かけ闘おう

 新型コロナ問題は、新自由主義の破綻と矛盾、弱点、そして新自由主義との闘いの死活性とその担い手を明らかにした。

あらゆる生活基盤が破壊されていく社会

 1980年代の国鉄分割・民営化から本格化した新自由主義は、社会や日常生活の前提条件さえ破壊していることを明らかにした。医療や介護、鉄道や郵便、教育や自治体業務など、人びとの生活に必要不可欠なものが民営化や外注化によって解体されてきたのだ。
 医療・公衆衛生に限ってみても、明治時代以来の重大テーマであった感染症対策は、新自由主義への転換と共に軽視され、感染病床の大幅な削減、保健所の半減などが劇的に進んだ。病院や製薬会社はもうけにならない感染症予防や研究に関心を持たなくなっていた。
 コロナ患者を受け入れた病院の7割は公立病院だ。その多くが「440病院の統廃合」の名指しを受けた病院だった。厚生労働省は入院ベッドを1割削減した病院に補助金を出すために100億円近い予算措置を講じ、小池都政は3月末に都立病院・公社病院の地方独立行政法人化の方針を定めているのだ。
 近年のSARS(重症急性呼吸器症候群)やエボラ出血熱のグローバルな流行の教訓は何一つ生かされず、安倍や小池、トランプら世界の為政者たちは、五輪や経済を優先して最低限必要な判断と対応さえ遅らせた。もう数日対応が早ければどれだけ多くの死が避けられたのか。
 労働者階級に対する上からの階級戦争、資本に対する社会的規制を解き放つことで帝国主義を延命させてきた新自由主義は、富と所得の格差を途方もなく拡大し、貧困問題を深刻化し、労働力の再生産さえおぼつかない状況を生み出した。地球温暖化や新型コロナウイルス問題、バッタの世界同時大量発生など自然からの復讐(ふくしゅう)も深刻だ。資本主義はかつてない閉塞感に覆われている。
 今こそ新自由主義への反撃を開始しなければならない。民営化や外注化によって人びとが必要とするものが破壊される世の中は根本的に間違っているのだ。 

極限的な搾取と収奪、体制覆す革命が必要

 労働者階級は新自由主義と闘わなければ生きていくことはできない。新自由主義への妥協を拒否して、闘いを再開しなければならない。この数十年、労働者階級は多くの陣地を明け渡し、その地位は後退してきた。労働者の政党や労働組合の大半が新自由主義に妥協する運動に転落してきた。その結果が現在の世界だ。根本的な転換が求められている。人類史上類例のない搾取と収奪の新自由主義レジーム(体制)と非妥協的に対決し、覆す革命が必要なのだ。
 「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる社会機能を維持するため最前線で働く労働者が雇用や賃金を買いたたかれ、コロナ感染と失業の脅威にさらされている。だが問題は「エッセンシャルワーカー」だけではない。必要労働(労働力の再生産費=賃金に相当する部分)が雇用・賃金破壊と技術革新などによって最小化される傾向の一方で、ブルジョアジーは剰余労働を搾取するために(ときに無意味とさえ思える)過剰な労働時間を労働者に強いている。ICT(情報通信技術)や組織形態などのあらゆる「イノベーション」が労働者を自由にするためではなく、労働を不自由にし、誇りを奪い、資本の支配を強め、長時間の過重労働を強いるために用いられている。
 100人にも満たない大富豪が世界の富の過半を所有するために、数十億人が過剰に働かされ、コロナ感染と失業の脅威にさらされているのだ。現代のアンシャン・レジーム(旧体制)=新自由主義を打倒する革命が必要だ。

すべて使い尽くした帝国主義延命の条件

 レーニンは、帝国主義を「寄生的あるいは腐朽しつつある資本主義」「資本主義の最高の段階」「死滅しつつある資本主義」「プロレタリアートの社会革命の前夜」と規定した。新自由主義批判の核心はこのレーニンの立場を復権することだ。
 特に、第1次世界大戦終結から第2次世界大戦勃発までの戦間期の歴史的経験が重要だ。1917年のロシア革命は世界革命の突破口を切り開いたが、スターリン主義の裏切りに支えられた帝国主義的な戦後処理(国際資金循環や国際連盟、植民地再分割など)の確立による1920年代の相対的安定期を経て、29年世界大恐慌の勃発、30年代の国際階級闘争の爆発へと向かっていった。そしてプロレタリアートの敗北と再びの世界戦争として歴史は進んだ。
 さらに第2次大戦後の戦後体制の構築による戦後復興と一定の発展、そして戦後世界体制の根底的動揺と新自由主義への推進とその破綻を通して、帝国主義世界は、再びその基本矛盾を大恐慌と国際階級闘争の爆発として、さらには世界戦争をみたび許すのかという新たな戦間期―階級闘争の問題として国際プロレタリアートの前に現れている。
 2008年リーマンショック以降の、擬制資本とマネーサプライの拡大、(国家の)負債の蓄積によって資本主義経済を救済する新自由主義の展開は、新型コロナウイルスの感染拡大によって最も深刻な形で打撃を受けている。航空産業や観光産業、過剰な消費主義などに偏った人為的で特異な消費様式も完全に行き詰まっている。グローバルサプライチェーン(国際供給連鎖)の途絶も含めた製造業への打撃など、資本蓄積は深刻な障壁にぶつかっている。
 数十年に及ぶ新自由主義の展開は、帝国主義の延命の条件を完全に使い尽くした。そして労働者階級は、新自由主義にいつまでも黙って耐えているわけにはいかない。世界大恐慌の到来とは〝労働者が生きるために闘う〟が歴史的実践となる時代なのだ。

