白衣とエプロンの大隊列を 11・7集会へ医療・福祉労働者の訴え

週刊『前進』04頁(3216号02面03)(2021/10/25)


白衣とエプロンの大隊列を
 11・7集会へ医療・福祉労働者の訴え

(写真 都議会最終日、議事堂に向かって都立病院独法化反対の声を上げた【10月13日】)

 10月13日、都議会本会議で都立・公社病院の地方独立行政法人化に向けた「定款」採決が強行されました。来年7月に「東京都立病院機構」を設立するという小池都知事の方針は、日本の医療・介護・福祉を根本から転換し、崩すものです。しかし私たちは都議会攻防過程を通して、小池都知事―岸田政権による攻撃の核心と、これを打倒していく展望をつかみました。医療・介護・福祉労働者の未来をかけた闘いとして、11・7全国労働者集会に全国から結集しましょう。

独法化とは民営化と労働組合つぶし

 都立・公社病院の独立行政法人化とは何か。コロナ最前線で闘ってきた東京都で働く公務員の医師や看護師、医療労働者が全員解雇され、独立行政法人に移行させられる。国鉄型の民営化、労組破壊です。これは都立・公社病院だけのことではありません。東京都病院経営本部は定款の説明で「大学や地域医療機関等との兼業や双方向の人材交流ができる人事制度を構築」するとしています。医療労働者が一つの病院で継続して経験を蓄積し、地域の医療に責任をとってきた公立病院のあり方を根本から転換し崩壊させるものであり、全国のあらゆる医療・介護現場に波及します。
 今の医療・介護・福祉の現場は、多くが非正規職労働者で担われています。最低賃金そこそこで、手当がついてぎりぎり生きていける。それで人の命にかかわる仕事をせざるを得ない。労働者派遣法が変わったために、多くの看護師が派遣労働者として職場を転々とする現実がコロナの前から生み出されています。

社会保障解体する「新しい資本主義」

 岸田首相は「新しい資本主義」と称して「看護師・介護士の年収アップ」を打ち出しましたが、その狙いは現場の怒りを逆手にとったさらなる社会保障制度の解体です。基本給は低いままで人事考課で分断し、期限付きの特別加算給付で不安定雇用を固定化するものでしかありません。
 医療・介護・福祉現場は受付、事務、給食、検査、清掃、洗濯など様々な職種が共同で働くことで成り立っています。全ての労働者の労働条件の引き上げなしに、看護師・介護士の賃金アップはありえません。
 その上、新たなコロナ対策として「幽霊病床を解消する」という。病院に命令してむりやり病床を空けさせれば、医師・看護師がいなくても医療崩壊は起こらないとでもいうのでしょうか。どこまで労働者を使い捨てにするというのか!
 医療の崩壊は、国鉄分割・民営化と一体で公立病院を削り、もうからない部門は切り捨て、医師や看護師を非正規職に突き落としてきた結果です。医療の民営化が破綻していることは明らかです。これ以上、岸田や小池に「命より金」の新自由主義を続けさせるわけにはいきません。
 さらに定款には「緊急事態等に対処するために必要な業務を行う」と明記されました。これは、感染症対応のためではなく、戦争のための医療をするという有事体制、改憲に向けた大転換です。医療が労働者の命を救い労働者の生活を支えるのではなく、戦時型のトリアージ=「命の選別」になる。「自宅を病床に」と言い、分かっているだけで112人を放置して見殺しにした小池知事は、労働者を戦争動員に駆り出そうとしています。

岸田・小池を倒す力は私たちにある

 私たちはこのような都立病院独法化の本性を暴き、職場・地域で労働者人民の怒りを組織してその先頭で闘いぬきました。
 闘いはまさにこれからです。私たちが職場・地域で集めた1万3千筆の署名運動を通して、都議会開会日の申し入れには都立病院の患者・市民も加わってくれました。また都議会攻防と並行して街頭で署名が爆発的に拡大しました。労働組合が立って地域と結合することが、新自由主義を終わらせ新たな社会をつくりだす原動力となることを確信してきました。
 コロナ下で白日のもとにさらされた医療・福祉破壊、社会保障の破壊に対する現場からの闘いは、私たち医療・介護・福祉労働者の存在の大きさを改めて突き出しました。患者・利用者に寄り添い、生活行動制限を耐え、医療・介護の崩壊の中で格闘してきた私たちは、社会が社会であるために必要不可欠であるだけでなく、社会を根底的に変える上で決定的な役割を担う誇るべき存在です。
 11・7全国労働者集会に、白衣とエプロンの大隊列を登場させましょう。昨年の病院ストライキから始まった「医療は社会保障だ。労働者の団結で医療・介護・福祉を取り戻そう!」の闘いをさらに発展させ、岸田政権を倒しましょう。
(東京 医療・福祉労働者 斉藤はるみ)
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