健康被害の実情に怒り ふくしま共同診療所報告会

週刊『前進』04頁(3175号03面02)(2020/12/21)


健康被害の実情に怒り
 ふくしま共同診療所報告会

(写真 ふくしま共同診療所の杉井吉彦医師が、汚染水問題など福島の現状を怒りを込めて語った【12月13日 東京・杉並】)

 「3・11から10年の福島―健康被害と汚染水」と題し、ふくしま共同診療所報告会が12月13日、東京・杉並区で開催された。近県から駆け付けた初参加のグループの人たちなど、多くの人が会場を埋め、福島の現状を知りたい、子どもたちを守ろうという思いが満ちる集まりとなった。
 冒頭「10年目のフクシマ」「ふくしま共同診療所訪問」の2本のDVDが上映された。除染土壌を詰めたフレコンバッグの山が今も各所に残るなど衝撃的な映像が続き「福島原発事故は終わっていない!」と実感。診療所の奮闘にも目が引き付けられた。
 福島の状況を身近に感じる中、ふくしま共同診療所医師で東京・国分寺の本町クリニック院長でもある杉井吉彦さんがスライドを使いながら報告した。
 杉井さんは、簡単に自己紹介したのち、3・11福島原発事故後、福島に診療所を立ち上げた経緯と診療所の活動について語った。
 続けて「今、福島で問題になっていること」として5点をあげたうえで、とくに福島第一原発は今も溶け出た核燃料を冷却し続けており、一日170㌧もの放射能汚染水が生じていると述べ、「政府や東京電力は汚染水の海洋放出を行おうとしているが許してはならない」と声を強めた。
 さらに小児甲状腺がんが県の県民健康調査検討委員会の最新の報告だけでも、疑いも含めて246人にもなるにもかかわらず、「被曝との関連は認められない」として、甲状腺検査の縮小や打ち切りを狙っていることを厳しく批判するなど、福島の現状を分かりやすく報告した。最後に「今後、甲状腺がんの増加やさまざまな病気が生じようとしている。ふくしま共同診療所は今後も活動を行っていく」と力強く結んだ。
 主催者のNAZEN東京代表がまとめを行い、懇談会に移った。ここにもたくさんの人が参加し、保養活動の経験を語り合うなど、実りあるものとなった。
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