中核派から新入生のみなさんへ 資本主義おわらせよう 社会変える学生の行動を

週刊『前進』04頁(3188号01面01)(2021/03/29)


中核派から新入生のみなさんへ
 資本主義おわらせよう
 社会変える学生の行動を

(写真 学費減免を求め、渋谷駅前でアピール【昨年11月21日】)


 新入生の皆さん! 新型コロナウイルス感染症のパンデミックを通じて、資本主義の矛盾と限界が明らかになりました。感染症や経済危機で貧困層をはじめ多くの労働者が苦しみ、医療現場では今もなお崩壊状態が続いています。他方、このコロナ禍の中で米中2大国の対立がますます過熱化し、それぞれの国のほんの一握りの支配層が延命するための醜悪な抗争が激化しています。その先には三度目の世界戦争という破局しかありません。しかし同時に、この現実に立ち向かい、社会を変革する闘いも全世界で巻き起こっています。いつの時代も社会変革の先頭には学生・青年が立ってきました。資本主義を終わらせ、労働者民衆が主人公となった新しい社会をつくるために、共に行動を開始しましょう。

コロナで格差・貧困が拡大

 アメリカの黒人男性虐殺事件への抗議から全世界に広まったBLM運動。中国の国家安全維持法に抵抗する香港の闘い。国軍のクーデターに抗議して史上最大のゼネストを闘うミャンマーの労働者民衆。いずれも支配階級からの激しい弾圧にさらされながらも、青年を先頭に命がけで人々が立ち上がり、新たな時代を切り開こうとしています。
 資本主義は完全に歴史的命脈が尽き果て、世界中でひたすら格差・貧困を拡大し、さらには核戦争の危機や気候変動・環境破壊を引き起こし、人類の生存そのものを脅かすものにすらなっています。国際NGOオックスファムの2020年報告によると、世界の最富裕層2153人は最貧困層の46億人よりも多くの財産を保有。10億㌦以上の資産を持つ大富豪は、全世界の人々がコロナ禍に苦しんだ昨年1年間で総資産を200兆円以上増やしたと言われています。
 株価は連日史上最高値を記録する一方、労働現場では08年のリーマン・ショック後をはるかに上回る大量解雇や雇い止め、賃下げなどが広がっています。日本では、いわゆるコロナ解雇は統計で把握されているだけでも約9万7千人(3月17日時点)、昨年10月の就業者数は前年比で約93万人減と激しい雇用破壊が労働者とその家族の生活を直撃しています。大学生は、学費が払えないために5人に1人が退学を検討していると言われます(昨年4月時点)。コロナを理由にした休業や解雇で、バイトがなくなって困窮する学生も激増しました。
 この状況を「自己責任」だとか「コロナだから我慢しろ」などと言わせるわけにはいきません! そもそもコロナ以前から、日本の大学生が負担する学費はあまりにも高額でした。現在、国立大の授業料は年間53万5800円で、これは1971年までの年間1万2000円と比較すれば実に約44・6倍です。72〜75年は3万6000円でしたが、それから現在の金額になった2004年までの30年足らずのうちに15倍近くも跳ね上がったことになります。東京工業大学は2019年度からさらに10万円も値上げしました。コロナ以前から、このような薄氷の上にかろうじて大学生の生活が成り立っていたにすぎなかったのです。
 未来ある学生をこんな状態に追い込んで平然としているような政治や社会のあり方こそ根本的に間違っており、私たちの力で変えなければなりません。

