事故引き起こすJRワンマン化

週刊『前進』04頁(3198号02面02)(2021/06/14)


事故引き起こすJRワンマン化


 4月20日、内房線の江見駅で、高齢の女性がワンマン列車を降りようとした時、ドアが閉まって首が挟まりかける事故が起きた。大事には至らなかったが、原因は明らかにJRが強行したワンマン化だ。

「安全に移動する権利」奪う

 JR東日本は今年3月のダイヤ改定で、ワンマン運転を拡大した。千葉支社管内では、内房線、外房線、鹿島線に新たにワンマン運転が導入された。
 今回、事故が起きた江見駅は、業務が郵便局に委託されている。高齢の女性の首が列車のドアに挟まれかけているのを見て、郵便局員が列車に駆け寄り、閉まりかけたドアを手で押さえた。運転士も事態に気づいて、すぐにドアを開ける操作をした。
 ワンマン化で、列車のドアは乗客自身がボタンを押して開閉しなければならなくなった。この時も、高齢の女性が列車から降りようとしているのを見て、若い女性が降車ボタンを押してあげたという。その操作によってドアが開きかけた時、ドアが閉まる旨のアナウンスが流れ、ドアは逆に閉まり始めた。高齢の女性は降りられず、首がドアに挟まれそうになった。
 千葉支社管内では、3月16日にも外房線・太東駅で高齢の男性が転倒し骨折する事故が起きている。男性がワンマン列車から完全に降りていない状態で列車のドアが閉まったことが、転倒の原因とみられている。
 ドア付近の様子は運転室のモニターに映るが、車内の様子は運転席では分からない。運転士は、車内の乗客の動きを見ながらドアを操作することができない。事故はワンマン化が必然的にもたらしたのだ。高齢者や障害者は、安全に移動する権利も奪われている。
 4月20日の事故では、江見駅の郵便局員が事態に気づいて対応した。だが、ホーム上の安全の確保は、本来は専門的な知識や訓練を必要とする仕事だ。昨年8月に江見駅の業務は郵便局に移されたが、委託されたのは切符やSUICAの販売などの営業関係で、安全運行にかかわる業務は委託の対象になっていない。JRとJPは「互いに連携協力して地域・社会の活性化に貢献する」と言うが、民営化と労組破壊の先頭に立つ両巨大資本こそ、安全と地域を破壊しているのだ。
 JR東日本は5月末、「現業機関における柔軟な働き方の実現について」という提案で、外注化・分社化・非正規職化を徹底的に強行する方針を打ち出した。鉄道の安全は一層損なわれる。7月3〜4日の国鉄集会で、この攻撃と対決する闘争陣形を固めよう。
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