郵政の土曜休配許さない 強権的労働者支配ぶっとばせ

週刊『前進』04頁(3189号02面03)(2021/04/05)


郵政の土曜休配許さない
 強権的労働者支配ぶっとばせ


 今年4月で郵政創業150年を迎える日本郵政は民営化から13年を経て矛盾が顕在化し、崩壊の危機にある。昨年冒頭からの「かんぽ不正問題」「郵便局1万人削減」そして今年10月に予定されている「土曜休配合理化」と、民営化の矛盾とそのつけは現場労働者を犠牲にすることとして表れている。職場に闘う団結をつくり出し、民営化によって奪われたすべてを労働者の手に取り戻そう。

個別アンケートで雇用不安をあおる

 普通郵便物の土曜配達の休止と翌日配達体制の廃止に伴い、会社は4月から郵便内務、外務の期間雇用社員、アソシエイト社員を対象に勤務条件変更についてのアンケート調査を行い、7月以降に最終的な意向確認をするとしている。
 これと歩調を合わせる形で、JP労組本部は第13回定期全国大会で、雇用条件への不安の声に対して「雇い止めは行わないことを確認している」と会社側に立った答弁を行った。雇用不安をあおる個別アンケートによる分断を打ち破り、ひとりの首切りも許すな!
 今回の勤務条件の大きな変更は、来年1月以降「深(ふか)夜勤」(おおむね10時間)を廃止し、郵便内務の勤務を深夜帯から昼間帯へ移行するものだ。
 郵便内務の職場では、深夜勤務の労働条件が悪化の一途をたどってきた。1993年3月、それまであった16時間勤務(夕方出勤、明朝退社)を廃止し「新(ニュー)夜勤」(おおむね14時間)が実施された。それにより特例休息のカットなど労働条件が悪化した。それでも仮眠時間(無給時間含む)はあり、夜勤明けの日は勤務解放されていた。
 しかし2004年2月、「殺人的夜間労働を許すな!」の声を押し切って、「深夜勤」が導入された。これは仮眠無し昼夜逆転の勤務で、夜に出勤し、朝自宅に帰ったらその日の夜に出勤する、それが最大4連続というものだ。導入の翌月には東京中央郵便局で現職死亡も起きた。遠距離通勤者は家に帰ると寝る時間が確保できず、ネットカフェに泊まる者も出た。
 これは当時の全逓本部の屈服で導入されたものだ。全逓本部は、「顧客ニーズに基づく物流サービスをめざす郵便事業にとって、夜間労働は従来以上の重要性をもつ……『業務運行と品質管理』(=翌日配達体制)を確保する視点から」として当時の郵政公社・生田総裁のアクションプラン(2年間で1万7000人を削減し、1147億円の人件費と2144億円の物件費を削減)合理化と一体で受け入れたのだ。

深夜勤廃止に伴う雇い止めさせるな

 この「殺人的夜間労働」がなんで成り立ってきたのか。それは、低賃金と無権利が強制される非正規労働者を大量に雇用することによってだ。深夜労働によって心身共にむしばまれながらも、夜間割増賃金、生活の糧を得るために少しでも高い時給を求めて深夜帯に働かざるを得ない非正規労働者を、徹底して搾取することによって成り立ってきたのだ。絶対に許せない。人間らしく生きていける賃金をよこせ!
 『業務運行と品質管理』をうたい文句に、とことん非正規労働者を食い物にしてきた郵政当局が、今になって、「600億円のコスト削減」のために土曜休配―翌日配達廃止に伴い普通郵便にかかわる「深夜勤」をやめると言っている。「深夜勤」を担う9割ともいわれている非正規の仲間は雇い止め解雇に対する不安、スキル評価による分断、低賃金、劣悪な労働条件下であっても郵便労働者としての誇りをもって業務を回してきた。その労働者の誇りを何だと思っているのか!
 これまでも「深夜勤」の通勤途上の交通事故で解雇されながらも「もう一度、郵便の区分がしたいんだ」と解雇撤回を貫いて闘っている仲間もいる。さらに、スキル評価制度に対する怒りが正規・非正規の分断を打ち破って燃え上がり、土曜休配合理化絶対反対の闘いに転化しようとしている。民営郵政当局とそれを支えるJP労組本部は、労働者階級の根底からの怒りを思い知れ!

JRと同様に本業の郵便を切り捨て

 日本郵政は3月12日に楽天との業務提携の締結を発表した。コスト削減と称して郵便事業という本業にはカネを出し渋ってきたのに、1500億円を投じて、全国2万4千の郵便局に楽天のアンテナを立て、窓口で楽天モバイルを売ろうとしている。このかんのJR東日本社長による「鉄道ありきでものを考えるな」という発言を見れば、今回の土曜休配合理化こそ本業である郵便切り捨ての出発点だ。
 郵政民営化の内実は、JPエクスプレスの破綻、ゆうパック統合の大赤字、トール社買収の破綻と、どれもデタラメばかりだ。その全てのつけを現場労働者に押し付けて生き延びようとしている。なんでそんなデタラメがまかり通っているのか。それは民営郵政資本を支えるJP労組本部の存在があるからだ。
 しかし現場の労働者は、いつまでも黙っている存在ではない。「一通の重み」を誇りとする郵便内務、外務の労働者が、そしてポストの取集、郵便輸送に携わる労働者が郵便制度(全国通信網)150年の歴史を維持してきたのだ。民営郵政資本が崩壊しようとも、われわれ現場労働者が存在する限り郵便は一日も止まることはない。
 職場を見よ! 敵は万策尽き果て、もはや強権的な労務管理以外に労働者を支配する道具を持ち合わせていない。今こそ自らの労働に対する発言権を取り戻し、当局の居丈高な態度を木っ端みじんに粉砕しよう。新自由主義を打倒する階級的労働運動の創生は、職場生産点における日常活動において階級対立を鮮明にさせる契機をつくりだし、それを闘う団結の拡大(労働組合権力)として労働者の中に蓄積していくことにある。
 土曜休配合理化攻撃を打ち破る実践は、民営化攻撃によってつくりだされた階級分断をあらゆる機会をとらえて資本と闘う団結に転化することである。その力で職場を労働者の手に取り戻そう。正規、非正規、内務、外務、あらゆる垣根を越えて郵便労働者の怒りを解き放とう!
〔革共同郵政労働者委員会〕
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