10・20ゼネストへ闘う民主労総 非正規職撤廃・社会大転換求め

週刊『前進』04頁(3214号04面03)(2021/10/11)


10・20ゼネストへ闘う民主労総
 非正規職撤廃・社会大転換求め

(写真 現代製鉄の工場内外で直接雇用を求めて行われた金属労組の決意大会に2千人が参加【8月25日 タンジン市】)

(写真 「国家が社会福祉に責任をとれ!」と訴え、介護・福祉労働者らが集会とデモを行った【9月29日 セジョン市】)


 韓国では、ムンジェイン政権の新自由主義攻撃と全面対決し10・20ゼネストへ闘う民主労総と、これに恐怖し圧殺に動く資本・権力との激突が激化している。不屈に闘う民主労総との日韓連帯を今こそ強め、10・20―11・7へ闘おう。

再度の革命が必要

 9月2日の民主労総本部への襲撃とヤンギョンス委員長の逮捕(3210号既報)に続き、権力は15日にヤン委員長を起訴した。この暴挙はゼネストへと向かう全労働者と民衆の怒りに火をつけた。「ムンジェインがやっていることはパククネと同じだ!」。今や、再度のろうそく革命が必要との声が高まっている。
 韓国の労働者民衆が「ひっくり返そう! 財閥の世の中、打ち倒そう! 資本家の政府」と叫んで決起し、パククネ前政権を打倒したろうそく革命から4年半。だが、一部の財閥だけが肥え太り、労働者階級が搾取と貧困にあえぐ現実は何も変わらない。「労働が尊重される社会」をつくるというムンジェインの口約束は、とっくに公然とほごにされている。それどころかコロナ下で一切の矛盾と犠牲が労働現場に押しつけられ、膨大な労働者が解雇・失業と極度の賃金低下にみまわれ、文字通り生存の危機に立たされている。
 10・20ゼネストは、この現実に真っ向から立ち向かう闘いだ。8月末の代議員大会は「不平等打破! 社会大転換!」「世の中を止めよう! そして変えよう!」をスローガンに満場一致でゼネストを決議。民主労総の結成以来最も強力な政治ストをやろうと、組織を挙げた闘いに入った。

医療労働者先頭に

 その先陣を切ったのが、コロナ下で地獄のような強労働を強いられている医療労働者だ。3交代看護師の80・1%があまりのひどさに退職を考え、新人看護師の42・7%が入社1年以内に実際に退職したという。保健医療労組は、公共医療の拡充と人員の確保・処遇改善を求めたが何の進展もなく、これ以上我慢できないと9月2日からの無期限ストを宣言した。
 焦った政府はスト突入の5時間前に要求の大半をのみ電撃的な合意が成立。全国規模のストはひとまず回避されたが、複数の医療機関でストが闘われた。労働組合のもとに団結した労働者による強制なしには、資本も国家も一歩も動かないことがはっきりした。

このままでは死ぬ

 〈コロナ×大恐慌〉の激化は最も弱い立場におかれた労働者に最大の犠牲を強要している。韓国銀行の統計によれば、昨年、勤労世帯の所得は全体で3・6〜4・6%減少したが、最下層の世帯では17・2%も急減した。「このままでは死ぬしかない」という叫びは大げさでも何でもない。これまで労働組合が存在しなかった物流業界でも、最大手のクーパンで今年6月、ついに労組の旗が立った。この非正規職労働者や女性労働者の「命がけの決起」の開始こそ、今回のゼネストを支える原動力だ。
 現代製鉄では、金属労組所属の非正規職支会が8月から唐津(タンジン)製鉄所で工場内占拠・籠城(ろうじょう)闘争に入った。不法派遣が暴かれた現代製鉄が非正規職労働者の直接雇用を拒否し、現代自動車資本と結託して設立した子会社への採用でごまかそうとしたことへの怒りの爆発だ。しかも採用条件として、今後は労働者としての権利を主張せず裁判にも一切訴えないという奴隷契約書への署名を求めている。労働組合の存在も認めず、全労働者を完全な無権利状態に突き落とす攻撃だ。
 にもかかわらず裁判所は9月24日に会社側の仮処分申請を認め、籠城中の労働者に退去命令を下した。断じて許すことはできない。

新自由主義粉砕へ

 10・20ゼネストはまた、ムンジェイン政権が新たに開始した、「産業転換」という名の一層凶暴な新自由主義攻撃との正面対決の闘いとなった。「先導型経済構造への大転換」と称するこの攻撃は、巨額の国家財政を投じて「デジタル化」や「脱炭素」を掲げた新産業の育成を全面支援するものだ。「国際競争力確保」を理由に現代やサムスンなど財閥大資本の利益拡充を他の一切に優先し、そのために妨害物となる規制の撤廃、制度や社会構造の解体・再編をも暴力的に進めるという宣言である。その全てが大合理化攻撃となって労働者に襲いかかるのは明白だ。
 すでに、アシアナ航空や大宇造船海洋、韓進重工業など、経営破綻に陥った企業を政府が多大な公的資金を投入して救済した上で、現代財閥などの大資本に破格の安値で売却することが相次いでいる。この過程で一握りの財閥がさらに私腹を肥やす一方、多くの労働者が一斉解雇されて次々と路頭に放り出されている。
 だがこの攻撃は、闘う労働組合と労働運動の破壊なしには進まない。ここにおいてムンジェイン政権は、資本と国家の存亡をかけて民主労総の圧殺に決定的にかじを切ったのだ。
 韓国情勢は再び、労働者階級の生きるか死ぬかをかけた大激突の過程に突入した。民主労総ゼネストと固く連帯し、10・20韓国大使館抗議・要請行動を闘おう。11・7労働者集会を国際連帯の飛躍的発展の場としてもかちとり、世界革命への展望を切り開こう。

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