焦点 医療法改悪 病床削減と「過労死」労働を推進

週刊『前進』04頁(3196号03面03)(2021/05/31)


焦点
 医療法改悪
 病床削減と「過労死」労働を推進


 菅政権は5月21日、医療法の大改悪案を可決、成立させた。その柱は、①全国の公立・公的病院の再編・統合、病床削減を恒常的に進めるとともに、②医師の時間外労働(残業)の上限を「過労死ライン」の2倍(年1860時間)まで認め、③今後あり得る新たな感染症拡大時の強権的な医療動員計画の策定を求めたことだ。

コロナ下で1万床削減

 コロナ下で、公立・公的病院が人々の命を守る砦(とりで)であり、公的医療のためにあらゆる力を注ぐべきであることは完全に明らかとなっている。このような時に、地域の基幹病院の統合・廃止と病床削減を継続し、医師をはじめ医療労働者の超長時間・過重労働を「特例措置」として法定化することなど許されない! さらに、その病床削減のための補助金の財源に「社会保障」を名分とする消費税増税分を充てるという。菅政権によるこの二重三重の暴挙を絶対に許してはならない。
 新自由主義下で、公立病院や保健所は「医療費削減」「効率性」を口実に徹底的に削減されてきた。安倍政権は2014年、全国の病院を再編し病床を20万床減らす「地域医療構想」を発表。1999年に165万近くあった病床数は19年には153万弱に減少。厚生労働省は同年9月、公立・公的病院(現時点で436病院)を名指しし、経営形態の変更(民営化・独立行政法人化)を含む医療体制再編計画の提出を求めた。
 20年度、補助金84億円の投入で約2700床の削減が後押しされた。重症患者が入院できない医療崩壊が起きている大阪府は123床、兵庫県は79床を削減した。21年度は補助金195億円を計上。1万床規模の削減を見込み、国会答弁で田村憲久厚労相は「(人口減少下で)質の高い医療提供体制を維持するため」であり「(病床削減しないと)平時に収益が上げられなくなる」と居直った。

増える医師の過重負担

 5月12日付毎日新聞は、多くのコロナ患者の治療にあたってきた都立駒込病院の感染症科に勤務する医師が昨年、最大で月327時間の時間外労働をしていたと報じた。絶対的な人員不足の結果だ。「過労死」遺族は、超長時間労働に対し「適切な人とお金の配置が必要だ」と訴えている。
 しかし菅政権は医師を減らす医学部定員削減方針を撤回することなく、超長時間労働の容認=継続と規制緩和による看護師・職員への業務負担のシフト、受診自体の抑制を進めようとしている。

「有事」の医療強制動員

 改悪医療法は都道府県の医療計画に「新興感染症等の感染拡大時における医療」を追加させるとした。それは「有事」の医療強制動員計画というべきものだ。
 4月26日の政府・経済財政諮問会議は、「民間病院を含め緊急時に必要な医療資源を動員できる制度」、予備自衛官制度にならった「予備看護師制度」「マイナンバーを活用した資格管理体制」の構築を求めた。「過労死レベル」の労働を強いながら、改憲・戦争体制構築と一体の医療の「有事総動員」に踏み込もうというのだ。
 一層の「医療崩壊」をもたらすこの医療法改悪に、医療労組、かかりつけ医の団体、労働弁護団などが次々と怒りの反対声明を発している。全国の医療労組のストライキ決起に続き、都立病院独法化阻止の闘いを先頭に絶対反対の闘いではね返そう。
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