横田基地で訓練・事故が激増 命脅かす米軍に住民の怒り広がる

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週刊『前進』04頁(3172号03面03)(2020/11/30)


横田基地で訓練・事故が激増
 命脅かす米軍に住民の怒り広がる

(写真 改憲・戦争阻止!大行進三多摩実行委員会が呼びかけた5月16日の横田基地抗議デモには70人が集まった【福生市】)

 米中対立と軍事的緊張の激化の中で米軍・自衛隊の運用一体化が進み、米軍横田基地(東京都福生市)や陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)などの機能強化で首都圏一帯が「戦争と隣り合わせ」の状態にされようとしている。
 横田基地では、2018年の空軍用CV22オスプレイ5機の配備以降、訓練が激増した。17年度に年間1万回だった軍用機の離着陸回数が、今年度はなんと前期半年間で8千回を超え、今世紀最多となった。6月29日にはオスプレイを使った初のパラシュート降下訓練も行われた。同じ時期、日米合意で制限された22時以降の深夜帯の訓練も開始。10月にはコロナ禍以降で最大規模となる日米共同演習「キーン・ソード」に参加し、空母に改修予定の海自護衛艦「かが」との初の着艦訓練を行った。特殊作戦部隊を最前線に送り込む実戦さながらの訓練が、自衛隊と一体化しつつ本格化している。

住宅街に落下物水質汚染も深刻

 今や横田基地の状況は一変し、基地周辺住民の生活と命を脅かしている。
 深夜も含めた訓練の増加に伴う騒音被害に加え、落下物事故が短期間に相次いでいる。6月16日には、横田基地所属のオスプレイが「サーチライトドーム」という部品の落下事故を起こした。落下場所は不明で部品は見つかっていない。
 7月2日にはキャンプ座間所属のUH60ヘリが横田基地でパラシュート降下訓練中、基地東側約700㍍地点の住宅街内にある都有地や寺院境内に誤ってメインパラシュートを落下させた。同月7日には同様の訓練中に、落下傘兵が足に装着した足ひれ(フィン)がJR牛浜駅西側の住宅地内にある駐輪場横の道路に落下。さらに10日にペットボトル落下、14日にアンテナ脱落など、横田基地所属機が立て続けに事故を起こしているが、米軍は原因究明もせず再発防止策もとらずに訓練を再開した。そして即日再び事故を起こし、報告もしなかった。「戦争中に住民の命など知ったことか」と言わんばかりの態度だ。これが帝国主義軍隊の本性なのだ。
 コロナへの対応や水質汚染の問題も深刻だ。横田基地は11月19日時点で基地内35人のコロナ感染を発表した。沖縄、横須賀に続く事実上の集団感染だ。ところが米軍は当初、日米地位協定を盾に入国時の検査を回避し、感染者数も公表しなかった。日本政府もそれを容認した。7月に沖縄の米軍基地で大規模感染が発生し、それに対する自治体や住民の怒りが高まる中で、形だけ感染者数の公表、入国者のPCR検査に応じるようになったが、「適切な処置をとっている」と一方的に発表するだけで具体的なことはほとんど明らかにしていない。
 さらにこの間、米軍基地内で使用される泡消火剤による住民の健康被害が問題化している。泡消火剤に使われる有機フッ素化合物(PFOS)は発がん性が指摘される有害物質だ。このPFOSの血中濃度の平均値が、横田基地に比較的近い府中市で全国平均の2倍超、国分寺市で1・5倍に上ることがわかった。しかし、米軍は今年4月に普天間基地で起きたような大規模で目に見える形の漏出事故を除けば調査に協力していない。

「基地撤去」掲げ12・6横田デモへ

 横田基地と並んで焦点化しているのが陸自木更津駐屯地だ。7月10日、オスプレイ1機が木更津駐屯地に暫定配備され、11月20日には東京湾での初の試験飛行が強行された。陸自オスプレイは、相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県佐世保市)に発足した「日本版海兵隊」=陸自水陸機動団の隊員輸送の役割を担うとみられ、来年度末までに17機が配備される予定だ。地元の反対で配備が見送られた佐賀空港の代替として、当面5年間は木更津駐屯地に「暫定配備」となった。
 しかし、木更津駐屯地はすでに米軍の要求で17年から米海兵隊用のMV22オスプレイの整備拠点になっている。今後さらに、米軍7機、自衛隊3機の同時整備ができるように格納庫の新設が計画されている。地元住民はこれに反対して闘いに立ち上がっている。
 12月6日、改憲・戦争阻止!大行進三多摩実行委員会が呼びかける横田基地への抗議デモが行われる(要項4面)。首都圏の軍事拠点化を許さず、沖縄の闘いと連帯し、基地撤去・安保粉砕へ闘おう。
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