郵政の土曜休配絶対反対 数万人規模の配転と首切り狙う

週刊『前進』04頁(3174号02面01)(2020/12/14)


郵政の土曜休配絶対反対
 数万人規模の配転と首切り狙う

(写真 5月1日のメーデーで、郵政非正規ユニオンと労組交流センター郵政労働者部会は「コロナ解雇を許すな」「土曜休配反対」などを訴え、東京・大手町の郵政本社前で街宣活動を展開し、本社への申し入れを行った)

 土曜日の郵便配達を廃止する「改正郵便法」が、11月27日の参議院本会議で可決、成立した。今回の「改正」は、速達やゆうパックなどを除く普通郵便の土曜日の配達を廃止するため、郵便局の配達義務を「週6日以上」から「週5日以上」に改める内容だ。

「人を雇え」職場にあふれる怒りの声

 総務省は今回の「法改正」にあたり「手紙、はがき等の物数が減少する一方で、荷物の個数が急増。他方で、郵便事業の人手不足は深刻化しており、労働力確保の観点から、働き方改革への対応が喫緊の課題となっている」としている。マスコミ各社も「人手不足の対応として、土曜配達を廃止して配達員の働く環境を改善」と報道している。
 冗談ではない。集配外務の職場からは「土日にたまった郵便物をどうやって月曜日に配達するのだ」「土曜配達を廃止してもうまくいかなかったら、今度は何曜日に配達やめるのだ?」「配達やめる前に人を雇え」の声が湧き起こり、郵便内務の職場からは「翌日配達体制のために深夜労働を強制しておいて、今度は昼間に働けというのか」「昼間の勤務になったら賃金が下がる。いやなら辞めろと言うのか」と怒りの声があふれている。
 通常郵便物は年間2・5%以上のスピードで減少している。通数にすると約5億通減少。収入にすると5億通×90円(定型郵便物とすると)=450億円のマイナスとなっている。毎年約5億通の減少にもかかわらず、全国で圧倒的な人員不足が問題になっている。
 土曜休配・合理化計画の中身は、翌日配達廃止をもって「土曜配達にかかわる5万5千人のうち4万7千人を他の曜日や荷物の配達にまわす。送達日の繰り下げにより内務深夜勤帯の8千7百人のうち5千6百人を日勤帯、別の業務に再配置可能」としている。当局は、余剰人員が出た場合は自然減とすると言っているが、これはとりわけ集配外務と深夜勤帯の非正規労働者に対する配転と首切りの大合理化計画である。
 JP労組本部は今回の土曜配達廃止について「付帯決議」がついたから良しとした。付帯決議には「非正規雇用を含む全ての社員を大切にし……」とある。冗談ではない。当局は民営化攻撃の中で、圧倒的な人件費削減合理化を推し進め、正規の穴埋めで非正規雇用に置き換え、6割の非正規職をつくりだしてきた。
 その上、09年のJPエクスプレス計画の破綻の際には平気で雇い止め解雇を行い、深夜労働で必死に働く非正規労働者が通勤途上で事故にあえば、お払い箱だと解雇してきた。圧倒的な人員不足で交通事故、郵便事故が日常茶飯事だ。その責任の一切を現場に押し付けているではないか。どこが「社員を大切に」だ!
 JP労組本部は労使自治を叫び、「労働契約法20条裁判」の最高裁判決に際しても「労使関係の基本に関する協約」を持ちだし、改めて闘わないことを宣言している。その中身は「事業を支える重要なパートナー」「会社は、生産性の向上、経営基盤の強化、事業領域の拡大等により本格的な市場競争に的確に対処しつつ、雇用の安定に努めるとともに、組合もその実現に最善を尽くす」だ。

職場の怒りを束ね大合理化を阻もう

 国鉄分割・民営化以来、新自由主義は労働者階級の組織的団結を破壊し、労働者を徹底的に分断し、闘う力・抵抗する力を奪うことで成り立ってきた。それを支える存在として、JP労組本部は戦時中の郵政版産業報国会である「逓信(ていしん)報国団」と同じ存在となって登場している。
 新自由主義を打倒する労働運動の可能性はどこにあるか。それは新自由主義の絶望的凶暴性、そのあまりにもデタラメな破綻性そのものにこそある。郵政民営化こそデタラメであり、その破綻が全ての郵政労働者に明らかになった。
 土曜配達廃止絶対反対の決戦場は職場生産点にある。職場の怒りを束ねてダラ幹の支配を打ち破り、コロナ禍で立ち上がるすべての労働者の闘いと合流しよう。
(東京 集配外務労働者・森村成也)
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