日本労働運動の本格的再生へ 11月集会での3労組の訴えに応え、闘う組合の全国ネット作る挑戦を 革共同中央労働者組織委員会

週刊『前進』04頁(3173号02面01)(2020/12/07)


日本労働運動の本格的再生へ
 11月集会での3労組の訴えに応え、闘う組合の全国ネット作る挑戦を
 革共同中央労働者組織委員会

(写真 熱気あふれる11・1集会を成功裏にかちとり、3労組を先頭にデモに出発【11月1日 東京・日比谷】)

はじめに

 動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の3労組と、国鉄闘争全国運動、改憲・戦争阻止!大行進が呼びかけた11・1労働者総決起集会/改憲阻止!1万人行進は、新型コロナウイルス感染症の世界的爆発的拡大のもとでの困難・格闘をのりこえて画期的な成功をかちとった。それは、コロナ禍の中で開かれた労働者集会としては、日本における最大規模の集会の一つとなった。集会でのすべての訴えが、新自由主義攻撃とコロナ禍のもとで吹き荒れる激しい攻撃に立ち向かい、職場・地域で必死に闘いを組織してきた確信に輝いていた。呼びかけ3労組は、未曽有の大弾圧や国鉄分割・民営化以来の大攻撃との死活をかけた闘いの渦中にありながら、自信に満ちて「今こそ力を合わせて労働運動をよみがえらせよう」「私たちはその先頭に立ちきる決意です。この旗のもとに結集して下さい」と訴え、壇上で固い握手を交わした。
 23年間、永々として守りぬかれてきた11月集会が切り開いた地平は、情勢の歴史的転換と結びついて、労働運動史的意味と可能性をもつ闘いとなって発展しようとしている。
 革共同は3労組の必死の努力を、階級全体を獲得する闘いに発展させるために固く団結して闘う。それは日本階級闘争の現段階における革命的共産主義運動の最大の任務である。

コロナ禍を突いてかちとった大集会

 11月労働者集会が切り開いた第一の成果は、コロナ禍を突いてかちとられたことにある。
 コロナで情勢は一変し、われわれは日々階級的立場を研ぎ澄まさなければ一歩も前進することができなかった。そうした格闘の中で全国の同志たちが党の変革をかけて、最も困難な戦場である職場で必死に闘いを組織した。それはまた、労働運動再生のために突破しなければならない実践的・組織的課題は何なのかを自らに問い、踏み出していく新たな挑戦でもあった。
 われわれが生きているのはどういう時代か。2019年12月27日付日本経済新聞は、「未来の歴史家は2019年を、世界各地で大規模デモが多数発生した特筆すべき『騒乱の1年』と定義づけるであろう」という記事を掲載した。19年はヨーロッパを革命の嵐が席巻した1848年やロシア革命が起きた1917年に匹敵する年だったというのだ。これがコロナ禍直前の情勢だった。40年近くにわたって社会をのみ込み、破壊して吹き荒れた新自由主義攻撃に対する総反乱が全世界で始まったのだ。
 そこにコロナ感染症が広がり、各国でロックダウンや緊急事態宣言が発動された。しかし、そうした事態を突いて労働者階級の歴史的な闘いが嵐のように開始された。その先頭に各地の医療労働者のストライキやBLM運動が立っている。
 コロナは、労働者が団結する条件、階級として歴史の前面に登場する条件を生み出した。「エッセンシャルワーカー」への注目と、その置かれた現実のあまりの落差を、これほど多くの労働者が深い怒りをもって自覚したことはかつてなかった。それは巨大な変化のはじまりを示している。日本も例外ではない。「もうたくさんだ!」という声は確実に圧力を高めて、社会的な力となって登場する時を待っている。
 だが、そのためにも日本階級闘争には、実践的に突破しなければならない課題がある。新自由主義攻撃は、階級的労働運動はもとより、職場・社会から階級的なものの見方、考え方を解体・一掃する攻撃であった。労働運動を担ってきたほとんどの勢力が雪崩をうって屈服、変質して階級的労働運動を放棄した。コロナ禍のもとでも労働運動は「自粛」、後退を続け、連合的なものまで反動的に再編されようとしている。
 一方、菅政権は危機の前にうろたえながら、マスコミなども総動員し、コロナ感染症という生命の危機を逆手にとって、階級的なものを社会から抹殺するためにあらゆる攻撃をしかけている。エッセンシャルワーカーへの社会的注目に対しても、それに対置されているのは、より極端化した新自由主義への突進である。こんな攻撃は早晩破綻し、崩壊する。こうした形で動と反動が激しく衝突しているのだ。
 そして11月集会は、日本階級闘争が突破しなければならない最も重要な課題に真正面から挑む闘いとしてかちとられた。この場に結集した一人ひとりの中に労働運動を変革する力はある。全参加者がそのことを熱く確認し、激動の時代の組織者となってそれぞれの持ち場に戻ったのである。

