国軍支える菅政権許すな ミャンマー人民と連帯を 4カ月続く不屈の闘い

週刊『前進』04頁(3196号03面02)(2021/05/31)


国軍支える菅政権許すな
 ミャンマー人民と連帯を
 4カ月続く不屈の闘い

(写真 CDMに合流したヤンゴン教育大学の教員【2月5日 ヤンゴン】)

 ミャンマーの労働者人民は、2月1日のクーデターで実権を握った国軍により850人もの仲間を殺されながらも連日街頭に出て命がけで闘い抜いている。公務員労働者が先頭に立って呼びかける市民不服従運動(CDM)はいっそう拡大している。これは香港や韓国、タイで巻き起こる闘いとも一体で、必ずやアジア革命―プロレタリア世界革命の突破口を開くものとなる。「日本政府は国軍を支援するな!」という青年たちの叫びに応える道は、今に至るまで虐殺に手を貸し続ける国軍の共犯者=日本帝国主義・菅政権を打倒することだ。

労働組合が闘いをリード

 ミャンマーでは日々、労働者人民、子どもまでもが国軍に殺されている。殺戮(さつりく)は抗議のデモ参加者だけではなく、通行人や家の中の子どもにまで見境なく行われている。
 この残忍で無差別な殺戮に抗してミャンマーの労働者人民は、クーデターから4カ月にもわたって抗議の一斉街頭デモ、労働組合呼び掛けのゼネストや、医療・金融・教育労働者などの公務員を先頭にCDMを今も貫き続けている。
 新自由主義のミャンマーへの拡大は労働者を階級として登場させた。「民主化世代」を先頭にかつて軍政と闘った歴史的総括をかけて全世代が決起している。
 鉄道の運行や銀行業務は停止し、大学は抵抗闘争のとりでとなった。医療・教育労働者らは、国軍による指名手配や停職攻撃に屈せず負傷者の自主診療や組織化の闘いを続けている。
 民主派は少数民族とも連携した統一政府(NUG)を結成した。こうした中で遺書をしたためての決死のゲリラ的デモは世界に衝撃を与え、帝国主義とスターリン主義の抑圧のもとに呻吟(しんぎん)する労働者・被抑圧人民の総決起の合図になろうとしている。
 一方で、日米をはじめとする帝国主義も中国スターリン主義も、現在進行中の大虐殺を止め、労働者の命を守る気などない。ミャンマー人民の闘いに敵対し、この事態を自国の権益や勢力圏の拡大のために利用しようとしているだけだ。絶対に許すことができない。
 われわれ日本の労働者は、彼らと何としても徹底的に連帯してともに闘い抜こう! その闘いこそ、国軍を中国スターリン主義とともに支えている日帝・菅政権を打倒することだ。

経済侵略続けてきた日帝

 戦時中にミャンマー(ビルマ)を侵略・蹂躙(じゅうりん)した日帝は、戦後賠償と経済協力を一体化した「日本・ビルマ平和条約及び賠償・経済協力協定」を1954年に締結した。
 独立(48年)以降の国軍にとって、戦いとは外国勢力とのものではなく、常に国内のビルマ共産党や少数民族との内戦であった。この国軍を支えてきたのが日本の資金供与であり、インフラ支援、民政援助だった。
 国軍は135を超える少数民族を抱えるミャンマーを「分裂させない」ためとして支配を正当化し、「国軍こそ国家だ」と権力に君臨してきた。
 日帝の支援は、資本にとって日本製品の調達と市場確保であり、敗戦帝国主義・日本の戦後賠償・資金援助という形をとったアジア侵略への出発であった。
 その後も日本の歴代政権は、62年(ネウィン将軍)、88年(ソウマウン国防相)の二度のクーデターによる国軍支配体制に対して支援を継続した。「特別な関係」の形成だ。
 ミャンマーで認可されている外国の銀行が13行にとどまる中、日本のメガバンク3行がいずれも認可されていることが、日帝の「特別な」位置を象徴している。
 一方、中国スターリン主義は常に輸出入を継続して支え、鉱物資源の取引や水力発電所建設を進めて国軍権益と結合し、ミャンマー人民の闘いに敵対してきた。すでにミャンマーから雲南省・昆明までの天然ガス、石油パイプライン2本が稼働している。

