私たちの怒りをもって五輪を止めよう 五輪の号砲は戦争の号砲 (寄稿) 改憲・戦争阻止!大行進呼びかけ人 高山俊吉さん

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週刊『前進』04頁(3201号01面02)(2021/07/05)


私たちの怒りをもって五輪を止めよう
 五輪の号砲は戦争の号砲
 (寄稿) 改憲・戦争阻止!大行進呼びかけ人 高山俊吉さん

(写真 新宿駅頭でマイクを握って訴える高山俊吉さん【6月6日】)

 改憲・戦争阻止!大行進呼びかけ人の高山俊吉弁護士に寄稿していただきました。高山さんは「怒りをもって五輪を止めよう」と訴えています。(編集局)

 大会を有観客とし、1会場に1万人を集めてもよいことになった。2人を超える店舗飲酒を禁じながら、上限1万人の五輪会場で何人で酒を飲んでも良いことにしようとした者たち。彼らが人の命や健康など心底爪の先ほども考えていないことが誰にもわかる形で暴露された。

 第5波が強く予見される中、コロナ禍対応の前線に立つ医師たちの姿勢が崩れ始めた。「専門家有志」の提案が踏みにじられても、医師たちにはまなじりを決する気配がない。メディアも同じだ。一時は「開催中止の首相決断を」と迫ってみせた「朝日」(5月26日社説)も、「あくまで開くのならリスクの最小化を」と早くも腰砕けだ(6月22日社説)。

 政府は、感染拡大が警告されてもワクチン接種が遅れても、ナチスヒトラー由来のパフォーマンス聖火リレーの中継とアスリートたちのけなげな準備模様を流し続け、何が何でも大会開始にたどり着いてしまえば、国中が一気に「感動の嵐」に包まれると踏んでいる。本当のことを言えば、彼らは、変異株のクラスターが大爆発しようが、4度目の緊急事態宣言が発出されようが、「コロナでやめるな」と大会続行を熱烈に支える国民が山のように現れ、五輪は予定どおりに貫徹できると考えている。ここまで国民を見くびり、侮った政権はかつてない。

 五輪ほど国家の権威を押し出し、プロパガンダに結びつくイベントはない。東京五輪を通して政府が狙うのは第一に国威発揚だ。出征兵士を送るように日の丸を打ち振らさせ、観兵式を繰り返すように「君が代」の演奏ができる。政治・経済・文化・社会、あらゆる側面で進むこの国の沈没と崩壊と破綻の情勢下で、あたりを睥睨(へいげい)し「日本強し」の姿を見せつける千載一遇のチャンスである。再び「前畑頑張れ!」だ。
 第二に関心隠しである。森友、加計、アベ桜、そして諸々の金まみれ議員や特権企業とアベ・スガの繋(つな)がりを隠す。さらにここには、台湾をめぐる米中・日中の戦端開始を視野に入れた危険な動きを隠すもくろみがある。コロナを利用して目くらましにかけ、五輪で真実を覆ってしまおうというのだ。
 第三に経済欲求。コロナ問題は経済再生大臣が担当していることを忘れてはならない。有観客はスポンサー企業や内外の大会関係巨大企業の強い要求による。コロナ禍が拡大しても儲(もう)けられればよいというのは、命の上に利権を置く政策そのものである。

 スガ政権が五輪決行に異様にこだわっていることを圧倒的多数の国民はおかしいと思っているが、そこで立ち止まってはいないか。時にはスポーツにひたり、憂さや不満や怒りを忘れたいと人は思う。だが、あなたに憂さや不満や怒りをいだかせた原因を作った者が、あなたにそのことを忘れさせようとスポーツを仕掛けたとしたらどうするか。一歩進み出て、「そのウラにあるもの」を暴き出そう。
 
 飲食店経営者やその関係者の皆さん。この国の政府には、本気でコロナ禍と対決する気などまったくない。そのことはこの間の皆さんへの対応で明らかだ。
 アスリートやその関係者の皆さん。政治の五輪利用はナチスヒトラーの時代から常に狙われてきた。この国の中国大陸侵略の偽装にも使われようとし、1940東京大会は返上に追い込まれた。今あなた方はあらためてその道具に使われようとしている。
 人の命と健康を守る使命を担う医療関係者の皆さん。皆さんの代表として政府の近くに身を置く人たちが、命をないがしろにする政治に忖度(そんたく)し口を濁している。これでよいのか。
 国民の権利と生活を守って日々営々と努力している各分野の専門職の皆さん。過去、国民の権利が根底から踏みにじられたその先に何があったのかを思い起こそう。
 そして、コロナ禍により自身と自身の家族の生活が土台から破壊されようとしている労働者の皆さん、極限まで分断され将来が展望できなくなっている学生の皆さん。不審のつぶやきを怒りの決起に変え、この状況を作り出した下手人を引きずりだし、みんなの力で正義を取り戻そうではないか。

 怒りを! 五輪の号砲は戦争の号砲だ。私たちの怒りをもって五輪を止めよう!
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