〈投稿〉 非正規社員の賃金格差是正しろ 団交で不払い手当をとり戻そう 郵政非正規ユニオン・N

週刊『前進』04頁(3175号03面03)(2020/12/21)


〈投稿〉
 非正規社員の賃金格差是正しろ
 団交で不払い手当をとり戻そう
 郵政非正規ユニオン・N


 日本郵便で働く非正規社員の賃金は正社員と比べて激しい格差があり、その低賃金に対して多くの労働者は強い怒りを感じています。郵政非正規ユニオンは、日本郵便に対して「非正規社員の賃金格差を是正しろ! 不払いの手当を支払え!」と団体交渉を要求することを決定しました。
 日本郵便は2007年10月の民営化以降、非正規社員の割合を増加させてきました。現在、全従業員の半数である約19万人が正規社員と肩を並べて同じ仕事をし、現場の主力を担っています。その非正規社員の手当、一時金(ボーナス)も含む賃金は、正社員と比較して年収で約3分の1、退職金も含めると約7分の1です。日本郵便は、非正規社員の賃金を極端に低く抑え込むことで企業の利益を増大させ、株主への利益を確保しようとしてきました。非正規男性社員の約7割弱が独身であるという実態は、結婚もできないような低賃金を強制していることを示しているのです。

最高裁判決に対し職場で実力闘争を

 最高裁判所は10月15日、日本郵便の非正規労働者11人が争った旧労働契約法20条をめぐる裁判の判決を出し、扶養手当、年末年始勤務手当、夏期冬期休暇、年始の祝日、有給の病気休暇について不合理な格差があると認定し、損害賠償を命令しました。住居手当については、非正規社員に支払わないことは「不合理な格差」であることが高裁段階で確定しています。これらの判決により、提訴した当該には、非正規労働者が不当に奪われてきた手当、休暇の一部の未払い分が支払われることになりました。
 一方で許せないことに、この判決の2日前に出された二つの最高裁判決は、賞与(一時金)、退職金の非正規労働者の格差分を非正規労働者にはまったく払わなくてもいいという、とんでもない不当な内容でした。日本郵便の裁判でも、賃金の格差のもっとも大きい要因である一時金は敗訴になっているのです。
 政府、裁判所には、格差を是正するつもりなどありません。また、「格差は違法」とされた手当についても、日本郵便と最大労組であるJP労組本部は結託して、何とか是正を逃れる方法はないかとあがいているのです。許せない!

非正規社員に矛盾を押し付けるな!

 日本郵便はこれまで、経営陣の失策のツケを非正規社員に押し付けてきました。2010年、日本郵便はJPエクスプレスと日通ペリカン便の統合に失敗し1185億円の赤字を計上したうえ、JPエクスプレスが倒産、そのツケを4万6千人もの非正規社員のクビ切りで支払ったのです。2017年には日本郵政と日本郵便が6200億円も投じて購入したトール社の経営不振で4003億円もの損失を計上、今年11月には同社の売却を決定しています。これら経営陣の失策によってドブに捨てた巨額のカネは、非正規社員を低賃金で働かせて得たものなのです。ふざけるな!
 日本郵便は、賃金を低く抑え込むことを目的として、労働者の中に地域基幹職、新一般職、アソシエイト社員、月給制契約社員、時給制契約社員のような「区別」や、スキル評価のような分断を持ち込んで、「賃金が低いのは本人の努力が足りないせい」とこじつけ、賃金に差をつけて低賃金を合理化してきました。現場には、これらを推進する「仕事しない不要なスーツ組管理職」と、自己保身と出世しか考えていないJP労組幹部への怒りがあふれています。
 郵政非正規ユニオン組合員の奥野明子さんは、通勤途上の交通事故で療養中にもかかわらず、2013年3月31日、不当にも東京・晴海郵便局を雇い止め解雇されました。もし非正規社員にも十分な有給の病休と休職制度があれば、奥野さんは晴海郵便局で働き続けることができたのです。奥野さんは現在も解雇撤回・職場復帰をめざして闘い続けています。郵便局で働く非正規の仲間は、闘う労働組合に入って職場から団結をつくり出し、実力で不当な格差賃金を取り戻そう!非正規職を撤廃しよう!
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