三里塚 9・2請求異議控訴審に結集を 農地強奪の強制執行許すな

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週刊『前進』04頁(3152号03面04)(2020/07/27)


三里塚
 9・2請求異議控訴審に結集を
 農地強奪の強制執行許すな


 9月2日、東京高裁第4民事部(菅野雅之裁判長)で請求異議裁判控訴審の第3回が開かれる。三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけに応え、天神峰・市東孝雄さんの農地を奪う強制執行を阻止するために、全力で結集しよう。
 今回の裁判はもともと3月末に予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大で延期された。だが菅野裁判長は、9・2を含めあと2回で結審するという姿勢を変えていない。そんなことを認められるか! 事態は一変したのだ。
 成田空港は今、存亡の危機にある。この間、B滑走路は閉鎖され、ターミナルの一部や店舗なども閉鎖・休業が相次ぎ、NAA(成田空港会社)は収支の見通しの発表もできない。NAAは7月22日、「国内線が復便傾向にある」としてB滑走路の運用を再開したが、首都圏の新型コロナ感染者が増え続ける中で需要が回復する見込みなどなく、GoToキャンペーンから東京が除外されたことによる利用者大幅減も避けられない。LCC(格安航空)が運航を再開したところで、あらゆるコストを切り詰めて成り立たせてきた以上、空席多数で飛ばせば飛ばすほど大赤字になる。
 誘導路をへの字に曲げている市東さんの畑について、「B滑走路の機能を強化するために、すぐにでも強制執行で取り上げる」というNAAの主張は、何の正当性も緊急性もなく、根拠を失った。むしろB滑走路自体の「不要性」が浮き彫りになった。審理を一からやり直して当然なのだ。

航空需要は消滅

 新型コロナウイルスの世界的感染爆発は、航空需要を一瞬で蒸発させた。海外旅行ブームによる航空市場の活況はバブルだった。東京五輪をまたとないチャンスとして野放図に展開されたインバウンド(外国人客誘致)政策は、富裕な旅行客の落とす金だけを目当てにし、感染症などの危険にまったく無自覚・無防備だったことが証明された。ビジネスマンがあわただしく世界中を移動するという習慣も、その大部分が「不要不急」になってしまった。ジェット燃料を好き放題浪費して、大量の人や物が地球上を駆けめぐる時代は完全に終わったのだ。インバウンドの破産の結果が、成田空港周辺において農業破壊、地方切り捨ての現実としてむき出しになった。これらは構造的な問題であり、コロナ情勢がおさまれば自然と元に戻るなどということはない。
 だが往生際が悪いことにNAAの田村明比古社長は、第3滑走路建設などの空港機能強化について「これまで通り進める」と言い張り、さらに「機能強化を進めることで、航空需要の回復に貢献する」とまで言いはじめている。そんな無意味で無謀な計画のために「予定地」の田畑・山林・地形・水系を破壊しようというのか。機能強化策は白紙撤回以外にない。

東京高裁包囲を

 食料自給率の低下やコロナ以後の食糧危機が叫ばれる中、人間存在と不可分一体の土台である自然環境と、人間の生存を根底で支える営みである農業の重大な意味を、われわれはあらためて把握しなければならない。完全無農薬の有機野菜を育て消費者に届けてきた専業農家である市東さんの営農の権利は、絶対的に保障されるべきものである。まして、土地横取りのためにあらゆる卑劣違法な手を尽くしてきた末に倒産寸前となったNAAには、それにケチをつける資格はない。NAAの前身である空港公団は、「強制的な手段は用いない」と社会的に公約した。今それをほごにして、市東さんの農地を奪うことなど論外だ。
 9月2日の弁論では、市東さん本人尋問と専門家など3人の証人尋問が予定される。「強制執行許さない」の要望書を集め、9・2に結集しよう。反対同盟と共に「農地死守・実力闘争」の気概をもって、東京高裁を包囲しよう。

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三里塚請求異議裁判
 9月2日(水)東京高裁  
 午前10時30分開廷 
 *証人尋問、市東さんの
  本人尋問を予定

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