労働者を組織し
組織し、組織し
職場に組合を

労働者階級の完全な解放の目的のために

 帝国主義の絶望的延命形態としての、そして上からの階級戦争の遂行という新自由主義の根底的破産と敵対性が明らかになったこの瞬間において、労働者階級が直面する現実に立ち向かうことが共産主義者の任務だ。労働者階級の反転攻勢の基礎はいかにして形成されるのか。
 マルクスが起草した国際労働者協会(第1インターナショナル)の労働組合に関する決議「労働組合、その過去・現在・未来」(1866年)は、労働組合について次のように提起している。
 「最初、労働組合は、この競争をなくすか少なくとも制限して、せめて単なる奴隷よりはましな状態に労働者を引き上げるような契約条件を闘いとろうという労働者の自然発生的な試みから生まれた。だから、労働組合の当面の目的は、日常の生活をみたすこと、資本のたえまない侵害を防止する手段となることに、限られていた......労働組合のこのような活動は、正当であるばかりか、必要でもある。現在の生産制度が続く限り、この活動なしにすますことはできない。反対に、この活動は、あらゆる国に労働組合を結成し、それを結合することによって、普遍化されなければならない」
 マルクスは、労働組合の結成と結合を普遍化することを通して「労働者階級の組織化の中心」に労働組合を位置づけ、「賃労働と資本支配との制度そのものを廃止するための組織された道具としては、さらにいっそう重要である」と提起した。さらに「労働者階級の完全な解放という広大な目的のために、労働者階級の組織化の中心として意識的に行動することを学ばなければならない」と訴えている。
 全米、香港、韓国、欧州や中東――世界中で新たな闘いが開始されている。日本も本質的には変わらない。この情勢と労働者階級の現実に立ち向かい労働組合復権の努力の先頭に立とう。これが最もラディカルな実践だ。国鉄闘争や関生支部弾圧粉砕の闘いは、労働組合の結合と普遍化の結集軸なのだ。

団結した闘いにこそ展望があると示そう

 革共同合同・一般労組委員会は、その基本精神として、労働者が存在するところならばどこであっても、あらゆる職場・地域・業種で未組織労働者を組織し、労働組合をつくり、闘いを開始する任務を担っていることを、何度でも確認しなければならない。
 1955年の総評・全国一般の結成から本格的に始まった合同労組運動は、当初は中小企業の労組の連合体である中小労連型から出発し、加盟単位を個人とする統一労組型運動の模索、80年代からのコミュニティユニオン、さらには近年注目される業種別・職種別ユニオンなど、その運動は様々に展開されてきた。
 組織方式・組織形態の機能論的な議論を先行させるのではなく、これまでのあらゆる努力と苦闘のすべてに敬意をもって学び、労働者の現実に立ち向かっていくことが必要だ。いま最大の問題は、大多数の労働者にとって職場に労働組合が存在しないこと、団結の場、闘いの機会が奪われていることだ。
 職場・地域・業種を問わず、あらゆる組織形態・組織化方式にチャレンジして労働者を組織しよう。何よりも職場に労働組合をつくり、職場にとどまって団結と組織を維持することだ。1人・少数派から職場の多数派へ飛躍することだ。これは並大抵なことではない。困難に立ち向かい続けて、労働者が団結を維持して闘い続ける中にこそ、職場を変革し、雇用や権利を守り、労働者の誇りを取り戻す道がある。
 動労千葉は数十年に及ぶ民営化と外注化との闘いの蓄積のうえで、JR東労組解体として始まった「労組なき社会」攻撃に立ち向かい、外注先のCTS(JR千葉鉄道サービス)において、職場代表選で重要な地平を打ち立てた。動労千葉の闘いに改めて学ぼう。
 職場闘争を通して職場の団結、職場組織をつくる、労働者が団結して闘うことに展望があることを示そう。それを365日追求することが労働運動の基本だ。

いくつかの課題

 新自由主義三十数年で非正規雇用の割合は1984年が15・3%(604万人)だったのに対し、2020年(1〜3月期平均)には38・0%(2153万人)にまで増加している。新自由主義を打倒する労働運動にとって、非正規職労働者の組織化と闘いを重視することは必要不可欠だ。
 さらに女性、外国人、高齢労働者の組織化は大切な課題だ。労働者の自己解放闘争の重要な担い手だ。外国人労働者の数は2019年10月現在で166万人。第2次安倍政権下で2・4倍以上に増えている。コロナ情勢で真っ先に雇い止めや派遣切りの対象になっている。
 業種別・職種別の組織化も重要だ。それぞれの業界特有の構造や労働実態を告発して闘いを提起し、変革の道を示すことができるはずだ。コンビニ関連ユニオンの経験に学ぼう。交通運輸、医療、介護、非正規公務員......全国で業種別・職種別の組織化の先頭に立とう。
 新自由主義のもとで次々と生み出される新しい搾取の構造に立ち向かうことが必要だ。就労形態の法的操作によって「労働者性」を奪う収奪構造、交通事故が多発するウーバーイーツなど、新自由主義的な新たな搾取・収奪構造をとらえた闘いを創意工夫することも求められている。
 改憲攻撃としての労働法制改悪―裁量労働制や金銭解雇制度との闘いも大きなテーマだ。関生支部弾圧は労働組合の正当な活動を弾圧する歴史的大反動であり、階級的労働組合の組織解体を狙った攻撃だ。武建一委員長と湯川裕司副委員長の奪還など反転攻勢も始まった。日本の新自由主義の出発点=国鉄分割・民営化と闘ってきた国鉄闘争は、日本労働者階級の旗印である。7・26国鉄集会に大結集しよう。

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