パラ学校観戦、千葉も中止 教育現場から新たな闘い始まる

週刊『前進』04頁(3209号01面03)(2021/09/06)


パラ学校観戦、千葉も中止
 教育現場から新たな闘い始まる


 8月24日に開会したパラリンピックでの学校連携観戦に対し、都内各地区の労働組合が先頭に立って都教委への申し入れ、街頭宣伝、学校回りなどの行動に取り組んだ。これらの闘いは教育労働者や保護者の怒りと結びつき、墨田区、江東区、江戸川区をはじめとする自治体や学校単位での観戦を中止に追い込んだ(前号既報)。都は当初、小中高校などの児童生徒約13万8千人が参加予定としていたが、24日時点で新宿区、渋谷区、杉並区、八王子市の119校、約2万人にまで減った。
 8月29日には、幕張メッセでのパラ学校連携観戦で生徒を引率していた千葉市立中学校の教諭2人が新型コロナに感染していたことが判明。バスに同乗した生徒ら約150人が検査を受けたほか、学校が5日間休校となった。結局、「さらなる感染防止策を講じるのは教育現場の負担が大きい」として、31日から9月3日までの間に予定されていた観戦はすべて中止となった。千葉市の小中高・特別支援学校の延べ116校と、県立高校1校の計117校、1万6560人の動員計画が吹き飛んだ。
 25〜30日には6市町の小中高92校、3292人が幕張メッセの競技会場で観戦したが、その時点でも直前のキャンセルが相次いでいたという。8月6〜30日に県へ寄せられた苦情電話などは200件近くに上り、「感染した場合、誰が責任を取るのか」などと怒りの声が殺到した。
 東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は30日に行われたパラの中間総括会見で、「千葉の教員の方の感染は大会との因果関係はない」「なぜ(感染が)事前に分からなかったのか。大いに反省すべき点がある」などと述べた。10代以下の子どもの感染が広がるなかで、学校連携観戦を強行するというのはまさに暴挙だ。オリパラの破産を塗り隠し、リスクを無視し、多くの反対の声を押し切って教育労働者と生徒を国家主義的・暴力的に動員しようとし、いざ感染者が出たら責任は現場の労働者になすりつけているのだ。組織委も小池都知事も、教育労働者や生徒の命と健康のことなど何とも思っていない。断じて許すことはできない。
 当然にも現場の怒りは沸騰している。小池都知事の「強い意向」のもと、江戸川区では区長の一存で臨時の教育委員会すら招集されず、現場を完全に無視して実施も中止も一方的に決定されたという。現場からは「実施決定も中止決定も、全ての過程が違法だ」「オリパラ・コロナ問題を通して、教育がめちゃくちゃに破壊されていることが暴露された。ここに今回の問題の核心がある」「これは戦前への回帰だ」という怒りの声が上がっている。
 オリパラは終わったが、闘いはこれからだ。新自由主義によって自治体や医療・福祉現場と共に徹底的に破壊されてきた教育現場は闘いの大きな攻防点だ。学校現場からの決起を地域から支え共に闘おう。11月労働者集会に教育労働者の大隊列を登場させよう。
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