2・14集会 主な発言 闘う労組の全国ネットを

週刊『前進』04頁(3183号02面01)(2021/02/22)


2・14集会 主な発言
 闘う労組の全国ネットを


 国鉄闘争全国運動が主催する2・14国鉄集会は、1047名解雇撤回とJR大合理化粉砕の国鉄闘争に勝利するとともに、労働運動全体の階級的再生を課題として開かれた。この集会での主な発言の要旨を紹介します。(編集局)

●開会あいさつ

従来の労働運動の限界を突き破ろう
 国鉄闘争全国運動呼びかけ人 伊藤晃さん

 この集会は労働運動の変革という大きな課題を掲げています。新自由主義により医療、地方自治、いくつもの分野で崩壊が始まっています。そこには、現場の労働者にしか見えない問題が必ずあります。船橋二和病院のストライキは、医療崩壊の現場にいないと分からない労働者の見地から、大問題を提起しました。動労千葉の房総半島での運動は、地域の生活が壊されている現実に、地域の人々の視野と労働運動の視野を突き合わせて進んでいます。
 権力・支配集団は、これまで労働運動が当然の権利としてきたこと一つ一つを弾圧の対象にしています。
 職場から見える社会と政治の崩壊を問題にしてきたのが皆さんの運動です。労働運動の限界を突き破る可能性は、そこにたくさん秘められている。そこに確信を持ち、頑張りましょう。

「個人の受難」への連帯的関与が必要
 甲南大学名誉教授 熊沢誠さん

(写真 ビデオを通して語る熊沢誠さん)

 現代日本の主流派の労働運動、「普通」の企業別労働組合運動の機能は極小化し、存在意義は希薄になっている。
 関西生コン支部への常軌を逸した弾圧はなぜかけられているのか。「普通」の主流派の企業別労働組合が、「まとも」な労働組合の関生を窒息させようとしている。日本の「普通」は国際的には「まとも」ではない。関生は「まとも」な労働組合です。
 主流派の企業別労組はその守備範囲を徹底して限定する。企業の要請に「強制された自発性」で適応する正社員だけに関心があり、膨大な非正規労働者の被差別的待遇は傍観している。
 労働協約の決定範囲が狭まり、労働条件が個人処遇になる。過剰なノルマ、それを達成できない人へのパワハラ、これを逃れようとしての超長時間労働。これらは「個人の受難」として切り捨てられ、個人の責任とされ、労働組合事項ではないとされる。
 労働組合を取り巻く国民の意識も荒涼としていて、強い同調圧力が定着している。その帰結は、人権感覚の恐るべき鈍磨だ。
 労働組合運動再生のためには、「個人の受難」への連帯的関与が必要だ。また、非暴力だが直接的行動を模索すべきだ。労働運動ならストライキ。
 政治・市民運動でも、ラジカルな行動の排除を前提に野党共闘の選挙運動に専念する議会主義的偏向がある。香港の運動やアメリカのBLMは秩序紊乱(びんらん)を含みこんでいる。それが人々の心を動かす。ラジカルな行動を忌避するあまり選挙での得票も失っているのが現実だ。