新自由主義と闘う3労組の決意・決断

 第二に、呼びかけ3労組の鮮明な決意と決断こそが、11月集会の画期的な成功を生み出す最大の力であったことを確認したい。
 3労組は、1980年代、新自由主義の導入を背景とした労働運動解体攻撃を真正面から受けて立ち、それにかちぬいて強力な団結の基礎を形成した労働組合だ。関生支部には82年に、現在の攻撃にもつながる大弾圧がかけられた。動労千葉は国鉄分割・民営化攻撃との歴史的闘いに立ち上がって団結を守りぬいた。港合同は日本中の労働者が注目した田中機械の倒産争議―自主生産闘争に勝利し、企業の塀をこえて地域を一つの労働組合として組織する中小労働運動の新たな地平を確立した。それらの闘いは、国鉄分割・民営化攻撃を契機に日本労働運動が一斉に後退していった現実と鮮烈な対比をなして、既成労働運動とは全く違う質をもった新たな闘いの登場を示した。
 三つの労働組合は、それぞれの分野・持ち場で、戦後日本労働運動が抱えてきた限界をのりこえる階級的労働運動の新たな実践と運動思想を打ち立てたのである。国鉄闘争が3労組を結びつけたことが象徴しているように、小さくとも労働者階級全体の利益、労働運動全体の前進という観点を忘れず、資本・権力と労働者の関係を絶対にあいまいにせず妥協なく闘いぬき、今日まで団結を守りぬいてきた。それは日本労働運動の宝のような存在である。
 しかもその闘いは決して過去の栄光ではない。3労組は今も日本労働運動の最前線に立ち、まなじりを決して闘い続けている。関生支部は2018年7月以来、89人もの組合員らが不当逮捕される未曽有の大弾圧と対決し反転攻勢に立ち上がっている。動労千葉は20年に及ぶ外注化・非正規職化粉砕闘争を貫き、外注先企業の労働者を組織して新自由主義攻撃に対抗する力をもった労働運動の新たな方向性を確立しようとしている。港合同は官民連帯、地域共闘の先頭に立ち、大阪都構想粉砕の闘いに組織をあげて立ち上がり、住民投票の勝利をかちとる原動力となった。
 3労組が立ち向かっている課題は、これから社会全体をのみ込んでいこうとしている攻撃との最先端における攻防だ。とくに団体交渉や争議をことごとく刑事弾圧の対象とする、戦前と見まがうばかりの関生支部への大弾圧との闘いは、まさにすべての労働者の未来と労働運動の再生をかけた闘いにほかならない。また、整理解雇を振りかざして現業すべてを外注化し、勤務指定で労働者を自由自在に休業させることのできる就業規則改悪を強行し、大規模な廃線化を地域に強制し、「労組なき社会」のモデルや法的枠組みをつくろうとするJR東日本の攻撃は、「総非正規職化」「解雇自由」を狙う日本帝国主義の基本政策を先行して既成事実化するものだ。
 11月集会では、原点に立ち返り、3労組の闘いのもとに広範な労働者を結集させる闘いに全力を尽くすことが確認された。われわれはその闘いを日本革命の帰すうをかけた自らの任務として絶対に勝利させなければならない。

大行進運動の力で改憲と戦争阻もう

 第三の成果は、全国各地での2年間の奮闘を経て、改憲・戦争阻止!大行進運動の本格的発展が始まったことである。
 3労組が大行進運動を呼びかけた根底には、日本階級闘争の深刻な危機の認識があった。集団的自衛権の行使容認という戦後史を画する歴史的な攻撃、戦争法制定が強行される過程であらわになったのは、驚くべき現実であった。日本共産党、社民党、旧民主党系やそのもとに組織された市民運動団体など、運動の主催者が国会闘争の場で繰り返したのは、「警察の指示に従って絶対に歩道からはみ出すな」という連呼と警察への感謝の言葉であった。何万という労働者が戦争に反対し、この時代への真剣な危機感を抱いて結集したが、その意志は徹底的に否定された。国会前を埋め尽くし座り込むというレベルも含め、闘いがわずかでも実力闘争として発展しようとすると、まるで暴徒か犯罪者かのように非難され、排除された。そして「選挙協力」「野党共闘」だけが主張された。
 国家権力と日本共産党スターリン主義が一体となって、マルクスが『共産党宣言』で高らかに宣言したあの誇り高き階級闘争の思想を解体する重大な反動が跋扈(ばっこ)した。こうした事態の中から、革命的反戦闘争を復権する試みとして大行進運動が立ち上がったのだ。それは主体に引き付けて言えば、本格的な労働者党への成長と飛躍をかけた闘いでもある。

一層強められた労働者国際連帯

 第四に、国際連帯闘争の本格的発展をかちとったことを大きな可能性として確認したい。
 11月集会には、世界各地200もの労組・団体から賛同の声が寄せられた。11月集会の呼びかけは様々な言語に翻訳され、われわれの知らないところでどんどん拡散されていった。コロナ禍が、この時代を生き闘いぬくための不可欠の要求として世界中の労働者を団結させているのだ。来年はそのすべての仲間を招くことができるように、この1年の間にわれわれの組織力量を高めなければならない。それは相互に共感し合って、日本の労働者に勇気を与えることは間違いない。国際連帯は労働者が階級性を回復するための最大の力である。100万人組織を実現して前進する韓国・民主労総の闘いをはじめ、全世界の労働者と固くスクラムを組んでいるのだということを改めて確認することができるからだ。
 最後に、11月集会で動労千葉の関道利委員長が提起した、「『闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう』の訴えを、これから1年間の実践を通して具体的な姿・形にしよう。……必要な新たな構想と想像力、新たな戦略、新たな運動の広がりは、頭の中では決して生まれません。職場で、それぞれの持ち場で具体的に闘いを開始すること、新たな結びつきを求めて踏み出すこと、そのために自らが変わること、一人ひとりが『私はこれをやる』という決断をもって仲間と自由闊達(かったつ)な議論を始めること、『実践こそ創造の母』です」という訴えを、われわれこそが先頭に立って担わなければならない。2021年を革命的変革の年としよう。
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