ドイツ機関士労組がスト 労働者の怒りが行動に転化

週刊『前進』04頁(3214号04面04)(2021/10/11)


ドイツ機関士労組がスト
 労働者の怒りが行動に転化

(写真 8月第1波スト時のドイツ機関士労組の決起集会。現場には公務員労組の青年組合員らも駆けつけた【ベルリン市】)

 コロナ下、大恐慌情勢のただなかにあるヨーロッパ・EUの中軸ドイツで、機関士労組(GDL)がコロナ手当、賃上げ・年金の確保などを要求して2カ月、3波にわたる6年ぶりのストライキを闘い、大幅な組織拡大をかちとった。
 第1波は8月11〜13日、第2波は8月23〜25日、第3波は9月2〜7日で、ICE(都市間急行列車)、長距離路線、都市鉄道の乗務員に加えて地上勤務員もストに入った。「歴史上最長のスト」となった第3波ではドイツ全土で80%の列車が止まった。

4千人がスト合流

 第2波、第3波とストを続行するにつれてGDLに加入しストに参加する労働者が増え、第2波の後には4千人が新たに組合に加入した。「8時間乗務のところを11時間乗務していて、トイレに行く時間もない」「5日間連続夜勤が一般的なシフトになった」——劣悪な労働環境と過酷な勤務シフトへの現場の怒りがスト参加の原動力となった。
 GDLは、ストを背景にしたドイツ鉄道との労資交渉で以下を認めさせた。
 ①21年12月から1・5%、23年3月から1・8%の賃上げ、 ②21年12月にコロナ手当として600ユーロ(約7万7千円)を支給。

コロナ手当を実現

 今回のストの最大の争点は、コロナ手当を全職種に支給させることだった。第2波スト後もドイツ鉄道はコロナ手当に関してはゼロ回答を貫いていた。それに対し、GDLは第3波ストを決断。スト突入前日にドイツ鉄道はゼロ回答から一転して600ユーロ支給を提示してきたが、対象は運転士のみに限られていた。GDLはその提案を蹴り、全職種への支給を勝ち取るためにスト突入を決断した。
 第3波ストを何としても回避したいドイツ鉄道はスト中止の仮処分を求めて労働裁判所に提訴したが、その日のうちに裁判所はスト実施を認めた。スト突入前日に労資が激しい攻防を繰り広げたのだ。
 その結果、支給される職種を従来の機関士から車掌、信号・操車部門などの労働者にも拡大させた。GDLは、対象をさらに検修・電力・保線部門、見習いの労働者にまで広げることを課題としている。
 コロナ下で、ベルリンの失業率は10%を超えた(8月下旬時点)。GDLのストと時を同じくしてベルリン市内の二つの巨大病院の医療労働者もストに突入し、闘いは現在も続いている。GDLベルリン都市鉄道(S―Bahn)ベルリン支部は、首切り攻撃と闘うベルリン市内の医療労組のピケットに参加するなど新自由主義と闘う戦闘的職場労働者との連帯を強め、ドイツ労働運動の現状の突破をめざして闘っている。連帯して闘おう。
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