労働運動の再生へ知恵と力の結集を
 動労千葉前委員長 田中康宏さん

 この集会は、階級的労働運動を取り戻せるか否かという問題に真正面から向き合うものとして設定しました。どうしたらいいか、あらかじめの正解はありません。だが、皆さん一人一人の中に困難を突破する力があると確信します。
 関生弾圧は労働基本権を一掃する攻撃、戦争の一歩手前です。その時代認識を持たなければならない。
 全国労組交流センターの総会で、関生、港合同、動労千葉の3労組から共同代表を選出しました。時代の変わり目で新しい労働運動をつくりたい。3労組が恒常的に共闘する入れ物はできたけれど、内容と実践はこれからです。ここに全国の仲間の知恵と力を結集してほしい。それは必ず大きな力を発揮します。
 3労組は新自由主義の攻撃の中で団結をつぶされず負けなかった組合です。労働運動をよみがえらせる時、そこには必ず役に立つヒントがあるはずです。
 コロナ前から歴史は大きく動こうとしていました。2019年12月にフィナンシャル・タイムズはその年を総括して「1848年、1917年に次ぐ騒乱の年だった」と書きました。資本主義、新自由主義は崩壊に直面していました。日本だけが歴史変革の波から取り残されているように見えるけれど、日本の労働者が直面している現実は世界の労働者が直面している現実と何一つ変わりません。
 動労千葉は「国家を挙げた攻撃に立ち向かって分裂しなかった労組はない」という「常識」を打破したかった。その団結をつくったのが反合・運転保安闘争路線です。労働運動をよみがえらせることは絶対にできる。エッセンシャルワーカーは団結しよう。

分割・民営化攻撃に決着をつける時
 動労千葉委員長 関道利さん

 公的部門を民営化して利益を追求すれば社会は崩壊します。労働組合が後退すれば膨大な非正規職が生まれます。この現実はコロナ下で誰の目にも見える形になりました。新自由主義は労働者の団結を破壊し資本の金もうけの自由を貫徹するものです。国鉄分割・民営化はその典型の暴力的な攻撃でした。
 これは過去の問題ではありません。「世界」に載った記事は、内閣法制局長官をすげ替え、集団的自衛権の行使を容認し、戦争法制定と改憲のシナリオを書いたのは葛西敬之だったと暴いています。JR東労組の解体にも葛西はかんでいます。JRと政権は一体となり、労組なき職場支配のモデルをつくろうとしています。国鉄分割・民営化はどういう国家思想で行われ、われわれは何と闘ってきたのかが明確になりました。多くの解雇を覚悟しての分割・民営化反対ストの決断が、いかに大きなものだったか、私は委員長になって実感しました。
 JR体制下の外注化は、非正規職を生む新自由主義の中心的攻撃でした。動労千葉は65歳以上の雇用を奪う卑劣な攻撃と闘い、10年間、外注化を完全に止めました。9年前に外注化が強行され、私も出向させられましたが、職場代表選挙に3年連続で勝利しました。CTS(千葉鉄道サービス)の労働者の過半数を取ることを目指した組織拡大で外注化を粉砕したい。
 1047名闘争も裁判所を国家的不当労働行為の真実から逃さない闘いに入っています。勝利まであと一歩。新たなパンフを活用し、すべての攻撃の出発点だった分割・民営化に決着をつけたいと思います。
 関西生コン支部は国家意思に貫かれた弾圧に屈せず反転攻勢に打って出ました。最大の矛盾点の医療現場から、「医療は社会保障だ」という闘いが起きています。現場の闘いで階級的労働運動を復権し、闘う労働組合の全国ネットワークをつくりましょう。

3労組の固い団結のもとに闘いぬく
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部書記次長 武谷新吾さん

 2月4日、関生への大阪府警の不当捜索に対する国家賠償請求訴訟で、高裁で逆転勝利判決が出されました。組合活動をさせない攻撃に立ち向かい、弾圧を粉砕するまで闘います。組織拡大と現場の行動、大衆的行動で決着をつけたい。
 関西労組交流センターの行動に参加し、女性の活動家が多くて、現場で前に出て闘い、行動をしっかり総括し、きちっと学習会もしている姿を見て、多くのことを学びました。
 私が全国労組交流センターの共同代表になり、3労組共闘の新たな団結と体制ができました。来春には大阪で労働者集会を開きたい。国鉄闘争にも関生弾圧にも決着をつける形にしたいと思います。共に闘いましょう。

