土地規制法案を絶対廃案へ 反基地弾圧の戦時立法

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週刊『前進』04頁(3198号02面03)(2021/06/14)


土地規制法案を絶対廃案へ
 反基地弾圧の戦時立法

(写真 「重要土地調査規制法案」の戦時立法としての本質が明らかになり、廃案を求める闘いが高揚【6月8日 首相官邸前】)

官邸前で怒りに満ちた緊急行動

 6月8日午後6時30分から首相官邸前で沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックなど5団体が共同で呼びかけた「重要土地調査規制法案を参議院で廃案に!緊急抗議集会」が開かれ、緊急の呼びかけにもかかわらず200人が駆けつけて抗議の声を上げた。集会では沖縄現地からの怒りの声が参加者の胸を打った。
 「この法案が成立すれば沖縄の反戦平和運動、全ての抗議運動が弾圧される。怒りでいっぱいだ」
 「この法案は今、日米があおり立てている、中国脅威論に基づく対中国戦争のその最前線に立たされようとしている与那国、宮古島が特別注視区域に指定される。その中で想定されるのは有事の際のことです」
 「全国統一してこの法案を廃案にしていきましょう。そうでないと、私たちが政府によってまた再び殺されてしまいます。がんばりましょう」

法案の本質示す杉田水脈の発言

 この法案の本質は5月21日の衆議院内閣委員会における自民党の杉田水脈議員の発言で明らかだ。
 杉田は辺野古の反対運動にも適用すべきだとして、次のような発言を行った。
 「フェンスに結ばれたリボンやガムテープで留められた横断幕、そして派遣された人々に支給されているお弁当のごみなどが風に飛ばされるなどして、基地の中に入ってしまう」
 弁当が支給されているというのも悪質なデマだが、このようなネット右翼まがいの言動で基地反対運動への弾圧を要求したのだ。
 別掲の地図を見てほしい。普天間飛行場や嘉手納飛行場などを抱える沖縄本島の中心部で米軍基地から1㌔メートルの範囲には宜野湾市、北谷町、北中城村、嘉手納町、読谷村のほとんどが入る。幹線道路の国道58号線もだ。ここには多くの基地反対闘争の拠点がある。本土も相模総合補給廠(しょう)周辺、横田基地周辺は密集した市街地で、婦民会館など数々の拠点が存在する。その弾圧が法案の狙いだ。

有事を想定して首相に全権委任

 この法案はきわめて抽象的な条文が多い。首相の裁量でいくらでも拡大解釈が可能な構造になっている。ワイマール憲法の改定を経ずにヒトラー独裁を可能にした悪名高い「全権委任法」を想起させる内容だ。9条改憲がすぐには不可能な中で、こうした手法をとったのだ。
 この法案は「重要施設」と「国境離島」という二つの地域の利用状況を調査し、規制するという。
 「重要施設」は法案第2条で自衛隊施設、米軍施設、海上保安庁施設とともに「生活関連施設」とされているが、「生活関連施設」の規定は存在しない。
 04年に制定された有事関連7法中の「国民保護法」の「生活関連施設」の規定を援用すると考えられる。それは発電所、貯水施設、鉄道施設、電気通信設備、放送用無線設備、滑走路、旅客ターミナルなどだ。有事にはJR職場から三里塚闘争までもが首相の一存で監視対象になりうる。
 「国境離島」は今現在基地がなくても「領海等の保全に関する活動の拠点」ならば監視対象になりうる。これは日米同盟の転換を受け対中戦争の準備が進行する与那国、石垣、宮古などへの有事の際の島丸ごとの適用を想定したものだ。
 反基地闘争圧殺を狙う有事立法、戦争立法である土地調査規制法案を絶対に廃案に追い込もう。
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