郵政労働者は11・7日比谷へ 正規・非正規の団結で合理化阻もう 3・5万人削減許さない

週刊『前進』04頁(3217号02面03)(2021/11/01)


郵政労働者は11・7日比谷へ
 正規・非正規の団結で合理化阻もう
 3・5万人削減許さない


 日本郵政・日本郵便は現場労働者の絶対反対の声を踏みにじり、この10月から土曜休配(普通郵便物の土曜配達休止)を強行した。その揚げ句、職場は大混乱となっている。にもかかわらず、来年1月には翌日配達体制の廃止、さらには郵政全体で3・5万人の削減までもくろんでいる。絶対に許せない。

非正規職に犠牲を強要する郵政資本

 日本郵政は今年5月、2021〜25年度の経営計画「JP ビジョン2025」を打ち出した。この中で、郵政グループ4社で5年間に3・5万人を削減するとした。郵政の歴史でも例のない大規模な人減らし計画であり、JR東日本の「柔軟な働き方」と一体の大合理化攻撃だ。しかもビジョンは「随時増減する」と明記し、これも超える大幅な削減さえ狙っている。
 日本郵政は07年の郵政民営化過程で、労働者の非正規職化を徹底して推進した。それにより郵政全体では約5割、内務に限れば約9割が非正規職というすさまじい現実を生み出し、非正規職労働者を徹底的に酷使し犠牲を強要してきた。全産業の先頭で非正規職化を進め、「非正規職が当たり前の社会」にしてしまったのが日本郵政だ。大恐慌が進展する中で、日本郵政は今度は万単位で労働者の削減に手を染めようとしている。これを許せば「解雇自由」の嵐が全社会を覆う事態となる。

民営化が総破綻し本業切り捨て図る

 3・5万人削減と同時に日本郵政が狙っているのは郵便事業の切り捨てと「物流」や「新規ビジネス」なるものへの事業転換だ。会社は「郵便物数の減少」などということを口実にしているが、核家族化によって逆に配達箇所数は増加しているのだ。郵便事業切り捨ては得手勝手な資本の都合に他ならない。
 郵政資本は郵政民営化を「民営化すればもっと便利になる」「ユニバーサルサービスの維持」と強弁して強行した。その結果がJPEX計画(小包部門の子会社化)の破綻、かんぽ生命の不正問題、オーストラリアのトール社の買収失敗などなどであり、今回の土曜休配だ。郵政民営化・新自由主義攻撃は完全破綻した。郵政資本は危機の中、民営化をいっそう凶暴に推進し、全ての矛盾を労働者に押し付けることで延命しようとしているのだ。

狙いは物流事業と新規ビジネス推進

 郵政資本は残った労働者もさらに極限的な労働にたたき込もうとしている。ビジョンは今後の事業の軸として①DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進②コアビジネス(郵便・物流事業など)の強化、新規ビジネス等の推進を掲げている。
 ①はデータとデジタル技術の活用であり、主に②のための基盤整備ということだ。②の「物流事業」と「新規ビジネス」推進こそ郵政が狙う核心だ。
 まず物流事業について、ビジョンは「荷物分野の競争激化に打ち勝つ配送サービスを提供」「荷物収益を拡大」と打ち出す。そのために「局内作業のスリム化や、デジタル化された差出情報・配達先情報等を活用・蓄積」「局内作業の省人化・省スペース化」などを行うとしている。
 これは労働者にとって何を意味するか。たとえば、日本郵便が配送を請け負っているネットショップのメルカリの場合「匿名配送」というサービスがある。これはコンビニで受け付ける際、プリントした伝票の住所氏名欄が、出品者・購入者とも「*****」と表示され他者には分からなくなっている。したがって配達するためには、内務の労働者が伝票のバーコードをスキャンし、隠されていた住所氏名を読み出し、プリントアウトして荷物に貼り付けることが必要だ。しかも物数が多く、間違えないよう神経を使う作業となる。「デジタル化」などというが、労働者が肉体と神経を酷使する作業が不可欠なのだ。
 郵政が目指す事業のもうひとつが「地域ニーズに応じた多種多様な商品・サービス等」なるものだ。
 この内実は地方公共団体や銀行、鉄道、コンビニなどの業務請け負いだ(図)。たとえば「地方公共団体が発行している公的証明書を郵便局の窓口でお客様に交付」から「バス回数券等の販売」まで行う。鉄道では「郵便局窓口と駅窓口の一体運営」として郵便局で鉄道の普通乗車券を販売する。
 新自由主義の破綻で投資先も細り、郵政労働者に何でもやらせるということだ。郵政労働者の誇りを奪い、心身を破壊することで資本が生き延びようというのだ。また、これではさまざまな事故も不可避となる。「駅窓口との一体運営」では今年4月20日、千葉県のJR江見駅で、高齢の女性が命を失う寸前の事態まで発生したのだ。

分断攻撃乗り越え職場を変えよう!

 郵政資本と一体でこれらを推進しようとしているのがJP労組中央だ。JP労組新聞315号(10月4日発行)は4、5面すべてをとって石川幸德委員長と増田寛也・日本郵政社長の対談を大々的に掲載した。石川は「労働組合も事業構造の改革とそれにあわせた働き方に果敢に挑戦して」いくと会社の手先となることを誓い、「よろしくお願いします」と増田にこうべを垂れているのだ。
 郵政民営化=新自由主義攻撃が完全破綻し、民営化で生み出された正規・非正規の階級分断を乗り越えて職場を変える挑戦が始まっている。これを大きなうねりにして職場の力関係を変え、JP労組中央の支配を打ち破り闘う労働組合をつくり上げよう。その先に、労働者が中心となる社会の建設をめざそう。職場の闘いと一体の闘いとして米日帝の中国侵略戦争を絶対に阻もう。世界の労働者は仲間であり、敵は資本家階級とスターリン主義だ。
 全国の郵政職場で働く労働者は11・7労働者集会に集まり、団結をさらに打ち固めその道を進もう。
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