警視庁の全学連大会襲撃を断罪 東京地裁、都に賠償命令 権力犯罪暴く歴史的勝利

週刊『前進』04頁(3197号01面01)(2021/06/07)


警視庁の全学連大会襲撃を断罪
 東京地裁、都に賠償命令
 権力犯罪暴く歴史的勝利

(写真 公安警察に勝ったぞ! 勝利判決をかちとり東京地裁の正門前でガッツポーズの全学連【5月31日】)

(写真 裁判終了後の記者会見。画期的な勝利に多くの記者が驚き注目した。直ちにNHKや共同通信が全国に報道した【東京地裁】)


 5月31日、全学連大会襲撃事件の責任を追及してきた国家賠償請求訴訟はついに勝利判決をかちとりました。東京地裁民事第31部(金澤秀樹裁判長)は、公安警察による暴行を「違法な公権力の行使」と認め、全学連の原告5人に合計120万円の慰謝料を支払うよう東京都に命じました。権力犯罪が暴かれ弾劾された歴史的な勝利です。
 裁判長が判決の主文を読み上げると法廷は歓喜に包まれました。長いあいだ傍聴に参加し続けてくれた仲間たちに支えられ、原告・弁護団は闘い続けることができました。この団結が勝利を引き寄せたのです! 森川文人弁護団長をはじめ弁護団の皆さんの奮闘に、改めて御礼申し上げます。
 2016年の全学連大会襲撃事件は、15年の安保戦争法の強行採決、大学の軍事研究解禁と、それに対する京大全学自治会・同学会中執の反戦バリケードストが闘われた翌年のことでした。韓国では「ろうそく革命」でパククネ大統領が追い込まれ、米大統領選にトランプが登場し米帝の分裂的危機が一層深まる時代でした。世界史的激動の中で改憲・戦争国家化へ突き進む日本帝国主義が、キャンパスで不屈に闘う全学連をつぶそうと仕掛けてきた弾圧こそが、全学連大会襲撃事件でした。
 法廷でも公安警察・西澤雄の「適法かどうか確認しないと逮捕できないんですか」などのふざけた発言がなされました。公安警察は自ら撮影した動画の提出を拒否する一方、公安側の被告はその動画に基づいて証言するなどの暴挙が行われました。裁判所も動画の提出を求め続け、ついに重い腰を上げて証拠保全のため警視庁本庁舎に踏み込みましたが、それでも警察は提出を拒否しました。この間の入管問題でのビデオ隠しや、デジタル監視法、土地調査規制法と同様、国家による情報管理がいかに危険であり、国家にとって「不利な情報」が隠されるかがここにも明らかです。
 賠償命令の一方で、判決は公安警察の「視察」と称する監視を「正当」と認め、「集会の権利が侵害された」という全学連の訴えを退けました。「大会は予定していた議事進行を完了している」「参加をとりやめた者が多数いたとはいえない」から権利は侵害されていないというのです。権力が襲撃しても「集会の権利」は侵害されていないという、不当な判決でもあることは指摘しておかなければなりません。それでも裁判所に公安警察の暴行を認めさせたことは、原告、弁護団、多くの支援の闘いの成果であり、勝利です。
 この間、労働者民衆の怒りが日帝権力を追い詰めています。入管法改悪を阻止した力、関西生コン支部弾圧への反撃など、治安弾圧を許さない闘いが全国でわき起こっています。国家暴力には絶対反対で闘い抜けば必ず勝利できます。中国侵略戦争に突き進む日帝・菅政権を打倒しよう。東京オリンピックを青年・学生の怒りで粉砕しよう。
(前全学連委員長・斎藤郁真)
------------------------------------------------------------
▼全学連大会襲撃事件 2016年9月1〜2日に都内で開催した全学連第77回定期全国大会の会場前で警視庁公安部の警察官数十人が参加者に襲いかかり、身につけているものをはぎ取る、殴る、首を締めるなどの暴力をふるった事件。

このエントリーをはてなブックマークに追加