「民主化」契機に日帝資本が流入

 11年に国軍主導のテインセイン政権による「民政移管」が始まるや、日帝は、「アジア最後のフロンティア」などと言って、「中国に負けるな」とばかりに国を挙げて経済侵略競争へ突入した。
 12年に設立された「日本ミャンマー協会」には三井、三菱、トヨタ、大成建設、日立など日本財界を代表する127社が名を連ね、渡邉秀央会長は国軍との「太いパイプ」を自認。副首相・財務相の麻生太郎が最高顧問を務める。
 ミャンマーにはすでに430社以上が進出している。これらは、1954年からの水力発電所建設(鹿島)に始まり、ヤンゴン・マンダレー鉄道改修(鉄建建設など)、そしてミャンマー証券取引所の開設(大和総研、東京証券取引所グループ、日本の金融庁が担った)、通信インフラ整備(NTT。NTTドコモが主導)、ティラワ工業団地造成(三菱商事、丸紅、住友商事)など、国軍利益を支えてきた。2013年からは1万人を超える技能実習生が日本で働いている。
 さらに日帝は、実際の国づくりにおいても地方州幹部(国軍関係者)の研修や、地方組織づくりを継続的に「指導」している。14年以降は、自衛隊と日本財団が国軍の将官を招待し、「人材育成支援」として交流プログラムを開始。国軍士官学校へも日本語教員を派遣している。
 こうした留学・研修経験者はミャンマー政府の各省に収まり、日帝との関係をいっそう強めてきた。今回クーデターを起こした国軍総司令官ミンアウンフラインも、14年以降に日本財団や日本ミャンマー協会、防衛省の招待で三度来日し、前首相の安倍や当時官房長官だった菅らと会談を行っている。日帝は文字通り、国軍を育成してきたのだ。

世界革命の扉を開く闘い

 ミャンマー国軍は、50年間の「鎖国」の間、行政、金融、財政、経済などにわたって利権を一手にしてきた。退役軍人を含む国軍幹部が作った複合企業であるミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)は外国企業との優先契約権をもち、国土使用権を占有し、傘下の100以上の企業は銀行、運輸、鉱業、不動産、観光、食品、タバコなどあらゆる産業にわたってミャンマー経済の利権を独占してきた。今回のクーデターは、総選挙で圧勝したアウンサンスーチーの国民民主連盟(NLD)政権の継続が、民主化の進展、国軍権力の相対化、これらの利権への浸潤となることを恐れたからだ。
 資源の豊富なミャンマーの戦略的な位置は、アメリカ帝国主義による対中戦争政策の激化の中でますます重要になっている。中国にとってミャンマーは、マラッカ海峡、南中国海を通らないインド洋・中東への出入り口であり、一帯一路の「経済回廊」としている。また、インド太平洋地域における中国包囲網構築を狙う米日帝にとっても重要な一角にある。
 中国スターリン主義の国軍支援、日帝の加担、そして米帝の対中対決の政治は、ミャンマー人民の闘いに敵対し、自国権益確保、勢力圏の拡張、その戦争的必要性からミャンマー人民の決起に接近・利用するものだ。労働者階級の利益を守るものなどでは全くない。パレスチナ人民へのイスラエルの攻撃を擁護する米帝の姿を見れば、その本質が見て取れる。
 ミャンマーの労働者人民への真の支援は、労働者階級の自国政府との闘いだ。今、ミャンマー人民の闘いは、NLD政権への回帰にとどまらず、国軍を支援する日帝と中国スターリン主義打倒の闘い、さらには米帝による中国侵略戦争を許さない世界の労働者階級の革命的闘いに結びついている。帝国主義打倒・スターリン主義打倒の世界革命をめざす闘いの一環だ。
 その先頭に民主化世代の青年・学生が立ち、全世界に発信していることも決定的だ。一歩も引かない民衆の闘いに圧倒され、警察や国軍もついに崩壊を開始している。
 菅政権は、政府開発援助(ODA)をはじめ国軍支援行為の一切を直ちに中止しろ! 日本の労働者は、ミャンマー人民の決死の闘いに、菅政権打倒、日帝打倒をかけて全力で決起しよう! 国際連帯の闘いが今こそ求められている。
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