●解雇撤回の新たな闘いへ

JR不採用は無効勝利するまで闘う
 動労千葉顧問弁護団長 葉山岳夫さん

 国鉄分割・民営化による解雇はJRに責任があります。その証拠も明らかになっています。1987年2月2日、葛西敬之と井手正敬がJR設立委員長の斎藤英四郎と会談し、斎藤が不採用基準の策定を命じて、動労総連合組合員の名前を名簿から削除しました。2月12日のJR設立委員会の会議で、不採用基準を全員で決議しました。設立委員の行為はJRの行為と国鉄改革法は定めています。不採用は無効で原職に復帰させなければなりません。
 それを認めないJRを相手にした申し立てを、千葉県労働委、中労委は却下・棄却しました。不当労働行為を隠す不当な決定です。これに対する訴訟を提起し、次回は4月16日です。
 真実にふたをするな。解雇撤回・原職復帰は階級的労働運動にとって大きな意味があります。弁護団は皆さんと共に闘い、必ず勝利します。

国とJRに謝罪させ職場に戻りたい
 動労千葉争議団 中村仁さん

(写真 1047名解雇撤回へ闘う当該が登壇し決意を表明。左から動労千葉争議団の高石正博さん、中村仁さん、動労総連合1047協議会の羽廣憲さん)

 30年を超える闘いは不当労働行為を暴きました。突き止めた真実を満天下に示し、国とJRに謝罪させ、解雇を撤回させて職場に戻りたい。
 最高裁に不当労働行為を認めさせたかつての10万筆署名の力は大きく、それが勝利を切り開きました。もう一度、署名運動に力をいただきたいと思います。署名と物販をパスポートにして職場に入ってください。

34年の闘いは政府への我々の回答だ
 動労総連合1047協議会副代表 羽廣憲さん

 われわれは闘う道を選択したということだけは忘れずにいたいと思います。解雇撤回以外に解決はない。34年の闘いは、労働運動をつぶそうとした政府へのわれわれの回答。だから絶対に負けられません。
 昨日、九州で国鉄集会を開きました。非正規の怒りが爆発しています。これと団結できるか否かに、勝負がかかっています。

(写真 関生支援東京の会共同代表の木下武男元昭和女子大学教授が東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の吉本伸幸分会長、映画「棘【とげ】」製作者の杉浦弘子監督と共に登壇。「関生のような労組を作ることが弾圧への最大の反撃」と訴えた)

●3月ダイ改粉砕へ

ワンマン化と強制配転にストで闘う
 動労千葉書記長 川崎昌浩さん

 ワンマン化と国鉄分割・民営化型の大合理化に対し断固闘います。ワンマン化は運転保安上、重大な問題です。事故、災害、車両故障の際、一人の運転士にすべての責任を負わせる。獣との衝突の問題も解決されていません。列車が止まったら、乗客に説明もしなければならない。一人で対応することは無理です。
 11月の内房線と地域を守る会の学習会で、障害者の方から「千葉への直通がなく、乗り換えることが大変」などの悲痛な声が出されました。12月には館山市議会でワンマン化反対の意見書が採択されています。
 2月1日にジョブローテーションで17人が強制配転され、うち13人が駅に行かされました。分社化・転籍に向けた攻撃です。
 CTSは人が足りず休日勤務で回している。労働者の養成もできず、外注化の矛盾は明らかです。
 3月13日のダイヤ改定にストで立ち向かいます。

●閉会あいさつ

勝利まであと一歩新パンフの活用を
 国鉄闘争全国運動呼びかけ人 金元重さん

 1047名解雇撤回の裁判はこれから佳境に入ります。弁護団は「法廷の闘いだけでは勝利を期せないこともある。皆さんの支援が必要」と訴えています。
 今回、「1047名解雇撤回!勝利まであと一歩!入門国鉄闘争」というパンフレットを作りました。これを持って入って、若い人に国鉄闘争を説明してほしい。どこが分かりやすいか、どこが不十分かも返してください。関生に学ぶ学習会が行われていますが、国鉄闘争についても、いい材料ができたので学習会をしてほしいと思います。
 今日の集会を、こうした成果があったと報告できる闘いの出発点にしたいと思います。

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