学生は社会変革の担い手

 また、この1年間のコロナ禍のもとで、学生は大学に通って講義や実験に参加し、サークルなどの課外活動を通じて人間関係をつくりあげていくという、当たり前のキャンパスライフを送る機会をことごとく奪われてきました。そして気が付けば、どの大学でもオンライン授業が当たり前になりつつあります。
 高速移動通信方式「5G」やAI(人工知能)などの新技術が、あたかも私たちの未来を良くしてくれるかのように喧伝(けんでん)され、これらの新技術を用いて教育現場のデジタル化・オンライン化も進められてきました。しかし、これによってもたらされたのは、学生の4割が孤立を感じている(昨年6月九州大学調べ)という状況です。そもそも資本主義のもとでは、技術革新は労働者民衆の生活を改善することよりも、資本の利益のために、あるいは軍事や治安管理といった国家権力の強化のために使われます。それは労働現場においては、「合理化・効率化」のかけ声のもと人員削減と非正規職化を進める手段とされます。大学でも毎年のように非常勤教職員の雇い止めが問題となっていますが、オンライン化は教職員の削減と非正規職化に拍車をかけるものとなっています。
 しかし、こうした現実を前に、労働者や学生の生きるための闘いも広がっています。この間、IT関連企業やギグワーカーの間でも労組結成が進み、学生は大学キャンパスを自分たちの手に取り戻すために奮闘しています。先に見た学費問題をめぐっては、全国200以上の大学で巻き起こった学費減免運動が、当初は無策を決め込んでいた政府を揺さぶり、各大学当局を動かし、不十分ながらも学生支援緊急給付金(10~20万円)を出させました。
 今、必要なのは生きるための闘いと同時に、この社会そのものの根底的変革です。未来を体現する学生は、労働者階級と共にこの変革を担う主人公です。

改憲・戦争の菅政権打倒を

 最後に、新入生も含む全国の学生に、労働者民衆の先頭で菅政権打倒の闘いに立つことを呼びかけます。
 今の日本社会の根本的なゆがみと腐敗を一身に代表しているのが、安倍前政権と菅政権の醜悪極まる姿です。最も必要な時に届かないばかりか、防疫すらできないマスクで466億円もの予算が投入されたアベノマスク騒動。感染拡大の真っ只中でも継続されたGoToキャンペーン。差別と利権にまみれたオリンピック。総務省接待問題に見られる政官財の癒着......。菅は数限りない不正・腐敗を居直り、国政どころか国会答弁もまともにできない状態です。
 自民党は、安倍政権時代には「2020年までに改憲を成し遂げ新憲法を施行する」と息巻いていましたが、すでに安倍政権は崩壊し菅政権もボロボロです。それでも菅が「しっかりと改憲を目指す」などと繰り返しているのは、改憲=憲法9条の破棄を通じて日本を戦前のような「戦争のできる国」にする以外に、日本資本主義の延命の道がないからです。1929年の世界大恐慌が第2次世界大戦をもたらしたように、危機に瀕(ひん)した資本主義が最後には戦争に行き着くことは、歴史が証明してます。今や日本経済新聞のような商業紙ですら、「きな臭さを増す現在の潮流には、どこか30年代に通じる危うさもある」(昨年8月15日付)と認めざるを得ない状況です。
 改憲・戦争を止める闘いは、戦争をやる以外に延命できない資本主義を打倒し、新しい社会をつくりあげていく挑戦と一体です。

ストライキで闘う労働組合に続こう

 戦争を止め、社会を変える展望は、労働者や学生の団結した闘いの中にこそあります。
 昨年、コロナ禍のもとで最も極限的な状態に置かれた医療現場から、命よりも資本の金もうけを優先するような医療のあり方に断固抗議し、「医療は社会保障だ」を掲げた労働組合がボーナスカットに反対するストライキを決行しました。この闘いは大きな反響を呼び、他の医療現場にも広がっています。さらには「命より金」の資本主義・新自由主義に真っ向から立ち向かう労働組合をよみがえらせる挑戦が、今や日本中のあらゆる職場で始まろうとしています。
 学生もまた、こうした労働者の闘いと力を合わせ、大学キャンパスから団結した闘いを始めています。京都大学で始まった巨大な学生反乱(3面に記事)は、学生も労働者と同じように社会変革の主人公として闘うことができるということを示しています。
 新入生の皆さん! 歴史を動かす学生運動を共に巻き起こしましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加