「デジタル化」その正体(3) ロボット導入で安全崩壊 アマゾン帝国の闇

週刊『前進』04頁(3167号03面03)(2020/10/26)


「デジタル化」その正体(3)
 ロボット導入で安全崩壊
 アマゾン帝国の闇


 ネット通販大手・アマゾン(amazon)と言えばGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の一角の巨大IT企業である。近年でもAWS(アマゾンウェブサービス)、プライムビデオ、アマゾンミュージックなど、様々なサービスを生み出し続けている。
 一般的に多くの人は、ネット通販の利用が主であろう。アマゾンの国内利用者数は2019年度で5004万人である。家電だけでなく、日用品や食料品などを買う人も多い。「安い」だけでなく、「買い物に行く時間がない」人が増加したことが背景にある。
 アマゾンは日本だけでも10カ所以上の物流センターを持ち、のべ床面積は70万平方㍍(東京ドーム15個分)を超える。ネット通販事業者としては日本最大だ。また売り上げも、18年度は日本で約1兆5350億円、世界で約14兆8093億円。世界の小売業ランキングでウォルマート、コストコに次ぐ第3位である。

業界2倍の負傷率

 アマゾン創業は1990年台半ば。二十数年でこれだけの巨大企業になったのは当然にも理由がある。ビッグデータ(これまでのシステムでは管理や分析が不可能だった巨大なデータ群)の活用やイノベーション(技術革新)の裏側で、徹底した合理化と労働者から強搾取を行ってきたことが大きな理由である。
 左のグラフを見てほしい。海外メディア「Reveal」のレポートによると、従業員の「深刻な負傷」(仕事を休んだり制限を設ける必要が出たりする程度の負傷)の発生率が業界平均の2倍となっており、特にロボットが導入されて自動化が進んだ倉庫における負傷率が高いと報じられている。2019年にはアマゾンの倉庫で1万4千人もの従業員が「深刻な負傷」を負っており、16年に比べて従業員100人当たりの負傷率は33%も増加している。

ノルマで4倍増に

 アマゾンの倉庫に導入されたロボットは、倉庫内を走り回って商品が入った棚を動かしたり、商品を直接労働者の手元に届けたりすることで、商品の取り出しや梱包(こんぽう)にかかる時間を大幅に削減した。その結果、1人の労働者がこなすべきノルマが大幅に増加した。ロボット導入前は1時間当たり100個がノルマだったが、導入後は1時間当たり400個に増加した。9秒ごとに1個の計算になる。それが延々と続く。労働者は休みなく大量の商品をつかんで処理する必要に迫られ、負傷の危険が増加したと言われている。

秒単位で労務管理

 ロボット導入以前から、ハンディ端末導入による労働強化も行われてきた。
 『潜入ルポamazon帝国』(横田増生著、19年刊)によれば、近年はアマゾンの倉庫労働者それぞれに端末が渡され、その指示に従ってピッキング作業(商品を端末でスキャンする)を行うという。著者が15年前に潜入した時にはなかった仕組みだ。「次のピックまで15秒」といった具合に、端末には秒単位で指示が出される。端末導入前は、「1分で三つ」と言った分単位の指示だったが、秒単位で労働しなければならなくなった。
 端末の時間通りにできないとPTG(パーセンテージトゥゴー)と呼ばれるポイントが下がっていく。また労働時間から休憩・移動時間を抜いた「稼働率」が測られ、数字が低いと叱責(しっせき)、場合によっては解雇される。許し難い労務管理だ。
 またピッキングの数が少ないだけでなく、ピッキングしている時間が短いと「サボっている」とみなされ、各人の平均の「稼働率」が毎日、貼りだされる。「一挙手一投足を見られながら、作業に駆り立てられる、逐一監視されているような感じこそが、アマゾンのアルバイトの大きな特徴である」と著者は語っている。
 資本主義の歴史を見れば、機械の導入は商品の大量生産を可能にする一方で、ノルマの増加など労働強化が強制されてきた。そして安全がないがしろにされ、労働者は命まで奪われてきた。「デジタル化」もまさにそうしたものの一環としてとらえる必要がある。「資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない」(『資本論』)ということが、デジタル化によってより露骨になったということだ。
 労働者の命と健康を守り抜くために、闘う労働組合が必要だ。
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