さくら交通労組 タクシー労働者がスト コロナ下で怒り爆発 グループ会社全体に広がる闘いの火の手

週刊『前進』04頁(3216号02面02)(2021/10/25)


さくら交通労組
 タクシー労働者がスト
 コロナ下で怒り爆発
 グループ会社全体に広がる闘いの火の手

(写真 会社の駐車場でスト集会【9月30日 札幌市】)


 9月30日、北海道札幌市の自交総連SKさくら交通労組が夜勤時間帯ストライキに突入した。2桁を超えるタクシー労働者が一糸乱れぬ姿でスト集会に参加する姿と「スト決行中」の横断幕は壮観だ。発言に立った組合員は「この状況の中でどうやって生きていけというのか!」と会社に激しい怒りをたたきつけた。ストには、関生支援運動や合同労組で活動する仲間など多くの支援者が駆けつけた。さくら交通労組の河野晃興委員長は、会社への怒りとともに「SKグループ内の労働者が連動して動き始めた。これを形にしたい」と今後の展望を熱く語った。
■「会社は賃金確保を行え!」
 今回のストは労働者を休業に入れること、それに伴う賃金確保(休業補償)を行うことを求めたものだ。コロナ感染拡大の中でタクシー労働者の賃金は大幅に減少している。他のタクシー会社では、すでに休業が実施されている。しかし、さくら交通の属するSKグループは「休業補償を実施しても会社には一銭も入ってこない」ことを理由に休業を拒否。それどころか、「他の会社が休んでいる時だからこそチャンス」とばかりに火事場泥棒的に労働者を働かせてきた。労働者の賃金が減ろうが、会社の収入が増えればそれでいいという考えだ。
 これに対し、さくら交通のみならず、SKグループ全体に怒りの声が燃え広がった。4社で合計285筆の署名も寄せられた。これが集められる過程では、御用組合執行部の制動をはねのけ、現場労働者自身が自ら署名を集めるなど無数の決起があった。
 確かに会社が言うように、休業補償問題は、中小企業に全てのしわ寄せが来るというコロナ経済政策の構造的問題も含まれている。さくら交通労組は、関生支部の闘いに学び、労組を軸にタクシー業界全体の問題を打破するため、札幌市役所、北海道庁への申し入れ行動もスト当日の午前中に行った。この行動は翌日の朝日新聞道内版でも報道された。
■いかに団結はつくられたか
 今回のストは何よりも現場の怒りがつくりあげたものだ。
 「GoToキャンペーン」や東京五輪・パラリンピックによって感染が拡大することは誰の目にも明らかだった。さくら交通労組は五輪中止を求める札幌市への申し入れやマラソン当日の弾劾闘争などに決起。感染拡大「第5波」の中で、労働者の意識が急速に変化していった。「まだストライキをやらないのか」「緊急事態宣言中に絶対やってくれ」と執行部を突き上げる形で現場の怒りが爆発した。また、新しく加盟した女性組合員が「ストライキってなんか楽しそう」と語ったように、自己解放的に闘いは進んでいった。
 ストの背景には、河野委員長を先頭とする組合内の日常不断の団結形成があった。タクシー業界に不可避の事故・処分問題に反合理化・運転保安の思想で対決。同時に、処分当該の家に赴き家族とも議論した。また、セクハラ問題に対する労働組合としての取り組みは、女性労働者との団結を固め、男性組合員たちの階級意識を高めた。コロナ下で組合員の倍増をかちとったが、これによって組合員の意見が多様化したり、「グループ化」が進んだりして、一枚岩の団結をつくりあげるのにこれまで以上の苦闘を要した。
 このような地道な闘いの上にストが爆発したのだ。しかしそれは「労働者は職場改善の積み重ねでしか団結できない」などという改良主義、労働者蔑視の思想とは対極のものだ。そこには社会の主人公としての労働者への信頼、資本との非和解性を明確にし「俺たちに権力をよこせ」という階級的労働運動の思想が貫かれていた。
 11月集会への大結集を実現し、さくら交通労組のようなストで闘う労働組合を全国に無数につくりあげよう!
(北海道労組交流センター・S)

このエントリーをはてなブックマークに追加